渡部@大阪市立科学館です。今回のガイドは、短めです。 * この原稿は、使用自由・転載自由・改変自由です 渡部@大阪市立科学館 * ■はじめに  三日月、半月、満月、、様々に形を変えていく月は、昔から注目の的でした。毎日見える場所も違う、その変化をおいかけていくうちにカレンダーがつくられました。新月から次ぎの新月までは平均して29.5日。いまでも「ひと月」っていう単位で残っています。これは何千年も前から知られていました。  しかし、この月の形がたった数時間のうちに大きく変化することがあります。それが月食。カレンダーが狂っちゃうこの現象に人々は驚いたでしょうね。カレンダーを作る係りの人は、文字通り「首」になっちゃったかも。  そういうことで月食を予報するために天文学が発達したといっても間違いじゃないくらいなんです。みなさんも、天文学の入門、月食を観察してみましょう。 ■第44回【星空の連帯】全国版の参加ガイドです。 ◇目標   皆既月食 ◇観察時刻 7月16日(日)20時50分〜1時までの1分間×2回      予報では、月食の始まりは 20時57分 終わりは 24時54分です。      皆既月食状態は、22時2分〜23時49分です。 ◇観察場所   1:月が見えればどこでもOK。家の中でみられればベスト。  2:南〜東が開けているほうがいいです。 ◇準備     道具:紙2枚に同じサイズの丸を描いたもの。鉛筆、できれば色鉛筆も。時計(秒針もちゃんとあわせて)。できれば双眼鏡。  防犯:の外はぶっそうです。できれば、家でやってください       だめなら、家族など大人の人と一緒にやりましょう。  防虫:蚊にさされないように、虫よけスプレーや蚊取り線香などを用意しましょう。     また、危険な夜行性の動物にも十分注意し、危なそうなところには     近よらないようにしましょう。 ■観 察:  0:月食の時間帯に月を見てみましょう。   欠けているのがわかりますか? 1:月食の始まり か 終わりを観察しよう   予報では、月食の始まりは 20時57分 終わりは 24時54分です。   月食がはじまる(かけはじめる)か、終わる(かけおわる)時刻を   測ってみましょう。予報の時刻とどれだけずれるでしょうか?   予報は、実は1分以内の精度であっています。でも、実際には   予報の時刻とちょっと違います。理由は後の「本影と半影」を   読みながら考えてみてください。   ノート:かけはじめ(おわり)    観察者:    観察場所:    かけはじめ(おわり)時刻:    X時X分X秒    感想など: 2:月を眺めて、どんなカタチをしているか見てみましょう。   ただ見るだけでなく、時刻をちゃんと測りながら、スケッチしてみましょう。   また、色はどうですか? 欠けている部分の色が何色か見てみましょう。   真っ暗ですか? 月は自分では光らない天体です。太陽の光があたって   いないのに、何が照らしているか考えてみましょう。 3:月食をスケッチしてみましょう。   特に色に注目。あらかじめ円を描いておいて、   ・どんな形に欠けているのか。   ・欠け際はどういう風に見えるか(はっきりしているか、ぼんやりか)   ・色はどんな具合か   をしっかりチェックしましょう。 4:双眼鏡で見てみましょう。   欠けているフチの部分はどんな感じですか?   また、1:と同じ観察をしてみましょう。   ノート:かけはじめ(おわり)    観察者:    観察場所:    双眼鏡の大きさ:レンズ直径  mm  倍率  倍    手持ちですか?  手持ち  三脚に固定    かけはじめ(おわり)時刻:    X時X分X秒    色は何色ですか?    感想など: 5:写真を写してみましょう。   スナップ写真でも大丈夫です。コンパクトカメラなら、ストロボを   「発光する」状態にして写します。レンズ付きフィルム(写ルンですなど)   でも撮影できますが、できるだけアップにしたほうがいいです。   なお、ストロボは必要ありません。   できれば、5分ごとに撮影すると、月食の経過がわかっておもしろいと   思います。 6:ビデオに撮影してみましょう。   かんたんに移ります。   三脚に固定して、ズームでアップにしてください。   ただ、月はどんどん動きますから、時々おいかけないとうまく写せませんよ。   また、何分ぐらいでビデオの画面を横切るかをチェックしてみましょう。 7:多重撮影にチャレンジ   腕に覚えのある人は、一眼レフカメラで1コマに連続撮影をしてみましょう。   