中性子星と白色矮星のペア

一般相対性理論の検証にうってつけ!

 ヨーロッパ南天文台ESOの特大望遠鏡VLTが、電波望遠鏡と協働で、奇怪な星のペアを発見しました。
パルサーと白色矮星のペアPSR J0348+0432の想像図([ESO/L. Calcada])
 この星のペアは、中性子星の周りを白色矮星が公転しているものです。
 中性子星は、寿命を終えた恒星の究極の姿で、太陽の2倍の質量が直径20kmの球に閉じ込められています。 その詰め込み方は、角砂糖1個がなんと1兆kgもあるくらいです。
 ギュウギュウに詰め込まれて、中性子だけから構成されているため、中性子星と呼ばれます。 中性子は原子核を構成する粒子ですから、中性子星は宇宙最大級の原子核と言えるでしょう。
 ペアの相方の白色矮星も恒星の最後の姿で、太陽程度の質量が地球サイズに縮められています。
 そして、中性子星も白色矮星も、非常に重力が強い星です (もし、中性子星の表面に行けて、体重を計ったとすると、地球での体重の3000億倍になります! 非常に危険なので、絶対に降りないようにしましょう・・・)。

 このような特殊な星の組み合わせは、一般相対性理論(重力理論)の検証場としてうってつけです。
 なぜなら、一般相対性理論は、重力が非常に強い場所でだけ、その特殊性を現すからです。

 今回、VLTの観測チームは、この星のペアの公転周期の変化を精密に調べ、一般相対性理論の予言とピッタリ合うこと(そして、他の重力理論では説明できないこと)を確かめました。

 一般相対性理論は、宇宙そのものの営み(時間と空間)を支配する、最も基本的な法則だと考えられています。
 今回、一般相対性理論の正しさが改めて確認されたことで、宇宙の真理にたどりつくための大きな足がかりを人類は手にしたことになります。
※原文は英語ですがESOのプレスリリースをご覧ください。

2013.4.28記(石坂

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