【星連】ファンのみなさま こんにちは 渡部@大阪市立科学館です。 ** 本稿は、自由に複製・改変してお使いください ** 今回の【星空の連帯】は、非常に遅い時間帯になります。  しかし、この時間でないと、しし座流星群は見られないのです。   思い切り早起きをする、夜更かしをする。方法はおまかせします。    気軽に参加の【星連】のポリシーにちょっと反しますが、     特別な夜になるかもしれませんので、ちょっと気合いを入れてくださいね。 ■第24回【星空の連帯】のガイドです。 ◇目  標 しし座流星群の流星 ◇観察時刻 11月17日(火)の24時〜翌朝6時までのすくなくとも30分間              (北東日本は、23時30分からでもOK)   ※多少、雲があっても、明るい流星は見えることがあります。    薄曇りくらいだったら、空を見上げてみましょう。 ◇観察場所 第1条件:街灯などの光が直接目に入らないところ       第2条件:空ができるだけ開けているところ            24時〜1時すぎに観察するなら東が開けているところ ◇準  備 時計、懐中電灯(小さなもの。先を布で覆って光を弱める)       筆記用具、防寒の準備、寝転がるための厚手のマットかイス。段ボールでも       スープやカロリーの高いお菓子を少々(チョコなんかがいいです) ◇防  犯 夜遅い時間の観察になりますので、防犯には十分注意。家から出て        観察する場合は、家の人と一緒か、防犯ベルなどを用意。 ◇防  寒 寒い時期ですので、風邪を引かないように十分注意。のどや足元を        重点的にあたためましょう。毛糸の帽子や、つま先用カイロも効果的です。 ■観察の準備 ◇暖かい格好をして外に出ます。   足元は靴下2・3枚重ね。つま先用カイロを入れるといいです。 ◇観察場所で、マットやイスを広げます。   1時すぎくらいまでならイスが、それ以降はマットがいいでしょう。   観察場所は、車がそばを通らないところにします。   ◇眼を5分間は暗闇に慣らします。 空のあちこちをながめるといいです。その間も流星が見えると思います。   明るい懐中電灯や街灯を見ないようにします。   見てしまったらやり直しです。 ◆長い時間観察をする人へ ◇観察前にコーヒーなどを飲むとトイレに行きたくなりますから、飲むのは  スープなど利尿作用がない(これは先生が説明してね)ものがいいでしょう ■観察方法  10分間ごとに、いくつ流星が見えたかを調べます。  そのさい、次の2つのことを一緒に調べましょう。   1:空の何割が雲でおおわれていたか   2:星空のレベル(オリオン座で調べます−後述)  観察したら、以下の例にしたがって報告してください。   NIFTYSERVE fkyoikus 【理科の部屋】や http://member.nifty.ne.jp/science/   の【星空の連帯】メッセージボードにお願いします。 ◇星空レベルのチェック方法  オリオン座は分かりますか? 場所は以下の通り。 24時〜1時:南東の中天 2時〜3時:南の中天 4時〜5時:南西の中天 6時   :西 中天ってのは、頭の真上と地平線の真ん中くらい。かなり高い位置ですよ。 形は、下の絵の通り、レベルはこのオリオン座の見え方で決めます。 レベルAは、オリオン座の東がわに天の川が見えること レベルBは、レベルC以上に星が見えることです。  レベルC↓   レベルD↓ レベルE↓ ・ ● ● ● ★ ★ ★ ・ ★ ★ ★★ ★★ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ★ ★ ■観察報告 観察者:お名前 観察場所:なんとか県なんとか市どこそこ 流星を観察するのは:はじめて、2回目、などなど 時間帯 流星の数 雲の割合 星空のレベル 24:20-30 3 3割 B 24:30-40 7 2割 A 24:40-50 5 2割 A 24:50-00 5 1割 A 感想や質問があればどうぞ ■観察方法 撮影編 ◇流星を待ち構えてうつす方法 準備:カメラ(シャッター速度が変えられるものでBがついているもの)     ISO800以上のフィルム(個人的にはISO1600以上をお勧めします)     三脚(ビデオ用でもOK)     レリーズ(カメラにあったもの。