【星連ガイド4/25】金星&木星・大接近 【星空の連帯】ファンのみなさま(^^)/ 渡部@大阪市立科学館です。 ■4月の【星連】は,早朝の空に金星&木星の大接近を観察します。 1番明るい金星と2番目の木星がならぶのは壮観ですよ! 23日に観察できれば、それに細い月まで加わってすごい。 ◇観察時刻 4月25日(土)4時30分(早朝)から5分間       がんばれる人は、20日から毎朝見てみよう。 ◇観察場所 東〜東南東の地平線近くまで見える場所       (部屋の窓からでもOK) ◇準備   筆記用具。できればカメラ(何でもいいです) ◇防寒   明け方は冷え込みます。風が強いときは一枚多めに。 ■観察  指定の時間に東〜東南東の低空を見ると、明るい星が2つならんで見えます。  それが金星と木星です。地域によっては周囲は明るくなって、他の星はまるで  見えないかもしれません。次のポイントに注意して、観察してみましょう。 ポイント1:どっちが金星でどっちが木星ですか?  向かって、右? 左? ヒント、明るい方が金星です ポイント2:金星は木星の何倍くらい明るいですか?  2倍? 5倍? 明るさの見積もりに挑戦してみよう。  予想できる答えは一番最後に書いておきます。  でも、これは予想。自分の目でデータをとってみよう。 ポイント2[上級]:金星は木星より何等級明るいだろうか?  等級については解説を見て下さい。  ※ちなみに5等級ちがうと明るさは100倍。   2.5倍×2.5倍×2.5倍×2.5倍×2.5倍=約100倍だから、   1等級ちがうと2.5倍くらい明るさがちがいます。 ポイント3:周りの明るさは?(曇っていても調べてみよう)  同じ4時30分でも、地域によってだいぶ違います。  周りの明るさに注目してみよう。たとえば、  ・星は見えますか?  ・空の色は何色ですか?  ・懐中電灯なしで楽々歩けますか?  ・懐中電灯なしで楽々メモがとれますか?  ・街灯や部屋の灯りがあたっていないところの明るさは?  ・空はどっちの方向が明るい? 金星の右? 左?   角度でどのくらいはなれたところが一番明るい?  ・空に雲が見えていたら、全部同じ色か、場所によって   ちがうか見てみよう。 ポイント4:水星も見えるんですが、、(下の図を頼りに見えるかな)  水星は月の真上にあります。大阪だと高度は5度くらい。  金星と木星が15度ですから、その3分の1の高さです。  水星は空気のきれいなところでは、本当にギラギラと見えます。  たとえば、神奈川県の丹沢で見た水星は、それは見事なものでした。  都会だと低空の空気が濁っていて難しいでしょう。でも夕方よりは  ずっと条件がいいので挑戦!挑戦!                金星と木星       水星       月 ------------東----------------東南東---------------- ■チャレンジ! 記念写真を撮ってみよう  もし、フィルムのあまりがあったら、金星や木星の写真を  とってみよう。手持ちでOK。しっかりかまえて、さあ写るかな?  ピント調節機能があれば無限大。フラッシュはオフにしよう。  望遠レンズを使ってもおもしろい。露出はオートでOK  もし、三脚があるのならば、使った方がいいだろう。  望遠鏡や双眼鏡をのぞくかわりに、カメラにのぞかして  撮影してみよう。デジカメでもいけますぞ。三脚をつかう。  ピントは1眼レフやデジカメならぴったりあわせて。  そうでないなら、適当にずらしながら写してみよう。  オートフォーカスは役にたたないので切る。  あらかじめ、操作説明書(マニュアル)をみてオートフォーカスの  切り方を調べておきましょう。 ■金星と木星の接近1  金星と木星が接近するというが、これは見た目でのこと、  実際には距離が全く違います。 日 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 金星 0.87 0.87 0.88 0.89 0.90 0.91 0.91 0.92 0.93 0.94 木星 5.68 5.67 5.66 5.65 5.64 5.63 5.62 5.61 5.59 5.58 距離の単位は、地球〜太陽間を1としたもの(天文単位・約1.5億km) 昔の人々は、これは実際に近づいていると考えていました。 人間は遠くのものの距離の見分けがつかないからです。 どのくらいになると、見分けがつかなくなるかというと、 立体感がなくなるのが、300mくらい、遠近感がなくなるのが 3kmくらいと私は思っておりますが、根拠はありません。 なんらかの方法で確かめてみて下さい。 なお、暗がりで静止している輝く光の点だと、まるで距離が わからないことがあります。プラネタリウムはこれを 応用しているわけですね。 ■金星と木星の接近2 この金星と木星の接近はどのくらいの頻度でおこるのでしょうか 計算ソフトでしらべてみると、、こうなります。2度以内に接近する 機会(その中の最も接近する時)を向こう10年でしらべてみました。 1998/04/23 0゜17' 1999/02/24 0゜09' 2000/05/17 0゜03' 2001/08/06 1゜12' 2002/06/04 1゜38' 2003/08/21 0゜32' 2004/11/05 0゜33' 2005/09/02 1゜13' 2006/11/16 0゜26' 2008/02/01 0゜35' 次に5度以内でしらべてみますと、あれ、大してかわりません。 1998/04/23 0゜17' 1999/02/24 0゜09' 2000/05/17 0゜03' 2001/08/06 1゜12' 2002/06/04 1゜38' 2003/08/21 0゜32' 2004/11/05 0゜33' 2005/09/02 1゜13' 2006/11/16 0゜26' 2008/02/01 0゜35' 2008/12/01 2゜01' つまり、木星と金星は接近するときは必ず2度程度まで近づくのです。 これは、同じ道を走る車が追い抜きの時かならず近づくのと同じ理屈 つまり、金星と木星の通り道は、ほとんど同じなのです。 でも、距離は全然違いますね。 距離が違って、方向が同じ。ということは、、、 金星と木星は、地球とほぼ同じ面の上を運動していくと いうことになります。 たとえるなら、金星も木星も地球も同じ机の上をコロコロ転がる ビー玉の様なもの。机を真横から見ると、ときどき重なってみえる でしょう。これを接近といっているわけです。 それにしても、宇宙は上下でも左右でもどこにでも動けるのに、 なぜ同じ面の上しか移動しないのか、これは不思議ですね? ちなみに、彗星は、まったく違う面を移動するものがたくさんあります。 ■金星と木星と月の接近  金星と木星は、次第に近づいていき、23日の9時ごろに0.3度まで 近づきます。これは月や太陽の見かけの大きさ 0.53度より小さいのです。 さらに、23日の17時〜23時ごろは、これらの星と月も接近します。 その距離は、金星と月が 0.4度、木星と月が 0.1度で、いずれも 月の直径よりも小さい。つまり、、、金星と木星は月にかくされる。 金星食と木星食がおこるのです。残念ながら日本では地平線の下で 観測できませんが、昼間の空に接近していく様子は観測できるかも しれません。また、インド〜アフリカ中部〜南アメリカの非常に 限られた地域では、この両方の食があいついでおこる様子を 観測できます。ただし昼間の現象ですが。 ■等級ってなんだ  星の明るさを表すのには、等級というのを使います。まるでリンゴかなにか のようですが、非常に伝統がある単位です。  この単位を考えたのは、2000年前のギリシャ科学者ヒッパルコスです。 彼は、目で見える最も明るい星を1等星、最も暗い星を6等星とし、星を 分類しました。運動会の1等賞、2等賞と同じ順番ですね。  ただこのままでは、科学的な単位としては使えません。単位は数値の増えたり 減ったりする関係が明確に定義されていないといけないからです。 そこで、150年ほど前にポグソンが調べたところ、1等星は6等星の100倍明る いことがわかりました。また、その間は1等星と2等星のあいだが約2.5倍、 2等星と3等星の間が約2.5倍と倍、倍になっていることもわかりました。 (ポグソンの法則)このように倍、倍になっているのは、人間の感覚が倍に なって初めて「違い」をはっきりわかることに由来します。 (ウェイバー・フェヒフナーの法則というそうです)。  さらに、この等級という単位には基準が必要です。基準に選ばれたのは 0等星になった、こと座のベガ(おりひめ星)でした。しかし、このベガは その後、明るさが変化していることがわかりました。また、ベガはたとえば 南極からは観測できません(南極にもシカゴ大学の天文台があります)  そこで、現在では世界中で観測できるように、空にまんべんなく基準の星 をもうけて、それらの星との比較で等級を測るようにしています。 ■惑星カレンダー  今年の惑星について、見どきを一覧にしてみました。 水星:明け方に見えるのは5月頭、8月末、12月中頃    夕方に見えるのは7月中頃、11月中頃、それぞれ前後5〜10日位 金星:今年はずーっと明け方の空です。年末になって夕方にうつります。    10〜11月は、明け方にも夕方にも見えません 火星:いまは太陽の向こう側でまるで見えません。夏以降は明け方の空です 木星:7月までは明け方の空、9月以降は宵の空によく見えます。    11月くらいがベスト。 土星:6月くらい明け方の空、11月以降は宵の空に見えます。 というわけで、今年は年末にならないと楽な惑星観望は無理ですね。 早起きをしてみるのが、ベストだといえます。