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■ゴキブリフェロモン newsより




 メスのゴキブリが出すフェロモン、その物質が特定されました。その名は、ブラテラキノン。 オスのゴキブリが、この物質にホイホイ引きつけられることも確認されています。

   ブラテラキノン blattellaquinone


 チャバネゴキブリ(メス)の性フェロモンを特定し、人工合成にも成功したのは、アメリカ コーネル大学の元研究員、野島聡 氏(現在は信越化学工業主任技術員)を含むウェンデル・ローロフ (Wendell L. Roelofs)教授らのチーム

 この物質の名前は、チャバネゴキブリの学名Blattella germanica(ブラテラ ゲルマニカ)と、分子中にキノンを含むことからブラテラキノンと名付けられました。  野島さんらは、1万5000匹(!)のメスから集められた約5μgの性フェロモンをもとに分子構造を解明。その後、この物質を人工的に合成する方法も発見しました。

  もっとも単純なキノンの例。 キノン quinone :ベンゼン環の水素原子2つを酸素原子で置換した構造をもつ化合物の総称


 ブラテラキノンを台所の片隅に置いておけば…。 騙されるオスのゴキブリにはかわいそうな気もしますが、新しいタイプのゴキブリ退治法として期待されています。  ブラテラキノンは、チャバネゴキブリのオスだけに効果があります。人間やその他のオスは引きよせられることはありません。もちろんメスも、です。

詳しくは、Science(18 February 2005: 1104-1106.)
Identification of the Sex Pheromone of the German Cockroach, Blattella germanica

(2005.02.20.)
(2005.02.22.追記)



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