【星連】ファンのみなさま (^^)/ 渡部@大阪市立科学館です。 * この原稿は、使用自由・転載自由・改変自由です 渡部@大阪市立科学館 * ■はじめに  太陽の黒点を見ます。大きな黒点だと、太陽の直径の20分の1〜10分の1に  なることもあり、肉眼で確認ができます。中国の古い記録では、カラスが太陽に  いるとなっているものもありますし、そうと知っていると意外と見えるものです。  特に、最近は大きな黒点が多数見える、11年ぶりの太陽の活動期にあたっており  チャンスが増えています。 ■第42回【星空の連帯】全国版の参加ガイドです。 ◇目標   太陽の黒点を見る ◇観察時刻 5月25日(木)〜31(水)までの太陽が見えている時間 ◇観察場所 太陽が見えるところ、北西が開けているとよい。 ◇準備   減光装置(作る)、太陽観察装置(作る)、       あれば望遠鏡と投影板(なければ板) ◇!注意! 望遠鏡で太陽を見てはいけません。後で話す方法で観察してください。       また、太陽の観察するのは10秒以内の短い時間にします。       あまり見過ぎてはいけません。目が痛くなるだけでなく、       目に取り返しのつかない傷害が残ることがあります。 ■観察1(減光装置を使う)  でも、いきなりまぶしい太陽を見ても、わかりません。減光装置(げんこうそうち)  を使って、太陽がまぶしくないようにします。 ▼天然の減光装置   黄砂や霞で地平線近くがモヤっているときに、夕方の太陽がぼんやりとした   円盤に見えることがあります。こうした時は黒点を見るチャンスです。   見るときは、じーっとみすぎないで、数秒から10秒にします。 ▼日食観察用品を使う   日食の時に専用の「日食グラス」が売られます。また、明るさを1万分の1   くらいにする特殊なフィルターも使えます。 ▼白黒フィルムの黒い部分を使う   白黒フィルムを写真屋さんで買って、その場で引き出して真っ黒にし、   すぐに現像を頼みます。写真屋さんには事情を話しましょう。   写真屋さんに「真っ黒な白黒フィルムがほしい」というとくれることもあります。   カラーフィルムは、太陽の熱線を通してしまうので、おすすめできません。 ▼洗面器に水をはり、墨汁を入れて反射した太陽を見る   水面が落ち着くように、そっと近づいてみましょう。   台を用意しておくといいです。 ▼CDを使う   CDだけだとまぶしいのですが、低空にさしかかったとき、ちょっとまぶしい   のを適当に暗くする効果があります。 ■観察2(太陽観察装置を使う) 用 意:アルミ箔10cm四方くらい     つつ(ポテトチップスのつつでよい)     段ボール     ガムテープや強いのり     針     白い紙(ノート大)     できればスタンド 作り方:ちょっとながめのつつを用意し、中を墨汁や黒絵の具で塗ります     つつの片一方をアルミ箔でおおいます。     もう片一方はあけておきます。できれば、段ボールなどで     エプロンを作ります。          *−−−* < アルミ箔でおおう ピンと張ること     || ||      | |      | |      | | <つつ      | |      | |     || || −−−−−| |−−−−− <エプロンのようなものをつける。     アルミ箔に1つ、針の先で小さな穴をあけます。できる限り小さいこと 使い方:つつを太陽の方に向け、穴から入った太陽光線が、日陰にあたるように     します。エプロンをつけると自動的に影ができます。     できれば、写すところまで2mくらいははなすこと。     写っているところには、白い紙をしきます。     学校では理科実験用のスタンドなどを使うといいでしょう。     ガムテープで適当なところに貼ってしまうのも手です。 観 察:さあ、写った太陽はどうでしょうか? 全部真っ白ですか?     シミのようなものがみえたら、その場所が真ん中かはしかを     記録してください。写真や、光があたっているりんかくとシミの位置を     紙に直接スケッチして残すのがいいですね。 ■観察3(太陽観察装置2を使う 用 意:手鏡     手鏡をおおうくらいの黒い紙     ガムテープかセロテープ     穴あけパンチ 作り方:黒い紙に穴あけパンチで穴をあけます。1カ所だけ その紙を穴がある場所から鏡が見えるように手鏡にかぶせ ガムテープで固定します。 これでおしまい。 使い方:鏡を表に出し、室内にかがみの反射光が写るようにします。 観 察:さあ、写った太陽はどうでしょうか? 全部真っ白ですか?     シミのようなものがみえたら、その場所が真ん中かはしかを     記録してください。写真をとったり、     紙をあて、光があたっているりんかくとシミの位置を     紙に直接スケッチして残すのがいいですね。 ■観察4(天体望遠鏡を使う) 天体望遠鏡と太陽投影板を使って太陽を観察します。 