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■ロンドンの科学博物館■
ロンドンには、大英博物館をはじめ世界でも有名なたくさんの博物館や美術館などがあります。ロンドンを旅行する機会があったので、世界でも最大級の規模をもち、歴史的にみても貴重な資料がたくさん展示してある、とうわさの科学博物館を見学してきました。科学博物館は、1999年の当館の特別展「大英科学博物館展」、記憶のある方も多いかもしれませんね。
■科学博物館(The Science Museum)
科学博物館は1909年に創設され、石づくりの古い建物ですが、室内は近代的に改装されています。展示場の入館料は£7.95(約1300円)、7階建てで縦に長い展示場は、旅行の中で見学するには広すぎる…。50近いコーナー全部をじっくり見学しようとするといったい何日かかるのでしょう。
Museum Guideより
展示場に入るとすぐ目に飛び込んでくるのが蒸気機関車やエンジン。「そういえば産業革命が起こったのはイギリスだったなぁ…」と思い出させます。科学博物館に展示してあるスティーブンソンの蒸気機関車ロケット号は、科学館には縮小版のレプリカがあります(「熱力学」コーナーに展示中)。
ミルエンジン (動いている)
次の宇宙コーナーも、右も左も頭の上にも、ロケットや探査機がたくさんあって大迫力です。別コーナーになりますが、アポロ10号のコマンドモジュールがあって(マネキンが二人乗っている)、本では見たことがありましたが、実物は意外と小さなものなので驚きました。
かなり窮屈そう。ほんまにアポロチョコのかたち。
その次はMaking The Modern World(1750〜2000年の科学・技術の歴史の移り変わりを扱うコーナー)です。ここには科学博物館でももっとも重要で歴史的な資料が多く展示してあるのでぜひ見るように、と£2で買った展示ガイドブックにも書いてあります。そこには大阪市立科学館の特別展にもやってきた「モーブ」の染料がありました。見つけたときは懐かしい気持ちになりました。

モーブは1856年、イギリスの科学者パーキン(当時18歳)によって発見されました。パーキンはもともと染料ではなくて、キニーネというマラリアの特効薬の合成を研究していましたのですが、実験中にできた黒くて粘っこい物質を、たまたまアルコールに溶かして羊毛や絹を浸してみると、紫色に染まった、ということがモーブの発見につながったといわれています。つまりセレンディピティ*というわけです。パーキンははじめ、この染料をティリアンパープル(巻貝から得られる紫色の染料の呼び方)と名付けていますが、間もなく同じ染料が発見されたフランスでの呼び方がモーブ(赤紫の花を持つ植物の名前)で、その方が有名になったということです。
*セレンディピティ serendipity:最初は考えてもいなかった目的以外のことを偶然に発見すること。単なる偶然とはちがい日頃から努力をしている人にのみ訪れる偶然の意味。
科学博物館は資料の展示ばかりかと思っていたら、最近は実験などができる参加型展示も増えているようです。こども専用コーナーもあって、こどもたちの楽しむ様子も見られました。資料の展示はどことなく芸術的で、また施設も充実していて居心地のよい空間となっています。こんなに充実した博物館でも、常に時代の流れや来館者のニーズを意識して成長しようという努力も、いろいろなところで感じられたのでした。
流れてくる水で遊ぶこどもたち
さて最後にこの科学博物館以外にロンドンで驚いたことを2つ。エスカレーターの進むスピードの早いこと(乗るときがこわい…)、歩行者の信号無視の多さ。ロンドンの人は大阪よりも急いでいる人が多いのかもしれません。
(岳川有紀子:科学館学芸員)
科学博物館のホームページへ(英語)
(2004.11.20.更新)
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