フィルムはISO100 レンズは標準〜広角くらい。   F8で1/125〜1/60 というところです   カメラを写せる状態にしてから、巻き戻しノブを巻いて、フィルムをピンとさせ、   ノブをテープで固定します。そして、底面にある巻き戻しボタンを押し込んだ   状態で固定します(ガムテープと何かのカケラを使って押し込んだ状態にします)   あとは、三脚に載せて、5分おきに、シャッタを切って、フィルムを巻き上げる   (ただし、巻き戻しボタンを押し込んであるので、巻き上げられません)   ダメもとでやってみましょう。 ■レポート 0:あなたのことを教えてください。  小学生 中〜高校生 理科の先生 それ以外の先生 それ以外の大人  星空の連帯は   はじめて   2〜3回目   4回以上 1:月食のはじまりか終わりを観察したあなた  何時何分何秒にはじまりましたか? あるいは終わりましたか 2:月食の最中  色は何色でしたか? 月全体は同じ色でしたか? 3:何か感想や意見、リクエストがあれば書いてください。 ■月食はめったに起こらない。 月食は、太陽−地球−月 と太陽の反対側に月がある現象です。 つまり、かならず満月の時におこります。でも必ずおこるわけでは ありません。 これからの月食(日本で見られる本影月食のみ) 2001年1月10日5時前後 2001年7月5日24時前後 部分月食 2004年5月5日5時前後 2005年10月17日21時前後 部分月食 2006年9月8日4時前後 部分月食 2007年3月4日8時前後 2007年8月28日19時前後 2008年8月17日6時前後 部分月食 もちろん、月食の時間が短い(数時間)のため、「決定的瞬間」 の時に月がのぼっていない(地球の裏側では月食がみられる)ことも あるでしょう。 しかし、それにしたって、回数は上の2倍くらいなのです。 満月のたびにおこってもよさそうなのに、、、。 これの説明は難しいのですが、ようは月が動く場所と太陽が動く場所は 「だいたい同じだけれど」ちょっと違う。からなんです。 ■実験:月食の起こりにくさをチェックしよう 満月の時に、地球の影が衝突すれば月食になるんですけれども、 それは、月と地球の影(太陽の反対がわ)が衝突する「交差点でなければ」 なりません。で、交差点は月3個分の大きさしかないのです。 これを想像するために、地球と月の模型を作ってみましょう。 地球を直径8cmの丸いもの(私の手元ではテニスボールくらい) 月を直径2cmの丸いもの(1円玉の大きさくらい) とすると、地球と月の間は、、、3mもはなさなければいけません。 3m離れたところの地球の影が月におちるように、日なたでチャレンジ してみてください。 ■本影と半影 月食は月が地球の影に隠される現象です。 いいかえれば、月に太陽の光があたらなくなる現象です。 月食の時に月から、太陽を見ているとどうなるでしょうか? いきなり太陽は見えなくなりますか? いえ、そうではありませんね。 まさに、地球に太陽が沈んでいくように見えるはずです。 では、その「沈みかけの太陽」の光が月にあたっているとき、 その部分は、どうでしょうか? 真っ暗にならず、かといって、 太陽の光が全部あたっているわけではない、、、 この中途半端に暗くなる部分を、地球の半影といいます。 それに対して、太陽が完全に隠されるのが、地球の本影です。 半影は、本影のまわりをぐるりと取り囲むようにあります。 月食は、半影に月が入った状態と、本影に突入した状態の 2通りの始まりと終わりがあります。 一方、半影に入るだけで終わってしまう月食もあります。 半影の幅は、地球から離れるほど大きくなっていきますが、 月の距離で、月の大きさと同じくらいです。 これは、難しい計算しないでも「月と太陽の見かけの大きさが同じ」 ことを知っていればわかります。知識は「相似」だけで十分。 なぜだか は考えてみてください。絵を描きながら考えるといいでしょう。 ■クイズ:日食と月食の回数 その比は、およそ5:3 になります。なぜだか考えてみましょう。 ヒント:ただし、半影月食もいれると 1:1 になります。 ■【星空の連帯】WEBページ ガイドのバックナンバーもあります! http://member.nifty.ne.jp/science/hosiren/ http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~yoshiya/hosiren/