やり方 1. 磁石をテーブルに置いて磁気コンパスが作る模様を観察しよう。磁石が出しているエネルギー(磁力線)が見えるかな? 2. 磁気コンパスは北を向きますが集団になるとどうなるでしょうか?テーブルを回転させると向きが変わるでしょうか? 3. 鉄を構成する鉄原子は磁石です。この磁気コンパス一つを鉄原子と見なすことで、このテーブルを鉄と考えることができます。鉄原子は磁区といって集団で同じ方向に揃った区域を作ります。 4. 素粒子物理学では、素粒子に質量を持たせるものとして、この磁気コンパス集団に似たヒッグス場というものが考えられています。磁気コンパスがお互いの相互作用で向きを揃えるように、ヒッグス場が向きを揃えることにより、素粒子が質量を得たと考えられています。 現代宇宙論では、宇宙の始まりについて次のようなシナリオが考えられています。今から約150億年前、宇宙は超高温高圧で、ヒッグス場も混沌としていました。宇宙が冷えることでヒッグス場は向きを揃え、電子やクォークが質量を持ち、その時に放出されるエネルギーでビッグバンが始まりました。磁石で磁気コンパスをバラバラと動かした状態がビッグバン以前のヒッグス場、磁気コンパス同士がお互いの相互作用で向きを揃えて動かなくなったのがビッグバン後のヒッグス場と似ています。       まだヒッグス場というのは仮説です。この証拠、ヒッグス粒子を探すことが次世代加速器の大きな課題です。