化学の発達


17世紀以降、錬金術から決別した化学は、次第に学問としてまとめあげられていきます。特に電池発明後の19世紀は化学にとって大きな発展の世紀となりました。電気分解法の発明そしてそれを応用した元素発見、分光分析、有機化学の誕生など、現在の化学の基となった出来事が次々に起ったのです。


デーヴィーの安全灯 1815年


1815年、王立研究所所長のデーヴィーが炭坑での安全灯開発テストに使用し成功したもの。当時、石炭の採掘坑では照明用の裸火がガスに引火して起こる爆発事故がたびたび起こっていた。この安全灯は炎を円筒形の金網で囲うことで、金網を通過するガスを冷却し、爆発が起こらないようにしている。また一定量の酸素しか供給されないしくみになっている。


デーヴィーの電解装置(レプリカ) 1807年


デーヴィーが電気分解実験で使用していた装置。 1800年、ニコルソンとカーライルによって水が電気分解された。デーヴィーも電気分解の実験を続け、1807年塩化カリウムと塩化カリウムと塩化ナトリウムを電気分解し、カリウム、ナトリウムといった金属単体の分離に成功した。この実験器具は、調べようとする溶液で満たし、白金を電極として用いている。


ファラデーの電解装置(レプリカ)1832〜3年


ファラデーが1832〜3年にかけて電気分解の定量的研究をしていた頃に使用した装置である。2本の飛び出したガラス管は、水で満たし、細い白金の電極が入れてある。容器内を酸性にした水で満たし、電気を流すと陽極から酸素が、陰極から水素が発生する。この実験から、流した電気量に見合うだけの量の酸素と水素が1:2の割合で発生する事が分かる。


分光器 1860年代


1859年、ブンゼン(1811-99)とキルヒホッフ(1824-87)によって発明された。分光器を通してスペクトルを観測することで、それがどのような元素かを特定できる。 これは1860年代の終わり頃ミュンヘンで作られていたもっとも代表的なモデルである。 


ブンゼンバーナー 1860年代


ブンゼン(1811-99)が1860年代に発明したもの。可燃ガスと空気の混合比を変える事ができ、炎の大きさをネジ込み方式で調整する事ができる。


最初の合成染料「モーブ」 1856年


1856年、当時18歳の学生だったイギリスのパーキン(1838−1907)が発見した染料とそれで染めたショール。この染料は濃い紫色で、絹などを紫色に染めることができた。モーブという名は、うす紫色の花、ゼニアオイのフランス語名”mauve”にちなんだもの。モーベイン(mauveine)とも呼ばれる。展示品はオリジナルのモーブだが、1906年にこの瓶に詰め替えたものと思われる。


ベークライト製ラジオ 1940年


最初の合成プラスチック「ベークライト」は、1909年にベルギー生まれのアメリカの化学者ベークランド(1863-1944)が発明し、自らの名前からとってベークライトと名付けた。この真空管ラジオは1940年にアメリカのジェネラルエレクトリック社でつくられたもので、製作にあたって使われた特許の表示がたくさんついている。