QUESTACON 2008
「オーストラリア・日本 サイエンスパフォーマー-交流プログラム」日誌


著:斎藤吉彦


9月14日

13日夜成田発、シドニー経由でキャンベラ着
Questaconスタッフ3人が出迎え、ホテルに荷物を置いてQuestaconへ
ホテルで14:00まで休憩の予定が、ホテルの準備ができていないとのことでQUESTACON、休憩が中止となった。
きつい。

オーストラリアは広い土地に何もないというのが第一印象。


QUESTACON正面

QUESTACONの後ろ

玄関に屋外展示とカフェテリア


屋外展示・パラボラ

木琴

石が水に浮いて回る

早速、明日各自が発表することとなっているデモンストレーションの準備となったが、斎藤はほとんど準備をすることがないので、とりあえず展示場見学。疲れがピークで、まぶたがくっついてきて写真撮影できず。

展示場の広さは大阪と同じぐらい。幼児用から大人用までのハンズオン展示が混在で、幼児用に重きを置いているようだが高級な概念のも少なくない。静展示なし。

サイエンスショーに随分力を入れているようだ。ステージも客席も随分洗練されている。中身はいいネタがあり、さっそくうちのものに採用したいのがあった。楽しいパフォーマンスであるが、テーマがいくつも混在しているので、あまり教育的でない。

ここは日本劇場と名づけられていて、日本企業の寄付だそうた。プラネタリウムは高価なのでこれになったようによこしまな考えが浮かんでくる。

玄関と出口が逆のように思うのだが。

玄関入ったところ。玄関に食堂と売店出口、売店は強制導線の展示場出口にある。


玄関は入ったところ

館の出口がレセプションのすぐ横


受付の左側に

出口

QUESTACONnスタッフも日本のデモンストレーターも皆さん元気で、QUESTACONのデモを楽しんでいる。
ぼくはまぶたが痙攣して閉じてくる。

ぼくは目を開けているので精一杯の一日だった。

9月15日

今日はQUESTACONのスタッフと日本側とのネタの発表会。今日は昨日より元気


QUESTACONへ向かう車窓からの眺め

QUESTACONのデモンストレーターは科学を専門にするものと、それ以外のアーティストやサーカス経験者など半々ぐらいからなる。日本側も音大と美大出身者が参加されている。

今日はQUESTACONの館長からのデモで始まった。


館長

数学by生化学の人

ヨネデンの弟子・鈴木さん

液体窒素で石鹸液の噴火by Q

名古屋の山田さん

サーカスの経験者
これをはいてばくてん

日立の島崎さん
化学マジック

スライム

静岡の望月さん

液体窒素で風船が

共鳴させて、針金を飛ばす

今回のコーディネーター・演劇の教授パトリック


炎で音波を見る


その後、金曜日までに作り上げるサイエンスショーについて議論。デモのネタで劇を作る方向へと向う。サイエンス自体を伝えることを議論するのは、サイエンスの素人さんが多いのでしんどいと思われる。
ここを専門家がしっかり援助したら、QUESTACONはもっと素晴らしいものになると思う。
しかし、みなさん、とても元気で熱心。
特にQUESTACONのスタッフが多人数、それも長時間、館をオープンしながら参加できるとは驚き。

展示も見て写真も撮ったが後日報告する。

9月16日


今朝のホテルへ迎えに来た人はこの人。
今回のワークショップを仕切っているパトリック。

開館前の売店。準備中のおばさんが生き生きとして商品を紹介。

これが、この館を象徴している。スタッフがみんな生き生きとしている。

朝はQuestaconがアインシュタインなどのキャラクターを演じて講演することの意義・効果などを論じた。
そのサンプルとしてQustaconのキャラクターを紹介


次はQuestaconのアウトリーチ活動の紹介。
オーストラリアは広大で人口が少ない。国立のQUESTACONにこれない国民への責務。

1.オーストラリア全国を6つのプログラムで巡回
2.移動距離1kmに対して、1人がサービスを受けたらOKとしている。
3.Questaconの予算を使わず、企業などの寄付。たとえば11年間で7億円、3年間契約でshellから1億円/年得ている。
4.約50人のスタッフが巡回している。デプロマーの学生とスタッフで巡回。一回巡回に出ると10週間を超えることもある。
5.発明コンテストもやっていて、高校生のアイデアを具体化する、テレビ放送などもやっている。
6.アウトリーチはキャラクターなし。


このトランクにネタを仕込んで巡回

グラフ描きをさせる実験具


その後、金曜日に発表するサイエンスショーのためのワークショップ。
議論が続く。

16:30ごろ切り上げて、近所でやっているフラワーショーを散策して解散。

クロッコダイルダンディーの場面を花で描くそうな

この看板の絵が花で描かれている

花それ自身の美しさを表現すればいいのに・・・これが豪州の風土?
こちらのサイエンスショーに通じるものあり


後ろ左から2人目がパトリック

最後までテンションの落ちない皆さん

ここで解散。夕食後、日本側でワークショップの相談。
演劇でない日本側のサイエンスショーをアピールすることに。
日本側の皆さん、とても優秀。
5人中3人が文系なのに・・・(帰国後報告します。)

