【星連】ファンのみなさま(^0^)/ 渡部@大阪市立科学館です。 * この原稿は、使用自由・転載自由・改変自由です 渡部義弥 * ▼はじめに  「宇宙:うちゅう」というのは 時間と広がり という意味です。 自分から広がる世界。今 からの 未来と過去、それが宇宙です。 だから、今、ここ も宇宙なのです。とても近くも宇宙です。  でも、宇宙はとても遠くまで広がっています。どこまで広がって いるかというと、はて はないと考えられています。 でも、過去 には限りがあって、宇宙は150億年前に生まれたと 考えられています。そして、天体からの光が宇宙を進む速度も 秒速30万kmと決まっています。光が150億年に進める距離は、 30万km×8万6400秒/日×365.2422日/年×150億年 ですから、1420万・万・万・億km=1420万・万・兆km                   =1420該(がい)km 、、、、ああ該なんていうわけがわからない単位がでてきたので、 簡単にいいましょう。150億光年です < ズルイ単位ですね。 だから、超強力な望遠鏡を使えば、150億光年彼方のすぐ手前の 天体まで見ることができるのです。実際、いままで最も遠くでは、 140億光年彼方といわれる天体を見ることができています。  では、私たちはどうでしょう? どのくらい遠くまで見えるの でしょうか。今回は、遠くへの挑戦をしようと思います。 ■では、第47回【星空の連帯】全国版の参加ガイドです。 ▼い つ:10月28日(土)夜10時〜10分間以上 ▼どこで:できるだけ開けていて、周りの灯りが目に入らないところ。 ▼目 標:できるだけ遠い宇宙を見る ▼準 備:  安  全:のために、道路や駐車場などで観察するのはやめましょう。  防  犯:あまり家から遠く離れなくてもいいですが、適当な場所が       ないのならば、防犯ブザーなどを用意しましょう。       家の人と一緒にやるのも一法です。  目慣らし:周囲の暗さに目が慣れるまでちょっと待ちましょう。       あらかじめ、サングラスをかけて外に出るという手もあります。       もちろん観察中ははずします。  道  具:懐中電灯(先をハンカチなどでおおい暗くします。       観察場所に行ったら消します。)筆記用具。 ▼観 察  今回は、近いほうから順番に星を見ていこうと思います。 どんな天体も、近ければ明るく見えます。だから、おおざっぱには 明るい順番に見ていけばいいわけですね。 ▼一番明るい星  下には、明るい天体だけで、空全体の地図(星図)を作ってみました。 この中で、一番明るいのは、東の空にある木星になります。 そして、その少し南よりに土星です。この2つは、地球とともに 太陽のまわりを回る星、惑星です。  以下、どこまで見えたかは、あとで見てもらうことにしましょう。 ----------------------- ++++-- 北  ---- ++ * ++++++ ++ +++++ ++ +++ + ++ + * + + ☆ ++ + ベガ★ ++ + * ++ + ★ ++ + * * ☆ + | * | | | 東| ★ ●木星 |西 | * ★ アルタイル★ | |++ ☆土星   * | | | + ☆ | + | ++ + ++ ++ + ++ + * ++ ++ ++ +    フォマルハウト★ ++++ ++   +++ +++++ ++ +++++ -------------------------++ +++++++ 南 ▼西の空  木星と土星を見つけられたら、今度は反対の西の空を見てみましょう。 ここには、南北にならんで、ベガとアルタイルがあります。ベガのほうが 明るくて見つけやすいと思います。星図ではすぐソバに見えますけれども、 北西〜西と結構(30度くらい、手を延ばしてゲンコツ3つ分) 離れていますので、気をつけてくださいね。  この2つの星は、太陽と同じ種類の星です。木星や土星のように 「照らされる星」ではなく、「照らす方の星」です。実は、この空では 木星や土星のような星は、他にはありません。あとは全部ベガと同じ ような星なのです。 ▼南の空  さ、どんどんいきましょう。今度は南を見ます。 南には、フォマルハウトという星がポツンと見えます。 その東がわに、*でしめしたデネブカイトスも見えるかもしれません。 ▼ふたたび、木星のあたりに戻りましょう *                      ※すばる 土星 ★ ★カベラ 木星● ★アルデバラン *メンカリナン *エルナト * * ベテルギウス★ * * * ★ -----------*------------------------------------------------------------- 北東 東 南東  まだまだ、いろいろ星がありますね。 