コンパスで磁区(2)
  コンパスで磁区のその後の発見を報告します。 なお、これらの実験は8月26,27日の「青少年のための科学の祭典」で披露する予定です。
1.三角格子の場合は地磁気の影響が大きい
   写真1は磁気コンパスを三角格子点上に並べた 結果で、磁区構造が見えます。しかし、多くの場合は、磁区構造は見られるもののそれは不安定で、 ほとんどのコンパスが北を向きます。全体を回転させると、構造が変化し、やはり全体が北を向きます。 これは結晶に欠陥が全くなく、磁壁が自由に動けるからと考えられます。また、数個磁気コンパスを取り除 いた欠陥では、磁壁をトラップする効果は認められません。
  一方、正方形のトレイに任意に磁気コンパスを詰め込んだ場合の磁区(写真2) は強烈に安定で地磁気の影響 を全く受ける事はありません。これは上記の推測を裏付ける現象です。
2.正方格子の場合は磁区構造がない
   写真3は正方格子点上に並べた結果で、 磁区構造は認められません。これと三角格子の場合に磁区構造が 現れることは単純な数値計算からも推測できることです。
3.正方格子で現れた準安定磁区構造
   三角格子から準静的に正方格子に変形させました(写真4写真5)。 三角格子に現れた磁区構造が正方格子に 残っている様子が認められます。ただし、全体を揺すると磁区構造は消失し、その後、決して磁区構造が現 れることがありません(写真6)。これは過冷却や過飽和でよく知られた準安定状態の一種と考えられま す。

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