9月17日

午前中はQuestacnの設立者ゴアとオーストラリア国立大学CPAS館長ストクルメイヤーの講義。彼らはこの道の世界的な権威らしい。


ゴア

ストルクルメイヤー

両氏ともサイエンスショーに関する講演で、ゴアはパフォーマンスについて彼が得た経験的な教訓を、ストルクメイヤーは調査に基づことを述べた。それぞれ同意する内容で、斎藤個人も感じていたこと。自己満足について質問するが、議論には到らず、残念。

昼食後サイエンスショーを見学。


火山に水蒸気爆発を例えるデモ

大きな現象を見せるところもあるが、スライドショーによるトークが主。

午後からは、斎藤による大阪のサイエンスショー「磁力線と超伝導」の紹介で、日本スタイルをプレゼン。
そして、鈴木氏による日本側の提案「燃焼の科学」で始まる。


科学技術館・鈴木氏がプレゼン

休憩に動物園へ


トラにえさを与える斎藤

夕食をはさんで21:00まで議論が続く。
Questaconのスタッフはすこぶるアカデミックで感情的になることはなく、謙虚。気持ちよく論理的な議論ができた。

ほぼ収束し、サイエンスショーの衣装を決めることに。
バックヤードには衣装部屋があった。

21:00にホテルへ帰り解散。一部の方々は部屋で宴会。

9月18日

昨晩の確認から一日が始まる。
科学技術館・鈴木氏が昨晩から監督業を務める。

サイエンスショーの概要
・気候変動を酸素と二酸化炭素の実験に絞って紹介する。
・7つのパートに別れ、それぞれの実験・解説を2人一組で行う。

午後から予定していたティドビンビラ自然公園の散策は中止となり、
衣装の決定と各パートで予備実験、台本の作成、リハーサルで一日の作業が終わる。



未来の少女を演じる静岡の望月氏とQuestaconスタッフ
酸素ガスと二酸化炭素ガスの発生を担当するBJと名古屋の山田氏
二酸化炭素ガスでローソクの火を消す斎藤とオーエン
液化酸素の生成に苦しむ斎藤とジェイムソン
燃焼ガスによる石灰水の白濁実験担当の日立・島崎氏とクリス
真剣な打ち合わせの背後でティドビンビラ自然公園中止となり疲れきった様子も。
休憩にQuestaconの外へ散歩
エンディングを勤める監督の鈴木氏とQuestaconスタッフ。

Questaconでの準備は完了し、送別晩餐会。大使館の斉藤氏も参加。

9月19日

11時から本番のはずがテロ騒ぎでQuestaconは外部とシャットアウト。
サイエンスショー用の部屋も検査が終わるまで使用禁止。
いつ本番ができるか分からないまま時間が過ぎる。

閉じ込められた子どもたちに日豪問わず本番の衣装で持ちネタを披露することに。

テロ騒ぎもおさまり、2時30分に本番となった。たくさんいた子どもたちは帰路につき、聴衆はほとんどが関係者となってしまった。
再度テンションを上げて本番へ

1.イントロ
未来からやってきた子どもが、大気層が薄いこと、微妙なバランスの基に成り立っていることを解説。大気の存在を巨大風船で実感させる。

未来の少女を演じる静岡の望月氏とQuestaconスタッフ

2.大気ガスの組成を紹介し、酸素と二酸化炭素の生成実験
イースト菌と過酸化水素水を、ドライアイスと水を、空き缶に入れてふたをする。しばらくすると大きな音とともにふたが飛び上がる。
ガスが発生することを、ビニール袋が膨らむことで示す。


3.酸素ガスと二酸化炭素ガスの特性を示す実験。
クレバーなキャラクターを持った二人が実験2で作ったガスをもらって燃焼実験。
さらに大きな実験で確認。
せりふはほとんどが「酸素」「二酸化炭素」だけ。

4.大気中に酸素ガスと二酸化炭素が存在すること。
液体窒素で酸素を液化。石灰水を白濁させる。
二酸化炭素は生物にとって重要なものであることを言及。
オーストラリア人とフランスからの留学生が担当。

5.燃焼により二酸化炭素が発生すること
燃焼ガスによる石灰水の白濁
二酸化炭素の増加や気候変動をスライドなどを使って解説


6.二酸化炭素の体感実験
ビニール袋に聴衆全員が入り、炭酸ガス濃度が増え、湿気が増し、苦しくなる。
外気はおいしい!

7.エンディング、水素エネルギーの紹介、水素ガスの爆発実験
気候変動を防ぐための努力として代替エネルギー(太陽光・風力・水力)、燃料電池を説明。


達成感にひたるスタッフ

ワークショップに関しては演劇・キャラクターの効果を身をもって体験した。
「見栄えのしない現象でも聴衆を科学的思考に導くことができる。」