「コロコロ・ステーション」「シーソー・ボール」
の製作とパーツの消耗率

石坂千春

大阪市立科学館



概 要

 幼児・児童を対象とした遊具型展示「コロコロ・ステーション」および「シーソー・ボール」を製作したので
報告する。 あわせて展示場入場者数とパーツの消耗率の関係について統計をとったので報告する。


1.はじめに

 当館には小学3・4年生をピークとして、大人から年少児童まで幅広い来館者がある。 展示物は主に小学校5年生以上を対象としているので、幼児や小学校低学年、および家族連れの来館者には難しい、との感想をもたれることもしばしばである。
 そこで、平成17年度に幼児・児童を対象とした遊具型展示「コロコロ・ステーション」および「シーソー・ボール」を製作し、展示場4階に導入した。 本報告では、この2点の仕様、および来館者の反応、展示場入場者数に対するパーツの消耗率について報告する。


2.仕様

2−1. コロコロ・ステーション

 コロコロ・ステーションは4種類の木製落下型遊具ウッドワーロックをテーブルの上に固定し、観覧客がレールや物体の形状による落下(回転)の仕方の違いについて観察するものである。
 設置した木製落下型遊具は、市販されているトレインカー・スロープ(BECK社)、ジャンピング・カートレイン(BECK社)、シロフォン付き玉の塔(BECK社)、およびNICスロープである。 製作は襯▲セスに委託した。

2−2. シーソー・ボール

 シーソー・ボールは3段の可変レール(シーソー)の傾きをダイヤルで調整し、木球(φ5cm)をゴールの丸い穴まで運ぶゲーム型展示である。 可動部はアクリル製のケースの中に設置されている。
 レールおよび底部は落球の衝撃を吸収するため、フェルト材で保護してある。 また、3段目のレールは緩やかなカーブ状になっており、操作の難度を上げている。 製作は襯▲セスに委託した。


3.来館者の反応とパーツの消耗率

 コロコロ・ステーション、シーソー・ボールとも来館者の反応は概ね良好である。 近くに解説員はおらず、操作解説板等を設置していないにもかかわらず、パーツを取り合うようにして操作している。 展示場入場者の多い日には列を作ることもある。
 意図した通り、年少児童から、高学年児童・生徒、さらには大人まで、年齢層も幅広く受け入れられている印象を受ける。
 一方、問題も発生している。
 補充パーツが無くなってしまうことである。 パーツとはビー玉(シロフォン付き玉の塔)、UFO型コマ等(NICスロープ用)、トレインカー(トレインカー・スロープおよびジャンピング・カートレイン)、木球(シーソー・ボール)を指す(図3)。 パーツは1種類につき1つずつ配置している。
 特に、「シロフォン付き玉の塔」に関しては、ビー玉がφ1cmと小さいためか消耗しやすい。

図3 パーツ(左からトレインカー2種、人形型コマ、UFO型コマ、木球、中央がビー玉)



 パーツの補充履歴は表1の通りである。
 これらの展示の導入は2005年8月1日であったが、記録は2005年10月25日から取っている。 また、シロフォン付き玉の塔はもともと附属のシロフォン玉(粘土製)を使用していたが、11月初旬に無くなってしまったため、以後ビー玉で代用している。
      

