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水の中で花火が燃え続ける理由

詳しくは、科学館サイエンスショー「花火の大実験」で
【水の中で花火が燃え続ける理由】

花火に限らず、何かが燃えるためには、
 @燃えるもの
 A熱
 B酸素
の3点が必要です。ひとつでも欠けると、火はつきません。

例えば、“紙”が燃えるのは、
 紙=燃えるもの
 熱=マッチなどでつける火(熱)
 酸素=空気に約20%含まれる
…これで、3点セットがそろっているので、燃えます。

さて、花火には、火薬が入っています。
火薬には、燃えやすいもの(@)と、酸素(B)を出す物質(酸化剤)が含まれています。そこに火(熱・A)をつけると、3点セットがそろい、燃え始めます。
火をつけた花火(火薬)は、酸化剤が分解して、自分で酸素を出し始めます。つまり、酸素のないところでも、3点セットがそろうことになります。これが水中花火が成功する理由です。空気のない宇宙でも、花火はできる…かもしれません。

【水中花火が失敗する理由】

水は、燃える花火にくらべると冷たいものです。水に浸す時間が長くなると、熱(A)が奪われて火が消えてしまいます。
また、勢いの弱い花火や、火薬が丈夫な紙などで覆われていない花火も、冷えやすいので水中花火には向いていません(すぐに火が消えてしまいます)。

【マイナス196℃の液体窒素の中で花火が燃え続ける理由】

液体窒素にとって花火はとても高温です。常温の花火は25℃くらいなので、火が付いていなくても200℃以上熱いことになります。
火がついた花火は、液体窒素より1000℃以上熱くなります。

液体窒素に火がついた花火を投入すると、花火の回りの液体窒素はすぐに気化して、窒素ガスになります。
すると、花火のまわりは窒素ガスで覆われ、その窒素ガスの温度もマイナス196℃よりずっと高くなります。
これによって花火は冷えにくく、燃え続けることができるのです。
花火のまわりに窒素ガスしかなくても、酸素は花火が自分で出すことができるので、燃焼が可能なのです。


(2010.06.23.岳川有紀子



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