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■「へぇ」…投票用紙はポリオレフィン■
某テレビ番組の先日の放映で、「投票用紙は、折って投票しても投票箱の中で自然に開く。この投票用紙はポリオレフィンで作られている」という話題がありました。
番組では、ポリオレフィンの化学の部分はサラ〜と流されていましたので、ご紹介しておきましょう。
■ポリオレフィン て?
ポリオレフィンは、かんたんにいうとプラスチック。 ポリオレフィンというひとつの物質があるのではなく、ポリエチレンやポリプロピレンなど、オレフィンのポリマーを総称して、こう呼んでいます。
ポリ・・・「たくさん」の意。 1〜2種類程度の分子が鎖のようにたくさん結合したもの(重合体)を「ポリマー」といいます。
オレフィン・・・炭素−炭素間の二重結合(>C=C<)を1つ持ち、他の結合はすべて単結合の鎖式炭化水素のこと。エチレン系炭化水素、アルケン、ともいう。一般式はCnH2n。
ということで、投票用紙は薄くシート状にしたプラスチックを「紙」として使っているので、「投票用プラスチック」と呼ぶ方がいいのかも…。
ただ、プラスチックのままではツルツルでえんぴつで字が書けないので、表面には炭素が乗るための処理がされているそうです。
■紙 って?
「紙」というと、植物の繊維を密にからみ合わせて薄く平面状にのばして乾燥したもの。 植物の繊維の成分は「セルロース」という物質。
今ではセルロース以外の材料(例えばプラスチック)で作られた紙(風)のものも「紙」と呼んだりするそうですが、「紙」といえば「セルロース」、が基本です。
■オーストラリアのお金も
同じような例は、紙幣にも見られます。日本の紙幣はミツマタを主原料にした和紙の仲間、まさに「紙」ですが、例えばオーストラリアのお札はプラスチック(ポリプロピレン)です。
去年初めて触ったのですが、そのツルツル感や、紙幣の中に透明部分があるのは、とても斬新でした。折っても折れ目がつきにくい(まさに投票用紙と同じ!)、破れにくくて長持ちする、偽造されにくい、リサイクルができる、など、たくさんの特長を持っています。
(2005.03.30.岳川有紀子)
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