【星連】ファンのみなさま(^0^)/ 一月ぶりのご無沙汰 渡部@大阪市立科学館です。 今回のテーマは「お月見」。夜更かしもOKの人は「月食」の観察もアリ。 もっとも身近な天体。地球人12人の足跡のある星「月」に大注目だーい。 * この原稿は、使用自由・転載自由・改変自由です 渡部@大阪市立科学館 * ■□ ポイントはここだ!!! 【1000年だぞ!】   お月見は、1000年もの間続いている行事です。   アメリカは独立してたかだか200年、飛行機が飛んで100年   ロケットが月にいって30年、、、どーです! この重み。 【食べてから見るか? 見てから食べるか?】   お月見といえば、○○○、あなたは何を食べますか? 【お父さん! 静の海だけじゃないんですよ】   月にも8つの海あり。肉眼でもなんとかわかるかな? 【本物のカイキ現象 皆既月食を見るぞ】   本当のカイキ現象は、皆既月食で決まり! オカルトの語源はこれなんだ!   ニセオカルトじゃなくて、本当のオカルトを見てみよう! 【ネオ・お月見・クリエーション】   あなたなら、何をしながら月ぞ見る? 時分流の月見を創造しよう。 ■□ では、第10回【星空の連帯】全国版の参加ガイドです。 ▼い つ:9月16日(火)夜8時 +(月食:17日(水)明方1時〜5時) ▼どこで:東の空が見える場所。家からでもOK(月食は南〜西の空が見える場所) ▼目 標:月、満月、月の兎、月の海、月食、月見団子 ▼準 備:  道  具:できれば双眼鏡。メモとエンピツ。月見の道具。椅子もあると便利。  防  犯:できれば家から観察しましょう。家の外でやるなら、防犯ブザーなどを       用意しましょう。家の人と一緒に見るのも一法です。  防  虫:蚊取り線香。虫よけスプレーなどを使いましょう。 ▼準備2:月食を観察する場合  体  調:月食をみる場合は、体調を十分整えます。無理はしないこと!  睡  眠:できれば「お月見」のあと一回寝てから、月食に望みます。  宿  題:でも、寝る前に宿題はちゃんとやりましょう(^^; ▼観 察:お月見  まずは、月見の準備をします。できれば前の日から用意をしておきましょう。  ごくごくふつうのお月見は、こんなんです。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  日本では中秋の名月・芋名月とよび,月にススキと団子を供える.(中国では  月餅をそなえる)お月見・観月会と呼ぶ.(天文教育おたすけCD Ver.0.80a) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  団子は白玉粉で作ります。で、三方にのせてお供えをするのです。  え? 白玉粉ってわからない? 三方って知らない。百科事典でしらべましょう。 ▼観察2:月の兎を見つける  月の兎とは、月のちょっと暗めの部分でできる模様のこと。  月のカニにみたり、ロバにみたり、ちょっと太めのオバサンの横顔にみたりする。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ @@@@@@@@@@@@@@@@ @@@@@@@@@@@@@@ @@@@@@@@@@@@@ __ @@@@@@@@@@@ @@@@@@@@@@@ ++++++++ _ @@@@@@@@ @@@@@@@@@ ++++++++++ ++++ @@@@@@ ←一応描いてみました @@@@@@@@ +++++6++++++++5+__ _ @@@@@ @@@@@@@ +++++++++++++ ~~~~++++ 1 @@@@ 右を上にすると兎 @@@@@@@ ++8++++++++ ++4+ _~ @@@@ 下を上にするとカニ @@@@@@@ +++++++++++ +++++++++ @@@@ 右を上にしてロバ @@@@@@@ ++++7+++ +_ +2+ @@@@ 右上を上にするとオバサン @@@@@@@@ ++++++++ +3 ++ @@@@ @@@@@@@@@ ++++++++ +++ @@@@@ に見えるかは本物で確認! @@@@@@@@@@ ++ @@@@@@ あ、むきも違いますよ。 @@@@@@@@@@@ @@@@@@@@ @@@@@@@@@@@@@ @@@@@@@@@@ @@@@@@@@@@@@@@@@ @@@@@@@@@@@@@@ @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ <----------- 3476km ------------> <北海道--2243km--沖縄> <-1417km福岡> ▼観察3:月の兎は「海」だった  兎やロバに見える暗い部分は、海(Maria:ラテン語)と呼ばれています。  これはガリレオが最初に望遠鏡で月を見たとき、海だと思ったからだそうです。  でも、水を満々とたたえてはいません。望遠鏡でみると、そんなに  真っ黒というわけでなく、ちょっとまわりより暗いかなというくらいです。  上の図の数字がそれぞれの海の中心くらいです。名前は、以下の通りです。  1:危難の海 2:豊かの海 3:神酒の海 4:静かの海  5:晴れの海 6:雨の海  7:雲の海  8:嵐の大洋  海は、溶岩のような黒っぽい岩石で覆われています。巨大なクレーターにより  月の地殻の下から玄武岩質の溶岩があふれて覆われたと考えられています。 ▼やってみよう:新しいお月見スタイルを考えてみましょう。  もともと、お月見は風流を好む平安貴族の行事として始まったようです。  そのため、満月がほぼ真東から昇り(平安京の通りは東西南北にはしっている)  夜も暖かい秋分のころに行われていたと考えられます(以上、私の説です)。  その後、お月見は庶民のものとなり、米で作った団子やお酒、稲穂のように見える  ススキの穂をささげ、収獲際のようになったようです。盆踊りは、満月が明るい  一晩中踊れるこの時期に行われました。  #韓国では、この時期チュソクといわれるお盆休みをとるようですが、月と関係  #あるかはわかりません。  現在は、農業を営む人は少数派になってしまいました。私たちは何をもって  月見を祝ったらいいのでしょうか。やはり科学者の努力によってわかってきた  月の正体をしりつつ、地球の弟分を意識するのがいいのではないかと思います。  それに、すべての人類は月の下に生きているのです。世界中の人が同じ月を  見ていると思えば、お月見は60億人類の【星空の連帯】となるはずです。  世界の人の共通語は、、食べ物、音楽、科学、などの文化です。  月の食べ物は何があるでしょうね。富山には「月世界」というおいしいお菓子が  ありました。音楽は? 「ムーン・リバー」「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」  なんてのがありますね。映画「アポロ13」「2001年宇宙の旅」のテーマも  いいでしょう。日本の「炭坑節」「十五夜お月さん」もわすれちゃいけませんね。  月にまつわる、エトセトラ、あなたも教えてください。  #大阪では、他に類例のない月見団子があるようです。 ▼皆既月食を観察しよう:  夜更かし、、いや早起きが得意な人は月食を観察してみましょう。  月食とは、太陽、地球、月の3天体がほぼ同一直線上に並び、地球の影の中に 月が入る現象ですね。  今回の月食は、なかなかすばらしいものです。 ・全国で1993年6月4日以来約4年3ケ月ぶりです。 ・次回の皆既月食は3年後の 2000年7月まで見られません。※ ・今回の月食は、17日午前2時8.1分に欠け始め、同3時46.6分に食の最大となり、  同5時25.2分にもとの満月にもどります。 ・今回大阪では、欠け始めから食の終りまでの月食の全経過の様子をみられます。 ・「赤銅色の月」となる回帰継続時間が62.5分と長く観望できます。 皆既月食の観察には、特に道具はいりませんが、双眼鏡があるとより楽しめます。 また、長丁場ですので、たとえば10分ごとに観察し形をスケッチするといい でしょう。月食進行中は「かけ方」に。皆既中は「色」に注目してください。 色鉛筆でスケッチするのもいいでしょう。 皆既の始まる時刻、終了の時刻は正確にはあえて書きません。 3時10分すぎと4時20分よりちょっと前です。 いつからが皆既の始まりかを測って見てください。 また、欠けはじめ、欠けおわりの時刻も測ってみてください。 全部はできなくとも、一つだけでもやってみてください。 ※今後の月食の予報 1999年7月28日 20時30分ごろ > 部分月食 2000年7月16〜17日 23時ころ > 皆既月食(条件最高) 2001年1月10日 5時ごろ > 皆既月食(全経過は見られない) 2001年7月5日 24時ごろ > 部分月食 2004年5月5日 5時30分ごろ > 皆既月食(全経過は見られない) 2005年10月17日 21時ごろ > 部分月食(ほんのはしっこだけが欠ける) 2006年9月8日 4時ごろ > 部分月食(ほんのはしっこだけが欠ける) ■月食はオカルトだ!?  