電磁気学の始まり

 電池の出現により安定した電流による電磁現象の研究が可能となりました。そして、電池の使用により、エールステッドやファラデーらは電気と磁気との関係を次々と明らかにしました。また、これら電磁現象の産業への応用も始まりました。


エールステッドのコンパス(レプリカ) 1820年


1820年、エールステッド(1777-1851)はこのコンパスのそばでワイヤーに電流を流すと、針が別の方向を指すことに気付いた。エルステッドの発見した電流の磁気作用はまたたくまに世界中に伝えられ、電磁気学の時代が始まった。翌年にはイギリスのファラデーがエールステッドの逆、すなわち、磁気が電流に力を及ぼすことを発見している。


ファラデーリング(レプリカ) 1831年


ファラデーは電磁誘導(発電の原理)を発見した。これはそのきっかけとなった装置である。このリングの2個所に導線が巻き付けられている。1831年8月29日、ファラデーはこの導線の一方に電池を、もう一方に検流計をつないだ。そして、導線を電池からはなした瞬間に検流計の針が振れるのを発見した。また電池をつないだ瞬間にも針が振れたのである。電池をつないだりはずしたりした瞬間というのはコイル内の磁力が変化している瞬間でもある。このことからファラデーは同年10月にコイル内のそばで磁石を動かすと電流が生じるという現象、電磁誘導を発見したのである。


円盤発電機 1880年代後半


1870年代型の円盤型発電機。1831年10月28日にファラデーが行った実験を再現した装置である。電磁石による磁場の中で銅板を回転させると、銅板の中心と縁の間に起電力が生じ、連続して電流を取り出すことができる。(ファラデーは電磁石でなく永久磁石を使用した)。ファラデーは世界最初の発電機をつくったのである。