* この原稿は、使用自由・転載自由・改変自由です 渡部@大阪市立科学館 * ■はじめに  七夕といえば、おりひめとひこぼし、そして天の川。7月7日は本州は 梅雨の最中で雨がちだけれど、晴れれば宵の空、天高く見えるはずなんだ よぉ、、もしかしたら、雲の上でずずーっと寄り添っているんじゃないかな。 なんてことがよくその辺の雑誌やらテレビやらでいわれるのですが、 じ・つ・は、まちがいでございます。 清少納言さんも、星はすばる、なんていっておきながら、 果たしてすばるがどの星かわかっていたのかという話もございますが、 うえも同じでして、一度でも見ればわかるのに であります。 ・夏至の直後で夜がくるのが遅い。 ・梅雨のまっただなかで晴天率が低い。 ・空がかすみがちで、かすかな星が見えにくい。もちろん天の川も ・なんてったって、おりひめもひこぼしも宵の空ではまだ昇りたて 7月7日ではよく見えないのです。  では、いつ見ればいいのかというと、8月の下旬から9月がいいのです。 上のの条件が全部さかさまになります。 なら、どうして、最初からその時期にしないのでしょうか? 実は最初、平安時代のころはこのころにやっていたのです。いえいえ、 1000年間くらいはその時期にやっていて、江戸時代は庶民の楽しみとして 普及していたのです。ということで、100年以上昔のカレンダーのルールで 今回は七夕の星を見上げてみましょう。 ■第58回【星空の連帯】全国版の参加ガイドです。 ◇目標   旧暦の七夕に、おりひめ・ひこぼしを見る ◇観察時刻 8月25日(土)夜8時30分から5分間以上 ◇観察場所   南西がひらけているところ。 ◇準備  道具:筆記用具、時計。懐中電灯。できれば、しきものと双眼鏡。  防虫:宵の口などは蚊などにさされやすいので、     虫よけスプレーをておくといいでしょう。     また、夏の夜はぶっそうなので、防犯ブザーをもつか     できれば一人でなく何人かで見るようにしましょう。 ■観 察 1:まず、おりひめ を見つける  8時30分ごろ、おりひめ は 頭の真上(天頂)にあります  おりひめは、色は白、空の真上で一番明るい星です。     →かんたんな頭の真上のみかた   だれかに見てもらいながら、頭の真上を指さしてみてください。   はたして、ほんとうに真上を指しているでしょうか?   人間は、高さ60度くらいのところを「頭の真上」と   思ってしまうようですが、みなさんはいかがですか?   しきものをしいて、地面にねころがってみましょう。   正面が、頭の真上になります。    2:次に ひこぼし を見つける  ひこぼしは、おりひめ の南にあります  おりひめより1段暗いという感じです。    →夏の大三角でみつける ひこぼし   夏の大三角は、3つの星をむすんだものです。   おりひめ ひこぼし おのほし(しっぽのほし)でつくります。   ベガ アルタイル デネブ でも同じことです。      さて、この三角ですが下の図のようになります。 ★おのほし(デネブ) * ★ おりひめ(ベガ) * * ★ ひこぼし * * (アルタイル) ↓ 南 3:天の川は見えますか  天の川は、おのほし と ひこぼし をむすぶほうこうにのびています  ぼんやりとした白っぽい帯ですが、わかるでしょうか? 4:月は見えますか  場所をスケッチするといいでしょう   5:双眼鏡を使ってみましょう  双眼鏡を使うと、大きくみえるだけでなく明るく見えます  星の色や、暗くて見えにくい星もはっきりみることができます。    おりひめ と ひこぼしのあたりを双眼鏡で見てみましょう  ねころがってみるのがいいでしょう。 ■レポート 0:あなたのことを教えてください。  小学生 中〜高校生 理科の先生 それ以外の先生 それ以外の大人  星空の連帯は   はじめて   2〜3回目   4回以上 1:月は見えましたか?    はい、いいえ   色は?    