* この原稿は、使用自由・転載自由・改変自由です 渡部@大阪市立科学館 * 今回は、原点に戻って、夜10時の開催です。 ■□ ポイントはここだ!!! 【受験生スペシャル】   えーちゃんから、受験生向けのスペシャルご挨拶(#18768)がありましたね。 【星の色は、カラフルだ】   星の色に注目してみましょう。月の色って何色か知っていますか? 【火星接近】   火星が地球に接近しています。今年の7月には火星探査機が着陸しますよ。 【特別ボーナス!・アルデバラン食も起こる】   ちょっと早めの8時30分すぎから、1等星のアルデバランが、月に隠されます。   とても珍しく面白い現象です。ただし、東京の北部から北でないと見られません。 ■□ では、第3回【星帯の連空】全国版の参加ガイドです。 ▼い つ:2月15日(土)夜10時【注】から5分間以上       【注】アルデバラン食は、8時30分〜9時30分です。 ▼どこで:所:南〜東側の空が見えるところがベストです。家からでもOK ▼目 標:冬の星・火星・月      冬の星は明るく都会の真ん中でも見られます。これに接近中の火星や      おうし座の一等星アルデバランに接近している月が加わりにぎやかな      空です。今日は、この明るい天体を全て見てしまいましょう。 ▼準 備:  防寒対策:特に冷え込みのきついところでは気をつけましょう。       寒さは足から来ます。足下にカイロを入れるのもいいでしょう。  目慣らし:暗闇に目が慣れるのに時間がかかります。できるだけ、       周囲を暗くします。また、観察の「前」はサングラスを       しておくのも一つの方法です。(もちろん観察中ははずす)  道  具:懐中電灯(赤いセロファンか布でおおって光を弱くしておきます)       メモとエンピツ。できれば、オペラグラスでもいいから双眼鏡。  防  犯:あまり家から遠く離れなくてもいいですが、適当な場所が       ないのならば、痴漢撃退ブザーなどを用意しましょう。       また、家の人と一緒にやるのも一法です。 ▼観 察:南〜東が開けたところに行きます。      あまり低空は見えなくでもかまいませんが、街灯はさけましょう。      都会ならば、マンションの屋上などがいいでしょう。      なお、ベランダや庭から見る場合は、できれば部屋の灯りは消します。      以下の星図を頼りに、★印の名前が書いてある星の色、それから火星と      月の色を書いてください。また、できれば双眼鏡でも見てみて下さい。      報告用紙は、下につけておきます。 ★カペラ * 天頂 * * カストル★ ※昴 ポルックス★ * * * * * * 月○★ アルデバラン レグルス★ ベテルギウス★ * プロキオン★ ○火星 _* *~ * ★リゲル * シリウス★ * + * + ++ * * ++ +++ +++ +++ * +++ +++ +++ +++ * * +++ ++++ カノープス【注】++ ++++++++++++++++★++++++++++ 南 【注】カノープスは、東京以北はまず見えません。山間部でも無理でしょう。    見られたら、3年長生きするといわれるくらいです。沖縄ではよく見えますが ▼報 告  色を書くときは、ただ「赤」「黄色」ではなく、もう一工夫した表現にして  ください。例えばシリウスとリゲルが同じ紫に見えたとして濃い紫か青っぽい紫か、  白っぽいけど紫に見えるのか、、緑でもエメラルドグリーンとか黄緑とか、  いろいろありますよね。  また、同じような赤に見えたら、どっちが濃いのか、黄色っぽいのかなども書きます  また、報告は、【星連報告2/15】の発言をしますので、そのコメントでお願いします。 ▼報告用紙 ・双眼鏡を使いましたか? ハイ イイエ ・色をできるだけ詳しく書いてください。  色が分からない場合は明るさの順番を書いてください。  カペラ   :  カストル  :  ポルックス :  プロキオン :  レグルス  :  火星    :  シリウス  :  ベテルギウス:  リゲル   :  アルデバラン:  月     :  カノープス : ・1番赤い星は ?: ・1番青い星は ?: ・1番明るい星は?: ▼スペシャル観測:アルデバラン食(東京〜福井以北)  月は、意外と小さなものですから、月に1等星が隠されるのは珍しいことです。  実は、日食や月食よりも珍しい現象なのです。  観察は双眼鏡かできれば望遠鏡を使います。かならず三脚などに固定してください。  そして、  1:月の縁に隠れた時刻(潜入:せんにゅう)  2:月から出てきた時刻(出現:しゅつげん)  を記録するのが本式です。ビデオに望遠鏡を覗かせても撮影できます。  でも、そこまでは大変なので、予報の値を載せておきますので、よかったら、  ごらんになってください。月の運動が分かります。  札 幌 潜入:8時36分 出現:9時42分  青 森 潜入:8時42分 出現:9時40分  仙 台 潜入:8時52分 出現:9時35分  金 沢 潜入:8時57分 出現:9時18分  東京北 潜入:9時14分 出現:9時14分  東京北区の値は、つまり、月の縁に一瞬ふれるだけということになります。  こういうのを接食といって、めったに見られません。接食が起こるのは、  福井〜勝山の北〜高山の南〜諏訪の南〜山梨・長野県境〜東京・埼玉県境   〜松戸〜佐倉にかけての地域です。  福井のあたりでは、9時ちょうど。成田では9時15分ころになります。  参考資料:月刊天文1997年2月号 ▼解 説:冬の星たち   冬の星は、明るい星が多いですね。