渡部@大阪市立科学館です。 第1回・星空の連帯もいよいよ来週にせまりました。 それでは、観察方法をご紹介します。 ■いつ:12月14日午後10時〜少なくとも10分間 ■目標:ふたご座流星群  ふたご座流星群は、毎年12月の13日〜14日にかけて、  ふたご座を中心に四方八方に流れ星が流れる現象です。  多い時には、空の暗いところで、1時間に30個程度の流れ星が  数えられます。都会の真ん中ではちとしんどいかもしれませんが  私(大阪市立科学館の渡部)は、大阪市のど真ん中で挑戦します。 ■準備:  防寒対策:特に冷え込みのきついところでは気をつけましょう。       寒さは足から来ます。足下にカイロを入れるのもいいでしょう。  目慣らし:暗闇に目が慣れるのに時間がかかります。できるだけ、       周囲を暗くします。また、観察の「前」はサングラスを       しておくのも一つの方法です。(もちろん観察中ははずす)  道具:懐中電灯(赤いセロファンか布でおおって光を弱くしておきます)     時計(流れ星が飛んだ時刻を見ましょう)     できれば、メモ帳・筆記用具か、録音のできるウォークマンとテープ  防犯:あまり家から遠く離れなくてもいいと思いますが、     適当な場所がないのならば、痴漢撃退ブザーなどを用意しましょう。     また、家の人と一緒にやるのも一法です。 ■観察  東の方向ができるだけ開けた所にいきます。また周りはできるだけ暗いところ  がいいです。都会ならマンションの屋上がいいでしょう。  10時ごろには、東の空高くに、ふたご座があります。そのあたりの空全体を  眺めます。ふたご座が分からない人は、オリオン座の左上の方をみてください。  最低10分間はがんばってください。流れ星が流れたら、時刻と色と  明るさを記録します。テープにふきこんでもいいでしょう。  *ふたご座は、オリオン座から探せます。オリオン座のベテルギウスとその   横に並ぶ星(ベラトリクス)を結んで東にのばしてプロキオン   (こいぬ座の星)をみつけ、そこから北にいけば、ふたご座の2つの星が   仲良くならんでいます。一応絵も描いてみました。       ★ふたご座のカストル       ★カペラ(黄色くて明るい)   ★ふたご座のポルックス ^ |   | |  ふたご座 | |    |      *(ふたご座の星)             ★アルデバラン |                               (赤い)   ★<−−−−−−−−−−−−−★     *    プロキオン(黄色っぽい)   ベテルギウス(赤い)                    ***                   *     ★リゲル(白い)         ★シリウス(めちゃ明るい) ■観察その2:FMラジオで流れ星をきこう  FMラジオで、聞こえるかどうかという放送局を選んでおきます。  すると、ときおりはっきり聞こえる時がありますが、それは、流れ星に  よってできた電波を反射する小さな雲で、水平線の向こうの放送が  反射されて聞こえたのかもしれません。  実際に、海上保安庁などでは、流れ星による反射雲を使って、  遠い会場にあるブイなどの情報を通信する「流星バースト通信」という  ものの研究がされ、一部実用化もしています。 ■観察その3:写真は?  流れ星の写真は非常に写しにくいです。簡単には星座の写真を写すのと  同じでよいですが、明るい流れ星もすぐに消えてしまうので、なかなか  はっきり写せません。  ISO1600 のフィルムに、F2のレンズを開放で使うくらいでちょうどです  周りが明るい都会では、残念ながらあきらめざるを得ないでしょう。 ■流れ星って  流れ星は毎日流れています。昼も夜も関係ありません。ただ、  空が真っ暗な所で、1時間に5個数えられれば多いほうです。  ふたご座流星群は、流れ星が1時間に20、30と見られるものがある  ので流れ星を見たことがない人のチャレンジにはもってこいです。  もちろん、都会でも流れ星が見られる確率があがります。  流れ星は、小さな石や氷の塊が宇宙から地球に飛び込んできたときに、  猛烈なまさつ熱で光る現象です。速度は流れ星にもよりますが、  秒速10km〜80km ほどです。光る高さは、100km 程度ですから、  万一、何秒も光る流れ星があるとしたら、大変危険ですね。  ふたご座流星群の場合は秒速35kmくらいです。マッハ100くらいです。  ちなみにスペースシャトルは秒速 8km くらいです。  流れ星の大多数は、彗星から飛び出した、スカスカの砂粒のような  ものだと考えられています。大変もろくて、簡単にこわれてしまいます。  隕石も流れ星のように光りますし、仲間のように考えることもありますが、 落ちてこられる隕石は、しっかりと固いものが多い(金属のものが多い)  ので、隕石の小さいものが流れ星というとちょっと違います。  なお、光るといっても「燃える」のではなくて、高温になって溶けた  流星体が、蒸発し、その蒸発物質が大気中の分子と衝突し、電離して  発光します。光の色は、流星体物質の構成分子のスペクトルと大気の  分子のスペクトルになります。炎色反応の話や蛍光灯が光る話と  関係がありますね。  流れ星については、しし座流星群の時のお話も参考にしてくださいね。  ふたご座流星群の元の天体は、彗星ではなく、もう揮発成分が枯れて  しまったファエトンという小惑星だと考えられています。  そのうち、ふたご座流星群は見られなくなるかも知れませんね。