月刊うちゅう 2004 Vol.21 No.9

サイエンスショー「風のうらわざ」

風は大木を倒したり屋根や看板を飛ばしたりなど、恐ろしいことをしてくれます。一方で、花粉を運んだり、種を飛ばしたり、自然の営みにも欠かせません。この力を利用したのが風車ですね。昔、南海本線の石津川駅と湊駅との間の畑の中に風車が林立していました。高校生の時まで南海沿線の住民だった著者も、しばしば心踊る思いで車窓からこの景色を眺めたものです。この風車は大正時代後期に誕生し、最盛期では700基を越えたそうですが、昭和30年頃から臨海工業地帯の造成で浜風が吹かなくなったり、宅地化などで姿を消し始め、最後の一基が最近朽ちてしまったそうです。写真は服部緑地にある日本民家集落博物館で移築保存されているものです。


日本民家集落博物館で保存されている石津の風車。

さて、今回のサイエンスショーでは風に秘められた不思議な力を紹介します。風は上記のように吹き飛ばすだけではなく、流れの速い方へ吸い込む力を秘めています。列車やダンプカーが高速で通り過ぎたとき、吸い込まれそうに感じたことはないでしょうか?これはその時の風に吸い込まれそうになっているのです。プラットフォームの白線は「これ以上線路の方に近づくと、この力で吸い込まれて危険ですよ!」という意味があるそうです。本編のジュニアのページで紹介した実験も同じものです。今回はこの力を使って、アッと驚く現象の数々をご覧いただきます。こうご期待!


風が紙風船をつかまえている。なぜ吹き飛んで行かないの?

(斎藤吉彦:科学館学芸員)