最遠の銀河団をめぐる競争

非常に遠方の銀河の集団が見つかった

90億光年もかなたの銀河団(ESA/XMM-Netwon)  南米チリにあるヨーロッパ南天文台(ESO)の巨大望遠鏡VLTが、 X線観測衛星XMM−Newtonとの共同観測で、 みなみのうお座領域に、90億光年もかなたの銀河団を発見しました。

 銀河団は銀河が数10〜数1000個集まった、宇宙最大の構造です。
 銀河団には銀河の総質量より多いくらいのプラズマ(銀河団ガス)が存在し、 X線でも明るく輝いています。 銀河団ガスは1億度に達するような高温で、銀河はこの高温のガスの中を秒速1000kmにもおよぶ高速で飛び回っています。

 銀河団は巨大なため、成長には数億年から数10億年もの長い時間がかかります。
 ところが、今回発見された銀河団は90億光年も離れている (つまり、137億年前の宇宙の誕生からたった40億年ほどしか経っていない)のに、 現在の銀河団と同じように成熟した(!)ものだったのです (メンバーの銀河も年をとったものだったことが分かっています)。 

 遠方の銀河団については先日、 国立天文台のすばる望遠鏡によって127億光年かなたに発見されたと 報じられました。 すばるが発見した銀河団は、形がはっきりせず、まだ成長の過程にある若いもののようです。

 銀河団の成長は予測以上に早いのでしょうか?それとも今回発見された銀河団が特別なのでしょうか?
 今後さらに観測が進めば、銀河団の成長の仕方について、より詳しく解明されていくことでしょう。

※原文は英語ですがESOのホームページをご覧ください。

2005.3.3記(石坂

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