簡単なのは、木星の側のアルデバラン。オレンジ色の星ですね。 それから、北よりにあるカペラ。これも明るいですよ。 土星のそばにモヤモヤとして見える すばるは見えるでしょうか?  今度は、ちょっと目を「左上」に上げましょう。 M31〇 *ミラク * * * カシオペヤ座 *ハマル * *アルマク * * *アルゴル *アルゲニブ                              ※すばる ★土星 *北極星 * ●木星 * ★アルデバラン カペラ★ *    北              北東              東  こっから難しくなってきますよ。  すばる から ちょっと上に目をむけて、アルゴル、アルゲニブ、アルマクと 見つけてください、アルアルいうのは、中国違うアルよ、アラビア アルよ。 アラビア語で、英語で the というのを al いうアル。だから、アルいうのが 頭につくのが多いアルよ。ホントかどうか、アラビアの人に聞いてみるアル。  冗談さておき、アルマクの北に、カシオペヤ座のW字というか、3の字型を めっけてください。このあたりからカペラにかけて、天の川があるのですが、 さて、みなさんの家から見えるでしょうか?  そして、カシオペヤ座のずーーと左、北には北極星ですね。 これは意外と見つけやすい星ですよ。   ▼M31見えるか?  最後に、ここまできたら、M31を見つけてください。 これは、星と違って、ボヤーーーーっと見えます、都会ではしんどいかな。 ▼ここでチェックリスト あなたはどれを見ましたか? 1:木星 2:土星 3:ベガ 4:アルタイル 5:アルデバラン 6:カペラ 7:すばる 8:アルゴル 9:アルゲニブ 10:アルマク 11:北極星 12:天の川 13:M31 ■どこまで見たかしら?  このようになります。 1:8億km  45光分 2:15億km 80光分 3:25光年 4:16光年 5:60光年 6:40光年 7:408光年 8:80光年 9:500光年 10:180光年 11:400光年 12:500光年〜5000光年 13:230万光年 ■M31というのは?  アンドロメダ銀河 という名前も持っています。Mというのは、1〜110まで あって、なんかモヤモヤした天体を見つけては通し番号をつけていた メシエさん にちなんで、Messie の頭文字Mになっています。ちなみに すばる はM45です #でも、本当は、M31もM45も、古くから知られていた天体です。 #他のは、たいていメシエさんが見つけていますけれどもね。  さて、そのM31でもあるアンドロメダ銀河ですが、これは、天の川と同じく たくさんの星の集まりなのです。そのことを初めて確かめたのは、ハッブルという アメリカ人天文学者でした。  ハッブルさんは、とてもユニークな人で、オリンピック候補になるほどのボクサー で、弁護士として活躍しながら、天文学がおもしろいんだ! と思い立って、 天文学者になってしまった人です。  そして、彼はすごくラッキーなことに、当時世界最高の性能を誇った、 ウィルソン山天文台のフッカー望遠鏡を自由に使ってよい立場になったのです。  ハッブルさんは、望遠鏡の性能を極限まで使いました。写真を根気強く撮影し (ボクサーになったほどの体力ですからね)、そして弁護士が証拠を調べるような 注意深さで写真を調べました。そして、アンドロメダ銀河の写真の中に、 周期的に明るさを変える点を見つけたのです。  この点は、ハッブルでなければ「ゴミ」で片づけたかもしれませんが、ハッブルは よーく見て、測って、それがケフェウスδ星型変光星という星であることを確かめ ました。この星は、大きければ大きいほど明るく、ゆっくりと明るさが変化する ことが知られていました。  この性質を使って、ハッブルはアンドロメダ銀河が、それまで知られていたどんな 天体よりも遠い90万光年という距離=空にある星が集まっていて、私たちも その中にある銀河系の外にある天体 ということを発見したのです。  現在では、アンドロメダ銀河は230万光年くらいということになっていますが、 ともあれ、ハッブルが見つけたことは、「宇宙は思っていたよりずっと広いぞ」 という事実なのです。ハッブルは宇宙を広げた人といっていいでしょう。 渡部義弥の Fun! Science http://member.nifty.ne.jp/science/