オートストッパタイプが便利)     暖かくしたカイロ(できれば白金カイロ)と手で切れる粘着テープがあると便利  ・あらかじめ、カメラにフィルムを入れ、三脚にセットします。  ・シャッター速度をBにあわせ、テープでシャッター速度ダイヤルを固定。  ・絞りは開放か1段絞る程度にします。テープで固定。  ・ピントは∞(無限大)。テープで固定。  ・カイロをレンズのわきにあてがいます。テープで固定。   レンズを覆わないように注意。30分もするとカイロが冷えますので   いくつかおなかなどで予備を暖めておきます。  ・外に持ち出し、適当な方向(灯りをできるだけ避けます)を向け   シャッターをあけます。あけた時刻を記録。   5分間くらい開けっ放しにして、もし、その方向に流星がながれたら、   時刻を記録します。 ◇より本格的には、流星が流れた時に、時刻を記録すると同時にウチワなどで  レンズを覆って15秒ほど遮光をしたりします。  流星が写った時の星の並びを記録するためです。 ◇ちなみに写真により流星が撮影されたのは1937年。本格的に研究に  使われるようになったには、なんと1960年代になってからだそうです。 ■流星とは ◇地球外からの物質が,地球に衝突するさいに大気との摩擦によって破砕  されて発光する天体あるいは現象.特に明るい流星を火球という.  流星の一部は隕石となって地上に落下するが,発光しないで落下する隕石も  あり,すべての隕石は流星であるとは限らない.また,ときに多くの流星が  天空の一点から放射状に流れる現象があり流星群と呼ばれる. ◇流星になる物質(流星物質)のほとんど(99%以上)は太陽を周回する微細な  粒子である.目で見える流星物質の直径はミリメートル単位で,質量はマイ  クログラム単位である. ◇流星物質が地球大気に衝突する速度は秒速数10km程度であり,発光している  時間はほとんど1秒間以内である.流星の発光は,大気との摩擦によって流  星物質が蒸発して電離したガスがエネルギーを失うさいに起こる.流星のほ  とんどは高度80〜130kmくらいの上層大気で発光し,飛散・霧消してしまう.  一部の流星は本体も加熱によって発光し,その痕跡がしばらく残ることがあ  る.これを流星痕と呼ぶ. ◇ちなみに、しし座流星群の流星は、地球と正面衝突するようにぶつかってくる  ので、秒速70km!でぶつかってきます。  7秒間で大阪〜東京を飛んでしまうという猛スピード  スペースシャトルだって、秒速8kmくらいですから、その10倍。 ■今年は、しし座流星群がスゴイ、、かもしれないぞ! ◇しし座流星群は、ふだんは1時間に10個程度の流星が流れる程度です。  これは田舎の暗い空で、じーっと空をながめてですので、都会だと1時間に1個  見えるかどうかですね。 ◇ところが、33年ごとに特に多く流れる時期が数年間続きます。詳しくはあとの  しし座流星群についての解説を見て下さい。ともかく、その年に今年、来年が  あたっています。過去には1時間に何万個という流星が流れた時もあるんです。  #でも、期待されたのに1時間に10個ということも、、、 ◇じゃあ、来年でもいいや、、ちょっとまってください。  来年は月が明るくて流星観察には今ひとつなんです。  また、多くの天文学者は今年の日本の観測条件は最高だというのです。  それは、流星の元になる物質がいちばん密集したところを通過する時に、  その進行方向前面に地球が向いているからなんだそうです。 ◇でも、本当はいちばん流星の元が集まっているところって、  わからないんですけどね、、過去のデータ・彗星の軌道からの理論、、  いろんな予想がありますよ。 予想者        ピークの時刻(長さ) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− テレンチュワ     18日12時 クレサック      17日17時 ピーター・ブラウン  18日4時55分 メイソン       18日5時 ビーチ他       18日2時2分活 ヨーマンス他     18日4時43分 ジェニスキンス    18日4時半(3時間程度) 予想者        ピーク時流星数(1時間で) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ビーチ他       活動するが時期が早すぎる 渡部潤一        1000個以上見られる可能性20% ウィリアム・クック  40〜数1000 ウーとウィリアム   1933年なみ ジェニスキンス    10000。