シリコン(Si)
 
  最近、道端に石が落ちているということがありませんね。道路がみんな舗装されているせいで、たまに見つけてもアスファルトか、工事現場からの砂利程度ですね。コレクターになるほどではないですが、いろんな石や鉱物を眺めるのが好きです。大学にあった石のコレクションや、上野の科博の鉱物・宝石ブース、そして京都にある石のお店などがいいですね。
 科博や京都の店で買った紫水晶、これがとても気に入っています。形や色がきれいだし、安いし…。紫水晶はアメシストとも呼ばれます。成分はSiO2。今回は、紫水晶をはじめとする水晶類を形成するケイ素(Si)についてのお話です。

天然のもの(左)とピラミッド状(右)の紫水晶


 Siは、地球の表面から地殻までで酸素について多い元素です。Siは、古代から、水晶やケイ砂などとして利用されてきて、現在でも身の周りでは、ガラスや半導体、油などの形で利用されています。Siは、1823年にスウェーデンの化学者ベルツェリウスによって単体が取り出されました。ラテン語でsilex(ケイ石)とCのcarbonが混ざって英名のsilconになったといわれています。このSiの基本データですが、融点が1410℃、沸点3280℃で密度が2.33g/cm3となっています。

  Siは、前述しましたが、私たちの周りでよく使われています。ガラスはメガネ、食器、さらには、パソコンのハードディスクなどとして使われているし、光ファイバーとしても利用されています。二酸化ケイ素を溶かして冷やすと石英ガラスと呼ばれるものができます。これは、普通のガラスにはNaやKなどが含まれていてガラスのふちを見ると青や緑になっているのに対し、石英ガラスはふちを見ても無色透明です。これが、光ファイバーなどに使われるのです。そして石英ガラスは熱にも強い性質があります。 さらに石英を水酸化ナトリウムなどと溶かして、水を加えるとできるのが水ガラス。そしてこれから、食べ物などがしけるのを防ぐために使われるシリカゲルがつくらます。 ちなみにシリカゲルに色がついていることがありますが、あれはコバルトによるものでSiの色ではありません。

(うちゅう2002年10月号より、一部改編)


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