月探査機LROの成果

将来の月面基地建設予定地?月の南極のクレーター

 アメリカ航空宇宙局NASAの月探査衛星LROが分解能1mという高解像度カメラでシャックルトン・クレーターを撮影しました。 LROが撮影したシャクルトンの縁([NASA / Arizona State University])  月探査機クレメンタインによる月の南極付近  月探査機かぐやが撮影したシャックルトン・クレーター
 シャックルトン・クレーターは月の南極にあり、直径は20kmほど、深さが4km(!)ほどあるため、1年中、日光がクレータの底まで届きません。 これを「永久影」といいます。

 永久影であれば、太陽熱によって氷が融かされることがなく、過去に衝突した彗星の氷が残っている可能性が指摘されています (※日本の月探査機かぐやの観測結果によれば、シャックルトン・クレーターの底には氷らしきものは見つかりませんでした)。

 反対に、シャックルトン・クレーターの縁は、ほぼ1年中、日光が当たるため、将来の有人月探査計画では第一の候補地となっています。 日光は太陽電池により電気エネルギー源となりますし、氷は生命維持に欠かせない水を提供します。

 シャックルトン・クレーターはどちらかというと小型のクレーターですが、深さは4kmもあり、縁の斜面の傾斜は30度もあります。 これはシャックルトンができてからあまり時間が経っていないことを示唆します(時間が経つと、縁が山崩れを起こし、なだらかになるはず)。

 一方、LROの画像で分かるように、クレーターの縁は無数の小さなクレーターに覆われています。 これはシャックルトンができてから、かなりの時間が経っていることを示唆します。

 シャックルトンが古いのか新しいのかによって、クレーターの底に氷の存在する確率も変わってきますが、年代は確定していません。

 かぐややLROのデータのさらなる解析を待ちましょう。
 
○原文は英語ですがNASAのプレスリリースをご覧ください。

●月についてはプラネタリウム「探査機かぐやが見た月世界」投影中です。

2009.9.20記(石坂

※10月3日は今年の「中秋の名月」、お月見の日です。
お月見をしたら → 「めざせ1000万人!みんなで星を見よう」に報告

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