* この原稿は、使用自由・転載自由・改変自由です 渡部@大阪市立科学館 * ■はじめに  木星が月にかくされる、木星食。実は毎年起こっている現象なのです。でも、  昼間におこったり、日本で見えなかったりと、観察できるのはめったにありません。  まあ、十〜二十年に1度という感じです。  今回はちょっと遅い時間ですが、わりと条件のいい木星食です。  夜更かし、、あるいは早起きをして、このめずらしい、そして  あんがい美しくて印象的な現象を見ることにしましょう。 ■第57回【星空の連帯】全国版の参加ガイドです。 ◇目標   木星食と夜明け前の惑星集合 ◇観察時刻 8月16日(木)の夜の2時45分〜20分間くらい                3時45分〜20分間くらい       ※木星が月にかくされる時間は地方によって違います ◇観察場所   東がひらけているところ。  特に早い時間の観察なら地平線近くまで見える必要があります ◇準備  道具:筆記用具、時計。懐中電灯。できれば双眼鏡か望遠鏡     直径10cmくらいの丸を描いた紙、5枚くらい     クリップボードなど下じきがあると便利です  安全:外はぶっそうです。できれば、家から見てください     だめなら、家族など大人の人と一緒にやりましょう。     また、危険な動物がでるところには行かないようにしましょう。     観察に集中していると、逃げ遅れたりします。 ■観 察: なにしろ月ですから、だれでもわかると思います。 ただ、高さが10度ほどと低いので、東がひらけているところでないと 建物や山のかげで見えないかもしれません。 0:月と木星をみつけましょう   月はどんな形をしていますか? 絵に描いてみましょう。 1:木星食のはじまる前や、終わった後に月と木星を見ます。   見たままを、絵に描いてみましょう。   特に、月の大きさとくらべて、どれくらい木星がはなれている   でしょうか? そのさい、かならず観察時刻を書き込んでください 2:木星が月にかくれる時か、でてくる時の時刻をはかりましょう。   大阪では3時2分と3時52分の予報ですが、実際には観察する   場所によってかわります。   また、木星は月にかくれきるのにちょっと時間がかかります。   どのくらいかかるのか、はかってみましょう   ノート:    観察者:    観察場所:    時刻:    X時X分X秒    時間:    秒間くらい    感想など: 3:月のどの場所に木星は入っていく、あるいはでていくでしょうか   これも、絵に描いておきましょう。   月がわりの丸を描いた紙に、月の形も描いて木星の位置をかきこみ   ましょう。 4:写真を写してみましょう。   できるだけズームアップして撮影します   ※コンパクトカメラや小型のデジカメならば    ストロボを「発光する」状態にして写します。    これは、シャッタースピードが遅くなるのをふせぐためです。        レンズ付きフィルム(写ルンですなど)でも撮影できます。   でも、ちっちゃくしかうつらないので、ズームアップに   したほうがいいです。      双眼鏡を三脚に固定し、のぞかせながら写すとズームになります。   双眼鏡と三脚の固定金具がない場合は、ガムテープかなにかで   固定しましょう。固定すればいいのですから。工夫してみてください。   もちろん、持ち主の了解をえてやること      できれば、5分ごとに撮影すると、月食の経過がわかって   おもしろいと思います。    5:ビデオに撮影してみましょう。   かんたんに撮影できます。   三脚に固定して、ズームでアップにしてください。デジタルズームは   使わないこと。ただ、月はどんどん動きますから、時々おいかけないと   うまく写せませんよ。   また、何分ぐらいでビデオの画面を横切るかをチェックしてみましょう。   ビデオのピントはマニュアル(オートフォーカスオフ)にして、   あらかじめ月にあわせておきます。   シャッタースピードが選べるのなら、もっとも遅いものにします   ナイトショットモードなどもためしてみるのもいいでしょう 6:多重撮影にチャレンジ   腕に覚えのある人は、一眼レフカメラで連続撮影をしてみましょう。   フィルムはISO100 レンズは適当 絞りはF8   欠けはじめる前は、で1/125〜1/60   ・カメラを写せる状態にしてから、巻き戻しノブを巻いて、フィルムを    ピンとさせ、ノブをテープで固定します。   ・そして、底面にある巻き戻しボタンを押し込んだ状態で固定します   (ガムテープと何かのカケラを使って押し込んだ状態にします)   ・あとは、三脚に載せて、5分おきに、シャッタを切って、フィルムを    巻き上げる(巻き上がらず、空転するようにします)   ダメもとでやってみましょう。できれば、部屋の中で練習しておくと   よいです。 ■レポート 0:あなたのことを教えてください。  小学生 中〜高校生 理科の先生 それ以外の先生 それ以外の大人  星空の連帯は   はじめて   2〜3回目   4回以上 1:木星食のはじまりか終わりを観察したあなた  何時何分何秒にはじまりましたか? あるいは終わりましたか 2:木星がはいるか、でてくるのにかかって時間は?  何秒くらいでしたか? 3:何か感想や意見、リクエストがあれば書いてください。 ■月が星をかくす  月は地球に一番近い天体です。そして一月(27日あまり)で地球を  めぐっていきます。ほかの多くの天体は互いの配置を変えませんから、  ほかの天体が月のかげにかくれることがあり、それを食とよんでいます。    太陽がかくされれば日食。星がかくされれば星食(せいしょく)です。  星食はかくされる星の名前で呼ばれることがあり、たとえば、  木星食、金星食、レグルス食、アンタレス食、アルデバラン食  などがあります。すばる食なんてのもあります。  星は、夜空にまんべんなくありますので、月はいつでも星食をおこして  います。でも、ある星が食をおこしてから、また次に食をおこすまでは  意外と時間がかかるのです。それは、月がいつも同じ経路をめぐっている  からではないからです。月は、星々の中を太陽とほぼ同じ経路を通ります。  ただ、その経路が描く円は、最大5度まで太陽の円からずれるのです。    月の大きさは0.5度ですから、1度も経路がずれると、前にかくした  星をかくせなくなります。そのために、日食も毎月はおこらないのです。    また、月は太陽とほとんど同じ経路を通るともいえます。  日本では太陽は、頭の真上より北側にはいきません。  だから、北極星食とか、北斗七星食とかカシオペヤ食はないのです。 ■【星空の連帯】WEBページ ガイドのバックナンバーもあります! http://member.nifty.ne.jp/science/hosiren/ http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~yoshiya/hosiren/