これはまったくの偶然ではありません。   まず、明るい星は、なぜ明るいのか考えて見ましょう。 ▽恒星(こうせい)という言葉   これ、覚えてください。冬の星といういいかたができるのは、恒星(位置が   「恒」常的に変化しない)だからです。惑星(位置が変化して迷「惑」)な   星は、冬の星とか夏の星とはいいません。 ▽近くにある冬の星たち   まず、明るいということは、近くにあるということが考えられます。   例えば、シリウスは 8.7 光年の距離にありますが、これはとても近い星です。   星と星との平均距離は数光年ですから、シリウスは、すぐお隣さんの星なのです。   (1光年=9.46兆km)。   ちなみに、肉眼で見える星の距離は、ほとんど数百〜千数百光年です。   何万光年彼方の星というのは、歌であっても、肉眼ではまず見えません。   他に近い星ではこんなところです。   プロキオン(11光年)、ポルックス(35光年)、カペラ(40光年)、   カストル(50光年)、アルデバラン(60光年)、カノープス(80光年) ▽スーパースターの星座。オリオン座   一方、上にでてこなかった、オリオン座のリゲル、ベテルギウスは   500〜1000光年という遠距離です。オリオン座の他の星たちも、   1500光年程度の距離の星が多いのです。では、それがなぜあんなに明るく   見えるかというと、もう、もともとすごーく明るいということになります。   ちなみにベテルギウスの明るさは、太陽の1万倍の明るさ。リゲルは、   太陽のなんと5万倍もの明るさになります。   また、オリオンの腰のベルトの三ツ星もリゲル以上の明るさです。   そばになくて良かったですね。 ▽星の色   火星や月の色は地面の土の色を表しています。地球は青く見えますがこれは   地球表面の7割を占める海の色ですね。太陽に照らされてこんな色に見える   のです。ところが、他の星たちは、土や海の色ではありません。太陽の   ように熱い熱いガスの塊で、こうしたものの色は、表面の温度によっています。   青い星は温度が高く1万度以上、赤い星は温度が低く3000度〜4000度。   太陽は中間で黄色っぽい白、6000度位です。 ▽ベテルギウス   ベテルギウスは、とても面白い星です。すごく明るいことは書きましたが、   大きさもすごい。太陽の千倍も直径があります。太陽の場所においたら、   火星まで飲み込まれてしまいます。でも、重さは太陽の千×千×千もありません   実は、太陽の100倍以上の重さの星は、まずないのです。   実際ベテルギウスの密度は、1立方メートルあたり、0.0005kgで、これは   地球でいえば、大体 5万メートル上空の大気の密度です。しかもこれは平均   ですから、ベテルギウスの表面付近は真空に近い状態になります。   ベテルギウスの中を宇宙船で突き抜けることも可能かもしれません。   また、ベテルギウスの表面には、さらに大気がありますが、なんとそこに、   ベテルギウスBという星が回っています。これは惑星ではなく太陽のような   星ですが、なんともオドロキですね。地球の大気の中に月がつっこんでくる   ことを考えてみてください。   さらに、ベテルギウスは、こんなブヨブヨの星なので不安定であり、激しく   恒星風を吹き出していますし、大きくなったり小さくなったりという脈動を   起こしてもいます。そのため、ベテルギウスは色も明るさも変化する星です。   この不安定な状態は永久に続くはずもなく、まもなくベテルギウスは大爆発   をして、死んでしまうと考えられています。 ▽シリウス   ベテルギウスに比べれば平凡な星です。大きさは太陽の2倍ほど、明るさは   太陽の10倍です。近くになければ、これほど目だたなかったでしょうね。   恒星の中では一番明るく「見える」星です。   で、実はシリウスのおもしろさは「見えない」シリウスにあります。実は   シリウスは2つの星が回りあっていて、もう片っ方は目では見えないのです。   (望遠鏡でも簡単には見えない)これは、シリウスBという小さな星で、   大きさは地球の倍くらい。でも恒星なのです。こうした小さくて白い恒星を   白色矮星(わいせい)といいます。矮というのは、すごくちいさな、という   意味です。英語では白い小人(White Dwarf:ホワイト・ドワーフ)といいます   この星は、でも小さいわりに重い星です。そのため、シリウス(A)がふら   ついていたので発見されました。これ、どうももともと大きかった星の中心   の芯だけが残ったようなのです。昔は、余熱で光っているといったものです   が、最近はエネルギーを作っていることが分かっています。   プロキオンにも同じような、星が回っているのが分かっています。 ▽カストル   2つの恒星がある世界が、どんどん出てきました。太陽が2つあるというの   は変なものですが、カストルはなんと、太陽が6つある世界です。   カストルを望遠鏡でみると、2つに分かれて見えますが、これがさらに   2個ずつの星のペアです。また、さらに離れたところにもう1個あって、   これが、最初の4個の回りを2個のペアになって回っていることがわかって   います。 ▽星座の名前   最後に、先生向けのおまけです。星座の名前は、ひらがなと、カタカナで表す   「決まり」になっています。双子座、獅子座と書きたくなる気持ちはわかり   ますが、ふたご座、しし座と書いてください。子どもにもそう教えて下さい。   学術用語集でそう定義されていますので。