「今度スカンジナビア半島を一周したいね。オーロラも見たいし。お金いくらかかるんだろ。」と学生の頃友人と話していました。しかし、お金が湧いてくるわけでもなく、結局行けませんでした。

今回はスカンジナビア半島が名前の由来になったスカンジウム(Sc)をご紹介しましょう。 Scは1879年スウェーデンの分析化学者N.F.ニルソンがガドリナイトとユークセナイトいう鉱石から分離することに成功したのです。当時、ガドリナイトとユークセナイトは、スカンジナビア半島以外では見つかっておらず、彼は「祖国に名誉を」ということでこの元素にスカンジウムと名付けたのです。ちなみにスカンジナビアとはスウェーデンのある地方のラテン語つづりScandiaが語源となっています。

 Scは、原子量44.95、密度3.0g/cm3、融点1539℃、沸点2748℃の銀白色の金属です。その存在量の少なさや、発見当時の技術では単体を分離する難しさなどから、希土類元素(存在量が少ない元素)に分類されています。地球上での存在量はいろいろ示されているのですが、約25ppmです。これはヒ素と同じくらいの存在量で、非常に少ないというわけでもありません。Scはある有機化合物の生産での触媒や、水銀灯にSc化合物を入れると発光効率が上がるなどの例があるようですが、あまりメジャーではなく、用途も開発途上です。つまり、私たちの普通のくらしでは、ほとんど名前を聞くこともなく、そのような意味では"希"元素といえるでしょう。

  さて、このScはニルソンによって発見される前から周期表を作ったメンデレーエフによってその存在が予言されていました。メンデレーエフは、この未知の元素をいずれ誰かが発見するだろうということで、エカホウ素と名前をつけ、周期表の中に組み込んでいたのです。原子量は44、水酸化カリウムや炭酸ナトリウムとゼラチン状の沈殿を作るなど諸性質を記していましたが、そのほとんどが、Scの性質として当てはまっていたのでした。
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