系外惑星探査の新たな時代

系外惑星の"光"をとらえた!

 アメリカ航空宇宙局(NASA)とカリフォルニア工科大学(Caltech)の赤外線天文衛星スピッツァーが、 太陽系外の惑星(系外惑星)の光を初めて直接とらえました。 新しい系外惑星探査の幕開けです。 系外惑星想像図(NASA/Caltech)

 これまでの系外惑星の探査というと、
  1. 惑星の公転による主星のわずかな揺らぎを観測する(ドップラー法
  2. 惑星が主星の前を横切る時の影(減光)を観測する(トランジット法
という方法がありました。
 これらは主星を観測することにより、惑星の存在を間接的に知る方法です。 今回は、系外惑星の光を初めて直接とらえたのです。

 今回観測された系外惑星は2つあり、その主星はHD 209458bTrES-1です。 もともとはトランジット法により系外惑星の存在がわかっていた星です。

 惑星は自分では光を出さないため、そのままでは暗すぎて直接見ることはできません。

 今回、スピッツァーでは、まず惑星と主星の光を同時に測定し、その後、 惑星が主星の向こう側に回りこんだ時を見計らって、主星だけの光を測定しました。 差し引きをすると、惑星からの光だけが特定できる、というわけです。

 これらの惑星はホットジュピターと呼ばれる種類で、 主星のすぐ近くを公転する(熱い)、超木星サイズの惑星です。

 今回の観測で、その名の通り、気温が1000K(727℃)もあることが分かりました。
 今後さらに詳しく調べれば、大気の成分や、風速、気象状況なども分かると期待されています。

 今回のような方法が使えるのは500光年以内にある、トランジットが起きている星だけで、現在のところ対象となる系外惑星の数は多くありません。 しかし、今後観測が進めば発見数も増え、系外惑星探査は新たな時代を迎えることになるでしょう。

※原文は英語ですが、スピッツァーのプレスリリースをご覧ください。

2005.3.25記(石坂

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