真ん丸の満月が、突然欠けはじめる。こりゃー不思議だ。というわけで  隠される(オッカルト Occult)という言葉が生まれました。  もっとも、 eclipse というのが食の英語訳ですので、お間違えのないように。 ■満月の夜は事故が多い???  という話がありますが、ちゃんとした統計の裏付けはありません。  本でかかれているものも、思い込みを元にして統計の操作がされており、  信頼できません。  古来は、月夜は貴重な明かりがなくとも外ですごせましたので、  そのために(家の中であればおこりようもない)事故があったかもしれません。  しかし、現在は、いつでも月より明るく街の光が照らしていますので、  あまり関係がないと思います。  それにしても、明るいと事故が多いと「すれば」、街をあれほど照らすのは  犯罪を防止することになっているのでしょうか? あまり関係がないという  話もあるようですが、ちゃんと検討する必要があるようです。 ■満月と新月では、事故の責任が変わる  船舶の事故などでは、注意義務をどれだけおこたったかで、責任が変わりますが  周りの明るさなどで罪が変わることがあるようです。そのため、科学館には  警察や裁判所からの問い合わせが時々あります。  暗い海の上では、新月か満月かは重要な問題のようです。 ■満月の夜は地震が多い???  という事実はありません。地震については FSCI の地球科学会議室に  やぎ議長の個人的な努力により情報が掲載されています。  気になる人は、過去のデータを見てみてはいかがでしょうか? ■お月見の夜は満月とは限らない  お月見は旧暦8月15日の夜にやることになっています。  旧暦は1日が新月(月齢0)を含む日と決めた暦ですので15日はおおよそ  月齢14になり、だいたい満月くらいです。  しかし、満月は月齢で決まるものではなく、太陽と反対側に月があるときと  決まっています(正確には黄経で180度違う瞬間)。これは 13.5〜16日くらい  まではばがあります。月が地球の回りを一定の速度で回っていないためです。  今年も、満月は17日ですが、お月見は16日になっています。 ■旧暦って誰が決めているの?  実は、旧暦をちゃんと決める機関はありません。ですから、明治5年まで  使っていた方法を現代的にアレンジして、こんなもんだろうと決めています。  しかし、現代の方法を過去に使うと日付がずれる日もでてしまいます。  これは、現代の月の観測精度がよいため、過去の暦の間違いがわかってしまった  例です。でも、過去の歴史をかえるわけにはいきません。  したがって、現在旧暦とよんでいるものは、きちんとした根拠があるわけでは  ないのです。これをもとにした六曜(大安など)も根拠はありません。  旧暦といういいかたも、だから本当はよくなく、俗事暦とか祭事暦(歴史的な  行事のための暦)とでも呼ぶべきだと思います。 ■月を写真で写す  意外とカンタンです。なにしろ、相手は地球と同じ距離にあって太陽の光を  反射しているもの、、つまりそのへんのものと同じなんですから。  一つの目安として、ISO100フィルムでの露出時間は  満月でF8 1/500〜1/250秒  半分以上かけていたら F8で 1/15秒程度  皆既中はF4 で5〜10秒くらいでしょうか。  何段か露出をしてみましょう。 ■月は地質学の時代だ!  月からは、すでに多数のサンプル(月の石)が持ち帰られています。  日本もまもなく月ロケットを打ち上げようとしています。  天文学の対象だった月も、もはや直接探査の時代。地質学や地球物理学の  時代へと移っています。  いま、小学校のみなさんが大人になるころには、月探査ロケットを各国が  打ち上げるようになっているかもしれませんね。 ■参考文献  朝日コスモス1995→2000「スカイウォッチング事典」朝日新聞社、2136円+税  T.R.Watters「PLANETS A Smithonian Guide」 Macmilan $24.95  国立天文台「理科年表1997年版」丸善、1068円+税  野本陽代、丸善ライブラリー「ふたたび月へ」丸善、718円+税  天文情報処理研究会「天文教育おたすけ CD-ROM Ver0.80a」国立天文台、β版