情報記憶装置の単細胞

斎藤吉彦:大阪市立科学館学芸員


4階展示場磁石のコーナで公開

 小動物が怒って毛を逆立てているようですね。でも、これは動物の毛ではありません。じつは、・石粉です。小さな磁石が集まってこんな形を作っているのです。どうやってこんな形になるのかといいますと、容器の下に強力な磁石を左右に2つ置いています。左側はN局を上向きに、右側のはこれとは逆にしています。・石粉は下にある強力な磁石と反応し、さらに、・石粉同士がお互いに反応して、このような形になります。下の強力磁石を動かすと、まさに生き物のように毛羽立った方向をあっちこっちに動かします。動画でお見せできないのが残念です。
さて、この磁石粉は現代の情報時代、なくてはならないものです。たとえば、ビデオテープや定期券などに塗りつけられ、情報が記憶されます。どういうふうに記憶するかというと、ハ真の毛羽立っている様qと同じです。表がNの場合を「1」とし、Sの場合を「0」とすれば、ハ真は「1、0」という情報ということになります。毛羽立っているところを2箇所からもっとたくさんにすれば、もっとたくさんの情報を記憶できるので、画像など複雑なものでも可能になるのです。つまり、この写真は情報記憶装置の単細胞というところでしょう。

「わがまち北区」の2004年 8月号掲載文