ジルコニウム(Zr)
 
  いろいろなと世間を騒がすダイヤですが、このダイヤのイミテーションとしてよく使われるのがキュービック・ジルコニア。もともとは、工業用として作られたそうですが、光の出方がダイヤに似ていることなどからイミテーションとして世間に出るようになりました。現在、アクセサリーとして2〜3千円で手に入ります。今回は、このキュービック・ジルコニアを構成するジルコニウム(Zr)についてのお話です。

 Zrは、1789年ドイツの分析化学者クラプロートによって発見されました。彼は、セイロンで取れる鉱物で「ジャーゴン」と呼ばれる石を分析して未知の元素が含まれることを示しました。クラプロートはこの石をジルコン土(zirkonerde)と命名、分類したのです。ただ、このとき得られたものは、あまり純粋なものではなく、純粋なZrを得るには、1925年までかかりました。

   展示場3階 原子力発電燃料棒の説明パネル

 Zrの基本的なデータは、原子量91.2、密度6.5g/cm3、融点1852℃、沸点4377℃の灰白色の金属です。細かい粉末にすると自然に発火する性質もあり、国際郵便の取り扱い時効の中に、粉末Zrは送付不可との記載があります。 また、Zrは、FeやCrなどと合金を作るとジルカロイと呼ばれるものになります。これは、耐熱性や耐食性が高く、中性子をあまり吸収しないということで、軽水炉原子炉の燃料棒として使われます。
 さて、ダイヤとキュービック・ジルコニアの違いは、ダイヤより、ジルコニアから出る光の虹色が強く見えたりすること、それから比重がダイヤが3,5なのに対して、ジルコニアが5.5〜6.0と重いことなどですぐわかるそうです。そして、何よりも、ダイヤよりやわらかいため、傷つきやすくカット面が丸くなり、すぐに色あせてしまうのです。

(うちゅう2002年7月号より)


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