望遠鏡は、屈折式の小さなものでかまいません。 筒先を直径3cmくらいにしぼります。キャップがなければ、 アルミホイルとガムテープでも代用できます。 太陽に向ける前に、接眼レンズをとりつけます。 レンズは、できればHかMH、HMと書いてあるものを使いましょう。 太陽投影板があれば、それをとりつけます。 通常2枚板がありますが、穴があいているのから、接眼レンズが 飛び出すようにし、もう一枚はできるだけレンズからはなします。 穴のあいてないほうに、白い紙をつけます。洗濯ばさみかクリップが いいでしょう。 太陽を入れます。入れるときは、望遠鏡の影が小さくなるように すれば、自然と太陽がはいってきます。 ピントを調整して、紙に太陽がくっきりうつるようにします。 黒点のほかに、フチの方にはちょっと明るい白斑(はくはん)が 見えるかもしれません。また空がよどんでいる時には、 全体がつぶつぶでおおわれたように感じるかもしれません。 うつった太陽は、近づいて撮影できるタイプのデジカメでも記録できますが できれば、太陽のフチと黒点を鉛筆でなぞってスケッチするといいでしょう。 最初から、紙に丸い枠を用意しておいて、それに太陽があうように 板の位置を調整する方法もあります。 また、黒点がいくつあるか? まんべんなくあるか、かたよっているか といったことも気をつけてみましょう。 ■観察5(特殊な方法:フレネル・ゾーンプレートを使う) 観察2と3では穴を通して太陽をみましたが、この穴をただの穴ではなく、 フレネル・ゾーン・プレートにすると、よりくっきりと太陽が見えます。 この場合は、黄色や緑のフィルターを通すのがポイントになります。 簡単な制作方法は、大きめの紙にパソコンなどでパターンを打ち出しておき、 それをスライドフィルム(できればミニコピーなど)で撮影することです。 ゾーン・プレートは rn=SQR(n・λ・f) ※ n=1,2,3  となるように、半径rの同心円を描いておき、その間を交互に塗りつぶしたり あけておいたり という蛇の目模様を作るわけです。なお、中央は λは、観測波長ですから、黄色のフィルター(Y48)などを使えば、 λ=500nm というところでしょう。fは、焦点距離ですが、 たとえば、2000mm とすると、λ・f=1 ですから、、 rn=SQR(n)となります。 n   rn(mm) 0 0 1 1 2 1.41 3 1.73 4 2 5 2.24 6 2.45 7 2.65 8 2.83 9 3 10 3.16 11 3.32 12 3.46 13 3.61 14 3.74 15 3.87 とこうなります。中心は直径2mmの円があり、次に0.5mmはばの 次ぎは、 0.35mmはば、、となります。 A4が、ヨコ20cm フィルムは 天地が24mmですから、 A4いっぱいをフィルムにいれるような形で考えると 直径2cmの円、次ぎに5mmはば、、となって、パソコンなら描けそうな 感じですね。 ■黒点は黒いけど黒くない 黒点は真っ黒だと思っている人もいますが、光がちゃんと出ています。 まわりが明るいので黒く見えるだけなのです。 ■黒点の温度は低い これは、黒点がまわりより暗いことからそのように考えています。 というのは、太陽が明るいのは温度が高いからです。どんなものでも 温度を上げると光り出しますが、温度が高いほど強烈な光を出すのです。 太陽全体の温度は5500度、黒点の温度は3800度くらいです。 ■黒点と磁石の関係 みなさんが日常使っている磁石は、温度が1000度にもなると 磁石としての性質をなくします。しかし、電磁石は電気が流れる限り 温度が高くても磁石の性質をもちます。 地球の中も温度が高いため、地球の磁場は地球の内部で電気が流れている ためだと考えられています。 ところで、黒点も磁石の性質をしめしています。これは黒点のあたりの 光が、強い磁力によって色の変化をおこしていることからわかりました。 この磁力で光の色が変わってしまうのをゼーマン効果といい、 鉄を近づけなくても、磁石があるかどうかをさぐるのに使える方法です。 おどろくことに、宇宙のあちこちに磁石があることがわかってきました。 それも、鉄ではなく、気体が磁石の性質をもっているのです。 ■インターネットで黒点観察 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime-images.html NASA http://www.city.yokohama.jp/yhspot/ysc/kinoko-sun.html 横浜こども科学館 http://www.nhao.go.jp/~tokimasa/licam/SLive.html 兵庫・西はりま天文台 http://www.cosmo.kawabe.or.jp/solar/real_sun.html 和歌山・かわべ天文台 渡部義弥の Fun! Science http://member.nifty.ne.jp/science/