好きな言葉で   どんな形をしていましたか    舟、バナナ、クロワッサン、カマなど   丸いほうはどっちを向いていましたか    下 右 上 左 右下、右上、左下、左上 2:おりひめとひこぼしは見つけられましたか?   知ってた かんたんに(図がよかった? 目立つなど)   ちょっと苦労した(理由も) とても苦労した 見つけられなかった 3:天の川は見えましたか? 4:双眼鏡を使った人   双眼鏡の性能は?    レンズの大きさ 倍率 (7x20とあれば7倍で20mm直径のレンズです)   天の川のあたりに何かほかの場所とのちがいを感じましたか? ■旧暦(きゅうれき) いまでも、地方にいくと「旧正月」を祝うところがあります。中国などでは、 春節といって、年間を通じて最大のお祝いです。ふつうの正月より盛大に お祝いするそうです。この「旧正月」は2月になることが多いです。 2002年 2月12日 2003年 2月1日 2004年 1月22日 2005年 2月9日 2006年 1月29日 2007年 2月18日 2008年 2月7日 2009年 1月26日 ※旧暦には「公式版」がないので、日付は暦によってかわることがあります。 この旧暦は、月(太陰:たいいん)を基準にしているので、 太陰暦、または 陰暦ということもあります。でも、太陰暦にもいろいろな 種類があるので、ちょっと誤解をまねきますね。また旧暦といわれるのは 現在の直前、明治5年まで使われていた天保暦をさすことがおおいようです。 ともあれ、旧暦は月の形で日付が決まるのです。新月を1日として、 7日は半月くらい、15日が満月くらい、22日が次に半月くらいです。 旧暦の3日に見える月は必ず三日月になります。正月1日は必ず新月でした。 旧暦では、ひと月は29日か30日です。これは、新月から新月までが 29日半くらいだからなのです。 また、年のはじめは、太陽を利用していて、太陽が赤道の真上を通る 30度手前の場所(24節気の雨水)が正月のなかに入るようにきめます。 こうした暦は、印刷や運送が発達していなかった時代には大変便利でした。 カレンダーがなくても、月を見ればだいたい日付がわかるからです。 盆踊りは旧暦の8月13日〜15日なら、満月くらい。満月で明るいから 一晩中踊れたのですし、15夜もかならず15日くらいになります。 そして、七夕は、旧暦の7月7日、現在のこよみだと、、 2001年 8月25日 2002年 8月15日 2003年 8月4日 2004年 8月22日 2005年 8月11日 2006年 7月31日 2007年 8月19日 2008年 8月7日 2009年 8月26日 となるわけです。なるほど、この時期ならぴったりというわけですね。 実は、現在も旧暦でお祝いする行事には、中秋の名月があります。 これは15夜でないといけないので、新しい暦で固定するわけには いかないのです。旧暦の8月15日がお月見の日とされています。 なお、旧暦のほうが農業には正しいという方もいるようですが、 農業はやはり太陽が中心の世界。現在の太陽にあわせた暦のほうが ぴったりくるのはまちがいありません。旧暦だと上のようにプラマイ15日 くらいぶれますので、うまくあうかというとあわないように思います。 旧暦のほうがいいというのは、やはり七夕と同じで、盆などの おいわいの時期の問題があるのでしょう。一月一定におくらせれば いいようなものですが、数字がすきな日本人は8月7日に七夕といっても ピンとこないですから、むりやり現在の暦にやって「やっぱあわない」と なるのではないでしょうか。 最後に、7月7日は、めでたいとされる奇数が2つ連続する日なので、 節句をいれたといわれています。ほかにも9月9日も重陽の節句といいます。 ■【星空の連帯】WEBページ ガイドのバックナンバーもあります! http://member.nifty.ne.jp/science/hosiren/ http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~yoshiya/hosiren/