暗い流星多い ■しし座流星群・発見の歴史? ◇流星が、毎年きまった時期に、おなじ星座の方向から広がるように流れる。  流星群の発見は、このしし座流星群によってまずなされました。 ◇1833年11月13日早朝 北アメリカ東部  人々は、天頂から南東の空を中心に「まるで雪のように」「1秒間に20個の」  流星がまさに雨のように流れました。人々は「この世の終わりがきた」と  おどろき、天文学者に「あれはなにごとか?」「また起こるのか」  「なんで起こるのか」と疑問をなげかけました。  後の推計によると、最大で1時間に1万個もの流星が流れたのです。  しかし、天文学者は、これにまったく答えることができませんでした。  そう、流星の研究はほとんどされていなかったのです。 ◇この事件の最中に、注意深く観察をおこなっていたイェール大学の  オルムステッドは自身の観察結果を新聞に発表し、市民の観察結果を募集し  また、船員などにも聞き取り調査を行いました。その結果は、  ・流星は、しし座の一点から放射状に流れた  ・放射点は恒星とともに日周運動をした  これらからオルムステッドは、現在知られているのと同じ結論を導きだし  ました。それは、  ・流星は平行運動をしている。放射状に見えるのはその投影である。  ・流星は宇宙空間から地球に突入してきている。  ということでした。 ◇この話は、ヨーロッパに伝わり大きな話題となりました。  というのは、ヨーロッパでもその前年の11月13日に多くの流れ星が  流れていたのです。さらに前の年の11月13日も、普段よりも多くの流星が  流れていました。これらの事実が意味することはなんなのでしょうか? ◇さらに調べると、1799年の11月12日で、南米で多くの流星が流れたことが  わかりました。さらに、グリーンランドやフィラデルフィアの記録もみつ  かったのです。 ◇パリ天文台の台長のアラゴーは、これらのことから、  「同じ軌道をもつ多数の天体が、毎年11月11日〜13日に地球が通過する地球  軌道と交差して存在している」としました。 ◇しし座流星群の大出現からわずか数年にして、天文学者は流星群という概念を  発見し、現在とかわらない理解をするに至ったのです。 ■宇宙でしし座流星群を観測するぞ ◇っていっても、流星は地球にぶつかってはじめて光り輝きます。  宇宙でどうやるんでしょうか? なにしろ小さな砂粒を何100万kmも  先から見るなんて、不可能ですよね。 ◇でも方法はあるんです!  日本が7月に打ち上げた火星探査機「のぞみ」。火星に一気にいかず、  いま地球や月の近くをまわりながら、火星へ向かう準備をしています。  で、その準備の最中に、しし座流星群をとらえるんです。  その方法は、、、猛スピードでぶつかってくる、その体当たりの衝撃を  調べるんですね。これを提案したのは東大の地質学者 佐々木晶助教授です ◇実は、多くの人工衛星は  万が一しし座流星群の流星でこわれちゃったら、、、と恐れているんだ  そうです。その対策の国際会議まで開かれたらしいです。  「のぞみ」はこわれちゃわないか、、どうでしょう。でも成功すれば  画期的な観測になります。 ■参考になる本など 600円前後で購入できる、天文雑誌3誌の12月号にはそれぞれ詳しく、 しし座流星群のことが解説されています。 早く買わないと売り切れるかもしれません。 発売日も載せておきます。 スカイウォッチャー(11/5発売):立風書房 月刊天文(10/31発売):地人書館 天文ガイド(11/5発売):誠文堂新光社 「しし座流星群を追え」世界文化社(1300円)  発行部数が多く、入手しやすいでしょう。カラー写真もいっぱい。  観察方法もやさしく書いてあります。来年の日食のことなど流星群が  終わっても楽しめます。 渡部潤一著「しし座流星群がやってくる」誠文堂新光社(1500円)  プロ・アマ天文学者のしし座流星群ドキュメンタリーです。  冒険小説を読むような、ワクワクするようなおもしろさがあります。  観察方法の紹介もごく簡単にあります。 長沢工著「流星と流星群」地人書館(2000円)  初心者向けに流星についてやさしく書いてあります。  しし座流星群の歴史や観察方法など、気楽に読めるでしょう