SN1987Aの20年

超新星1987A、20歳

 1987年2月23日、南天の大マゼラン雲(距離16万3000光年)で、一つの超新星が発見されました。 超新星1987Aです。肉眼で見えるものとしては383年ぶりの超新星でした。
 1987Aは南半球でしか観測できないため、ハッブル宇宙望遠鏡HSTやヨーロッパ南天文台ESOが大活躍しました。

 写真はHSTが撮影した現在の1987Aの様子と、観測されたリングの経年変化です。
 超新星1987Aの現在の姿[NASA, ESA, P. Challis and R. Kirshner (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)]

 2万年ほど前に星から噴出された物質と、超新星爆発によって吹き飛んだ物質とがぶつかり合って、リングのような構造になっています (リングの直径は1光年ほど)。 1987Aの爆発が球対称ではなく、リングとは直角方向に主に爆発流が生じた証拠です。 超新星1987Aのリングの経年変化[NASA, ESA, P. Challis and R. Kirshner (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)]

 年とともにリング上の明るい光点が増えているのがわかります。
 リングの中心部にはブラックホールか中性子星が残されていると考えられていますが、爆発によって生じた大量の固体微粒子(ダスト)に覆い隠されていて現在のところ確認はされていません。

 1987Aは初めてづくしの超新星でした。
 超新星からのニュートリノが検出されたのは初めて(小柴昌俊教授がノーベル物理学賞を受賞しました)。 爆発前の星が同定され青色巨星だったことが分かったのも初めて。 球対称ではない爆発であることが確認されたのも初めて。 周りの星雲との作用やその経年変化が観測されたのも初めて。

 これらのメカニズムについてはまだ解明されていないものも多いです。
 発見から20年。いまだにナゾを生み出し続けています。


 原文は英語ですが HSTのプレスリリースESOのプレスリリース をご覧ください。


2007.3.2記(石坂

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