2004年の天文現象

 2004年の天文現象

☆5月5日月没帯皆既月食

 5月5日の早朝に皆既月食が起こります。明け方3:48に欠け始め、4:52に皆既食が始まります。ただし、大阪では皆既になる時刻には日の出の時刻(5:04)が近づいており、空はかなり明るくなっているため、皆既中の月を観察することはかなり難しいでしょう。西へ行くほど日の出が遅くなるため条件が良くなります。中央アジアから西アジア、アフリカなどでは月食の始まりから終わりまで全経過を見ることができます。

5月5日の皆既月食の進行(JST)
半影食の始め2h50.8m
欠け始め3h48.3m
皆既食の始め4h52.0m
食の最大5h30.2m
(参考)大阪の日の出 5h04m

☆5月下旬、C/2001Q4ニート彗星とC/2002T7リニア彗星

 久しぶりに肉眼彗星になりそうな彗星が2つも発見されています。しかも5月ごろに立て続けに太陽に近づくので、同時に2つの肉眼彗星を見ることができるかもしれません。
 1つはC/2001Q4ニート彗星です。最も明るくなるのは5月7日ころと予想され、5月はじめころから日本でも観測可能となります。もう一つはC/2002T7リニア彗星で、こちらは5月18日頃に最も明るくなると予想されます。ただ、一番明るくなる頃は日本からは見ることはできず、日本で見えるのは5月下旬以降になるでしょう。
 彗星の明るさの予測は大変難しいですが、5月中旬にはオーストラリアなどの南半球の国で、夕方の空に2つの彗星を肉眼で見ることができそうです。日本で2つの彗星を同時に見ることができるようになるのは5月の下旬以降です。順調に明るくなっていれば、その頃まで2つとも肉眼で見える明るさを保っている可能性もあります。

☆6月8日金星の太陽面通過

 6月8日の午後に、金星の太陽面通過という現象が起こります。昨年5月7日に起きた水星の太陽面通過とよく似た現象で、太陽面の中に丸く黒い金星の姿を見ることができます。金星は水星よりもかなり大きいので、日食めがねなどがあれば肉眼でも観察が可能でしょう。大阪では14:11分に現象が始まり、金星がゆっくりと太陽の手前を移動していきます。現象が終わるのは日没後になります。
※太陽はたいへんまぶしいので望遠鏡や肉眼で直接見てはいけません。

☆10月14日部分日食

 10月14日の日食は、月の本影は地球の北極のさらに北を通過するため、地球上では部分日食しか見ることができません。日本では北東に行くほど太陽が大きく欠け、大阪での食分は0.147です。ちなみに稚内では最大食分0.418と、かなり太陽が欠けます。また鹿児島県南部や沖縄県方面では日食になりません。大阪での欠け始めは10:51、食の最大は11:35、食の終わりは12:20です。

10月14日の日食の進行(大阪)
欠け始め10h51.0m
食の最大11h35.9m
食の終わり12h20.9m

☆惑星の見ごろ

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
水星×××××
金星×
火星××××
木星深夜深夜×××
土星××深夜深夜深夜

夕:夕方西の空、宵:夕方から〜夜半、夜:一晩中見える、深夜:夜半〜未明、 朝:明け方東の空、 ×:太陽に近く観望不適

☆流星

 8月のペルセウス座流星群と12月のふたご座流星群はいずれも月の影響を受けずに観測できるので条件が良い。郊外では1時間当たり50個以上の流れ星を見ることができるだろう。ペルセウス座流星群は8月12日の深夜から13日の明け方に注目。ふたご座流星群は12月14日の未明に注目。

☆その他

 日本からは見えませんが、4月19日にアフリカ南部で部分日食があります。また、10月28日には南北アメリカ大陸やヨーロッパ、西アフリカで皆既月食が見られます。1等星や惑星の食は日本からは見られません。
 彗星は時折、新発見の彗星が急速に明るくなる場合もありますが、現在見つかっている彗星の中では上記2彗星以外は大きく話題になりそうなものはありません。

2004.1.28記(うちゅう2004年1月号より転載)

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