7/31/2003

太地くじら浜公園

小学校低学年に科学教育は可能か?

デカルトの運動量

 

斎藤吉彦

 

1.     太地くじら浜公園

7月28、29日、くじらを見に南紀勝浦へ行った。

     イルカショー「?????」

     シャチを目の前で見て感激。シャチやイルカに親しみを感じ、捕鯨は残酷という印象をもつ。捕鯨産業に頼りたい太地町の展示?

 

2.   小学校低学年に科学教育は可能か?

生源寺先生(岐阜)の実践・小2対象のやじろべえ(「自然科学と教育」日本科学者会議・科学と教育研究委員会編、創風社より)

     帰納的認識→演繹的認識(のぼる、おりる)の試み

     新学力観的生活科:やじろべえを作って“遊んで”おしまい。→生源寺先生:「おもりが下にあれば指に乗る」を全員が理解し、“指先も頭も豊かにかしこくなって”終わりにしたい。

到達目標

@     線の上に線が引ける

A     線に沿ってはさみが使える

B     「おもりが下にあれば、やじろべえは指に乗る」がわかる。

1時間目 直角やじろべえの工作

2時間目 鋭角やじろべえ、鈍角やじろべえで推論→実証

3時間目 直線やじろべえの改造(演繹的認識)

4時間目 箱型やじろべえの切断

5時間目 片腕やじろべえ

6時間目 ロープウェーであそぼう

 

低学年でもいい教材・指導があれば科学的思考は可能


3.デカルトの運動量

1.「・・・慣性の法則、運動量保存の法則、衝突の法則など基本的な運動法則を提出し、・・・」(理化学辞典(岩波)デカルトより)

2.「物質の運動の基本法則として慣性と運動量の一定とをはじめて主張した」(1物理学辞典(倍風館)デカルトより)

3.「この関係 Σmv=一定 は自然の最高法則である。」(科学と技術の歴史、フォーブス著(みすず書房)のデカルトの章を拾い読み)

4.その他URLで「デカルトが運動量保存を発見」散見

 

「月刊うちゅう」の記述
「この運動量保存の法則を発見したのはフランスのデカルトで、ニュートンが生まれる20年ぐらい前のことです。デカルトは、全宇宙は渦運動をする微細粒子で満たされていて、この渦運動で宇宙や地上での出来事をすべて説明しようとしました。現代の自然観とは全く異なるものですが、運動量保存の法則という自然界の本質的な法則を発見したのです。自然観は時代とともに変遷しますが、自然法則という先人の知見はいつの時代になってもいしずえのようです。」

菅野先生のコメント
「運動量保存則はデカルトが発見した」とありますが、デカルトのは「運動量」はスカラーで、現在の運動量でもなく、本当の保存則でもない。方向まで考慮して、正しい保存則を導いたのは、ホイヘンスのはず。デカルトは神を基にして、「神が宇宙を創造し、物質に運動を与えた。全知全能の絶対的神の創造した運動の総量は変わらない」と言うのが彼の「運動量保存」です。ホイヘンスについては「マッハ力学」(講談社)を、デカルトについては、広重徹著「物理学史」、私に「科学は自然をどう語ってきたか」(ミネルヴァ書房)を参照。」

 

科学と技術の歴史、フォーブス著(みすず書房)のデカルトの章、次ページ

「運動している物体は、それより大きな質量をもつ静止している物体を動かすことはできない。しかし、全運動量は変化することがないから、はじめの物体は別の方向にはじめの速さで運動し続ける。」