*この原稿は、無断で使っていただいてOKです。切り貼り、改変ご自由に* ■はじめに〜6月は夏至 一部をのぞいて、6月の日本は、太陽も星もよく見えない日が続きます。 でも、6月の太陽は、1年で一番高く輝いているのです。そう「夏至」です 夏至の日の真昼、太陽の高さは年間で最大になります。 その角度は、地平線から、90[度]−土地の緯度[度]+23.4[度] です。 大阪なら、90[度]−34.7[度]+23.4[度]=78.7[度] ひー、頭の真上近く! では、月はどうでしょうか。これを見てみましょう。 ■では、第20回【星空の連帯】全国版の参加ガイドです。 ▼い つ:6月8日(夜8時)・9日(夜9時)・10日(夜10時)から5分間      1日だけでもOK、3日ともなら、大感激! ▼どこで:空がひらけた場所なら、家のベランダか庭先などでOK。 ▼目 標:月 ▼準 備:記録器具:メモにエンピツ ▼観 察:指定の時間に、月を見てください。      そして、その高さを調べます。  ◆高さは、どうやってはかりますか?   キロメートルですか? 違います。   近くの家が高くみえたり、遠くの山が低くみえたりするでしょう   この感じをはかるためには、、、、角度ではかるんです。    頭の真上は、地平線から、直角だから、、、90度    地平線は、、、0度    頭の真上と地平線の間の高さなら、、、45度    もっと詳しく高さを調べるために、ゲンコツ定規・ユビ定規    を練習しておきましょう。  ◆ゲンコツ定規は、体を使った分度器です。   下の図でわかるかな〜、腕をピーンとのばして、ゲンコツをみると   ゲンコツのタテの高さは10度になります。 ****** * * * __ * * |_* *-----------------------**------------------------------| * *~~~-----_10度 **** | * * ~~~~-- ** *        | * * ******* ***~~~------____ | * ***** * ******* * ~~~~~-----_____| * * ***** ** * ************ *** * *** * ****** * ****** * *******  ◆ゆび定規は、やはり腕をピーンとのばして、、、、   指一本一本のハバを使います。これが2度になります。  ◆月の高さはどれくらいか、角度で調べてみましょう。   そして、それが、クラスのみんなとどれくらい違うか比べましょう。   だれが、一番ぴったりの高さを測るか? は次の報告に答えてくれたら   調べます。2度以内であったらスゴイぞ! 友達と競争しよう。  1:観察した場所 ○○県○○町○○    (近くに地図帳にのっている駅や大きな山があれば教えてください)  2:観察した日時時刻 年月日時分まで正確に  3:月の高さは? ○○度  ◆ちょっとしたコツ(1)   地平線や水平線は見えないことが多いので、頭の真上から何度か   はかって、それを90から引いたほうが正確な値が出やすい。   頭の真上は、耳の横にうでをつけ、真上をさして調べます。   ちゃーんと真上をさすか、友達とチェックしましょう。  ◆ちょっとしたコツ(2)   はかるときは、1度ではなく、5回、10回とはかって   平均をとろう。その結果はだんだん正しくなるはずですよ。 ■夏の満月は低空飛行  夏の太陽は高空飛行、満月は低空飛行。反対の関係だ。  これはなぜだろう? まず、こんなことを考えてみよう  地球は、太陽のまわりをまわっている。これはみんな知っている。  月は、地球のまわりをまわっている。これもみんな知っている。  じゃあ、地球が太陽をまわるのを、横 から見たら 満月はどこだろう  横 からみているんだよ! 1、2、3のどれだ、、ちょっと考えみて                           ●1  太陽                    地球  ○                      * ●2                           ●3  答えは、2だ。  じゃあ。やっぱり 横 からみているけど、下の場合は、、、、、  ○太陽                      ●1                        地球                        *  ●2                           ●3 答えは、、3になる。太陽と反対に満月はあるんだ。 夏は、太陽が高くみえるところでは、、反対に満月は、低く見える じゃあ、新月や三日月はどうだろう。 新月や三日月は、太陽の方向に月がやってくる  ○太陽                     月                     ●  地球                        * だから、太陽が高くみえる時期は、新月や三日月も高いところに見える。 でも、これは一番高くなるとき。沈みかけでは、もちろん低くなる。 自分が地球になって、両手を月と太陽にして考えてみよう。 満月は、地球を はさんで、太陽と反対に月。だ。 ■正確に天体の高さを測った、ティコ・ブラーエ  今回は、月という天体の高さを測ってみたけれども、  なかなか正確に天体の高さを測るのはむずかしい。  でも、これを1度の30分の1〜100分の1という高精度で  望遠鏡も何も使わずに測った人がいる。ティコ・ブラーエという  ポーランドの天文学者だ。いまから500年も前の人だ。  この人は、でも、ちょっとした道具をつかった。  南北にたてた壁に大きな大きな分度器を作りつけた。  東京だと葛飾の郷土と天文の博物館に模型がある。  図書館で百科事典などにのっている。切手にもなっている。 ■正確に測って、自分の居場所をさぐる、、航海術  はじめに、で夏至の太陽の高さの調べ方をはなした。  自分のいる緯度がわかると、太陽の南中時の高さが計算できる。  逆に、太陽の高さをちゃんとはかると、その土地の緯度がわかる。  できれば、大きさがある太陽よりも、星のほうがいい。  もちろん、のりものから測ってもいい。昔は、昼は太陽、  夜は、月や星をたよりに、緯度や経度、つまり自分の場所を  調べながら、船は走った。太平洋の真ん中で、周りは海しか  なくても、アメリカから日本まで無事にこられるのは、  天体の高さを測れるからだった。  この高さを測る器具はいろいろ工夫されたけど、決定版が  六分儀という機械。横浜マリタイムミュージアム  神戸海洋科学博物館などに展示してある。きっと他でもある。  いまでも大きな船には、緊急用に積んである。フェリーに乗ったら  船長さんに聞いてみてはどうだろう。  いまでは、カーナビにも使っているGPSというのを使う。  GPSは、電波を出す人工衛星。ここからの電波をキャッチして  自分がどこにいるのか、船や車は知る。天体の高さを測るのは大切だ ■天体の高さを測る専用望遠鏡、子午環(しごかん)  GPSができても、天体の高さを天文台では調べている。  GPSがあっているかどうかを調べなきゃいけないからだ。  そのための道具が子午環。日本では東京の三鷹にある国立天文台にある。  子午環は、南と北にしか向かない。それでいい。  南中した天体の高さを測る専用の望遠鏡だから。  小さな望遠鏡だけれども、明るい星が正確に測れればいいのでかまわない。  大きくてゆがみやすいのはダメ。小さいほうがいい。  世界でも、大きな古い天文台には、必ず子午環がある。  昔は、この子午環を人間がのぞいて天体の高さを調べた。  1950年代に、イギリスで全自動のロボット子午環が作られた。  日本でも、今では、人間がのぞいたりしない。子午環の入っている  ドームは、温度が一定にたもたれ、子午環が狂わないようにしている。  そうやって、精密に天体を測っている。人間は、このさいじゃまだ。  ただ、最近は子午環の役割もだんだん小さくなってきているらしい。