天体力学の時代

太古から天体の運動や地上での物体の運動を理解することは大きな課題でした。17世紀になるとガリレイが地上での物体の運動を研究し、またケプラーは惑星の運動を正確に捉えるに至ったたのですが、最終的な理解は「万有引力の法則」まで待たねばなりませんでした。  1687年、ニュートンが『プリンキピア』で発表した万有引力の法則は、「2つの物 質は、お互いに引力で引き合う。その力の強さは物体間の距離の二乗に反比例する。」 というものでした。しかも、地上での物体の運動から天体の運動までを統一して説明できるという画期的なものでした。  ニュートンにより完成した力学はそれ以降の科学研究に多大な影響を与え、なくて はならない存在となりました。


彗星儀 19世紀初頭


  太陽をまわる彗星の運動の様子を示す教具。中央のしんちゅうの玉が太陽、白い玉が彗星、白い玉のブラシが彗星の尾を表す。彗星の運動は白い玉と長い針が示し、太陽のそばにある短い針は一定速度で回転する。2つの針の動きを見ることで、彗星の運動がケプラーの第2法則(一定時間に進む距離はその動径がはく扇形の面積に等しい)に従うことがわかる。


世界初の反射式望遠鏡(レプリカ) 1668年


光を集めるのに凹面鏡の反射を利用した世界初の望遠鏡で、ニュートンが製作した。望遠鏡は天体位置の精密測定にも有用であるが、従来のレンズを使った望遠鏡では像の色にじみ (色収差)のため十分な精度を出すのが難しかった。この反射式望遠鏡は色収差が起こらないため大評判となったが、鏡のメッキ法や研磨 など技術的問題があり、広く用いられるようになったのは100年ほどたった18世紀半ばからである。


振り子機械(模型) 1646年


ガリレイ(1564-1642)が考案した振り子機械。ガリレイの息子ヴィンチェンチオが描いた図に基づいて再現したものである。バネが縮んで歯車をまわすが、振り子を使って速度を一定に保っている。17歳で振り子の振動周期が一定(等時性)であることを発見したガリレイは、正確な時間を測ることにこだわり、晩年には時計の一歩手前までたどりついていた。しかし実際に振り子時計を発明したのはホイヘンス(1629-1695)で、 1656年のことである。


小型惑星儀(オーラリ) 18世紀末〜19世紀初頭


太陽をめぐる天体の運動を示す装置で、その名はオーラリ伯爵がつくらせたことにちなむ。18世紀から19世紀に王侯貴族が中心にイングランドで流行した。これはトラウトンが製作したもので水星・金星・地球・月の動きを示す。地球は自転軸の傾きや昼夜の境界も示され、月は形の変化の学習のために夜の側が黒くなるように工夫されている。外側には星座が描かれ、太陽がどの星座の方向にあるかもわかる。オーラリはのちにプラネタリウムに発展した。