『天球図の歴史』

ピーター・ウィットフィールド
大英図書館・ミュージアム図書 4410円+税

妹書の「世界図の歴史」とともに刊行された、大判の本です。書名の通り、太古から現代までの様々な「星図」がフルカラーで年代順におさめられ見るだけでも楽しい本です。また、それぞれの歴史的な意義の解説がなされており、単にモノをならべただけでなく、全体として構造が示されている、いわば博物館の展示的な内容になっています。言い換えれば、本書を持つことは「星図博物館」を持つことになるといえます。

一方、現代天文学で使われる星図は、ほとんど電子化されており、必要な部分だけをその場で表示するような形になっています。本書は、天の全体、あるいは星座単位になるよう な広い範囲を示した図を対象にしています。そのため、現在的な星図はわずかしか出てきません。現在の星図については「新版星図・星表めぐり」を見たり、インターネットなどで検索するといいでしょう。ただ、このことは、本書のよさを少しも損なうものではありません。本書は「宇宙図の歴史」ではなく、天球、すなわち地上から見渡せる空としての宇宙を対象にしたものであり、それに限定して 見るのが正解だからです。もっといえば、奥行きのある宇宙の発見(200年前のハーシェルの銀河系図が最初でしょう)の以前と以後をほぼ等分した「宇宙図の歴史」という本もほしくなります


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