生分解性プラスチック
 生分解性プラスチックというのをご存知でしょうか。これは、微生物等によって自然界で分解されるプラスチックのことです。プラスチックは合成樹脂のことを示す総称で、1868年にアメリカでセルロイドが作られたのが始まりです。その後、フェノール樹脂、ユリア(尿素)樹脂、ポリカーボネイト等が開発されました。プラスチックの特性としては、成形が簡単で、大量に生産しやすく、耐水性や電気絶縁性に優れており、腐食しない等があげられます。現代生活になくてはならないこのプラスチック、一昨年の日本における生産量は1300万tにもなります。
最近いろいろな環境問題が噴出していますが、プラスチックの「腐食しない」という特性も廃棄上問題があるのです。腐食しないためにいつまでもその形で地上にとどまっている、かさばるので埋め立てに多大のスペースがいる、燃焼させると有毒な物質を生じる等々です。
そのような中、最近研究が盛んなのが、腐るプラスチックいわゆる生分解性プラスチックです。このプラスチックは、環境中にいる微生物によって分解される性質をもっています。材質としては、脂肪族ポリエステル、コポリエステルエーテル等があげられます。これらプラスチックは、環境中で微生物が分解し、それが微生物のエネルギー源となるものや、分解後は、たい肥として役に立つものもあるようです。このように、生分解性プラスチックはある意味のリサイクル性を持ちます。実は、生分解性高分子は1920年代に発見されていたのですが、長持ちしない、もろいなどの理由で一顧だにされず、研究もあまりされていませんでした。そして現在もコストが高い、強度に問題がある等の理由であまり普及していませんが、現在の地球環境問題を考えると今後大いに発展が期待される物質です。


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