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■牛の糞からプラスチック newsより■
牛の糞尿を、プラスチックの原料 ベンゼンに変える触媒が開発されました。
ベンゼンは、常温では無色透明の液体で、シンナー風の独特のかおりがあります。
ベンゼン(C6H6)の構造式。(a)(b)(c)どれもベンゼンを示すが、最近は(c)を使うことが多い。
この触媒を開発したのは、北海道大学触媒化学研究センターの市川勝教授ら。1月27日に発表された、ほやほやのニュースです。
実証試験では、糞尿から発生する約200m3のバイオガスから取り出したメタンから、ベンゼン50kgと水素120m3ができたとのこと。
牛の糞尿からは、嫌気性発酵によってメタンガスなどバイオガスが発生します。そのメタンを、約750度、約5気圧の状態で今回開発された触媒と混ぜると、約15%がベンゼンと水素に化学変化するというわけです。反応しなかったメタンは、回収して再び利用します。
メタン(CH4)が、ベンゼンと水素(H2)に変化する。
ベンゼンは、いろいろな種類のプラスチック、医薬品の原料になり得る物質です。また、副生成物の水素も、燃料電池の燃料としての利用が可能です。
牛の糞尿が、人間にとって大切なたからものになるかもしれませんね。 ところで、人間のは使えないのかな???
(2005.01.30.)
(岳川有紀子:科学館学芸員)
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