すべては素粒子からできている
 

 素粒子とは、自然界に存在する物質でもうこれ以上分解できない最小単位の物質をいいます。では、私たちの体を構成している素粒子はなんなのでしょうか?素粒子まで分解してみましょう。  私たちの体をどんどん細かく分解していくと、組織(胃、肝臓など)→細胞→タンパク質→アミノ酸→原子(酸素、炭素、窒素、水素など)と、まず原子にたどりつきます。全てのものは原子からできているのです。この原子の大きさは約0.1nm(10-10m )ととても小さなもので、現在112種類が確認されています。

 この原子はプラスの電気を持った原子核とその周りを回る電子とからできています。原子核は約1fm(10-15m)と原子の10万分の1とさらに小さいものです。電子はこの周りを回っています。電子はマイナスの電気を持っているので、原子核のプラスの電気に引っ張られてグルグル回っているのです。太陽の周りを地球が回るのと似ていますね。原子核を1円硬貨の大きさとすると電子の軌道半径は約1kmとなります。ここで、登場した電子は素粒子でもうこれ以上分解できないと考えられています。

 それでは次に原子核を分解しましょう。原子核はプラスの電気を持った陽子と電気的に中性な中性子とからできています。例えば水素原子の原子核は陽子が1つだけ、酸素原子の原子核は8個の陽子と8個の中性子、窒素原子の原子核は7個の陽子と7個の中性子とからできています。そして、これらの陽子と中性子をくっつける接着剤の働きをしているのが中間子という粒子です。陽子、中性子、中間子は昔は素粒子と考えられていましたが、現在ではクォークというさらに小さな粒子からできていると考えられています。このクォークは現在素粒子と考えられています。しかし、さらに小さなプレオンというものからできているかも知れないという実験報告もあります。クォークが素粒子でない時代もやってくるかもしれません。

 我々の身の回りに存在するもの、木、水、プラスチック、金属、瀬戸物、等々、これら全ては電子とクォークという素粒子からできているのです。

 ところで、中間子は湯川秀樹が理論的に予言した粒子です。この予言どおり中間子が発見されたので彼はノーベル物理学賞を受賞しています。この中間子の予言は彼が大阪大学講師時代の仕事です。当時大阪大学理学部はここ、大阪市立科学館の敷地内にありました。湯川の中間子論が誕生したのは大阪市立科学館の建っているところなのです。


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