表1. 日別入場者数とパーツの補充数

日付	入場者数	  補充品	  補充数 ;	日付	入場者数	  補充品	  補充数
10月25日	1136 	シロフォン玉		1 ;	1月19日	 978 		-		0
10月26日	1106 	シロフォン玉		2 ;	1月20日	 653 	  ビー玉		1
10月27日	1332 		-		0 ;	1月21日	 742 		-		0
10月28日	2240 		-		0 ;	1月22日	1211 	  ビー玉		1
10月29日	1545 		-		0 ;	1月24日	1241 	  ビー玉		2
10月30日	 888 		-		0 ;	1月25日	 484 		-		0
11月 1日	1380 	シロフォン玉		2 ;	1月26日	 960 		-		0
 11月 2日	1474 		-		0 ;	 1月27日	1184 	  ビー玉		1 
11月 3日	1289 		-		0 ;	1月28日	1103 		-		0
11月 5日	 630 		-		0 ;	1月29日	1326 		-		0
11月 6日	1945 		-		0 ;	1月31日	 702 	  ビー玉		1
11月 8日	1748 	  ビー玉		1 ;	2月 1日	 296 		-		0
11月 9日	1207 		-		0 ;	2月 2日	 456 		-		0
11月10日	1333 	ビー玉、トレインカー	各1;	2月 3日	 905 	  ビー玉		1
11月11日	2267 	  ビー玉		1 ;	2月 4日	 862 	  ビー玉		1
11月12日	 989 		-		0 ;	2月 5日	1383 		-		0
11月13日	1178 		-		0 ;	2月 7日	 409 		-		0
11月15日	1424 	  ビー玉		1 ;	2月 8日	 388 		-		0
11月16日	1232		-		0 ;	2月 9日	 782 	UFO型コマ、トレインカー 各1
11月17日	1850		-		0 ;	2月10日	1122 		-		0
11月18日	2404 	  ビー玉		1 ;	2月11日	1240 		-		0
11月19日	1883 		-		0 ;	2月12日	1410 	  ビー玉		1
11月20日	2584 		-		0 ;	2月14日	 854 	  ビー玉		1
11月22日	1351 	  ビー玉		1 ;	2月15日	 570 		-		0
11月23日	1125 		-		0 ;	2月16日	 470 		-		0
11月25日	1270 		-		0 ;	2月17日	 958 	  ビー玉		1
11月26日	 840 		-		0 ;	2月18日	 760 		-		0
11月27日	1024 		-		0 ;	2月19日	1292 	  ビー玉		1
12月 2日	1368 		-		0 ;	2月21日	 602 		-		0
12月 3日	 599 		-		0 ;	2月22日	 658 		-		0
12月 4日	1312 		-		0 ;	2月23日	 664 		-		0
12月 6日	 809 		-		0 ;	2月24日	 501 		-		0
12月 7日	 779 	  ビー玉		2 ;	2月25日	1092 	  ビー玉		1
12月 8日	1019 		-		0 ;	2月26日	1736 	  ビー玉		1
12月 9日	1242 	  ビー玉		2 ;	2月28日	 343 	  ビー玉		1
12月10日	 599 		-		0 ;	3月 1日	 473 	  ビー玉		1
12月11日	 756 	  ビー玉		1 ;	3月 2日	 454 	  ビー玉		1
12月13日	 591 		-		0 ;	3月 3日	1362 		-		0
12月14日	 641 	  ビー玉		1 ;	3月 4日	 756 	トレインカー		1
12月15日	 403 	  ビー玉		1 ;	3月 5日	1189 		-		0
12月16日	 485 		-		0 ;	3月 7日	 324 		-		0
12月17日	 512 		-		0 ;	3月 8日	 730 	  ビー玉		1
12月18日	 766 	  ビー玉		1 ;	3月 9日	 143 		-		0
 12月20日	 569 		-		0 ;	 3月10日	 777 	ビー玉、木球		各1
12月21日	 183 		-		0 ;	3月11日	 915 	  ビー玉		1
12月22日	  79 		-		0 ;	3月12日	1860 		-		0
12月23日	 669 		-		0 ;	3月14日	 284 		-		0
12月24日	 815 		-		0 ;	3月15日	 333 		-		0
12月25日	 700 		-		0 ;	3月16日	 433 		-		0
12月27日	 449 	  ビー玉		2 ;	3月17日	 675 		-		0
 1月 5日	 590 	  ビー玉		1 ;	3月18日	 957 		-		0
 1月 6日	 477 		-		0 ;	3月19日	1349 	  ビー玉		2
 1月 7日	 606 		-		0 ;	3月21日	1270 		-		0
 1月 8日	1243 	  ビー玉		2 ;	3月23日	 433 	  ビー玉		1
 1月 9日	1089 	  ビー玉		2 ;	3月24日	 316 	  ビー玉		1
 1月11日	 546 		-		0 ;	3月25日	1469 		-		0
 1月12日	 567 		-		0 ;	3月26日	1345 	  ビー玉		1
 1月13日	 409 		-		0 ;	3月28日	1085 		-		0
 1月14日	 717 	  ビー玉		1 ;	3月29日	1122 	  ビー玉		2
 1月15日	1095 		-		0 ;	3月30日	1107 		-		0
 1月17日	 755 		-		0 ;	3月31日	1071 		-		0
 1月18日	 265 		-		0 ;	  		  		 	


 消耗率を「補充数/日数」と定義し、入場者数別に消耗率を集計してみると1000人以上1500人未満で最も消耗率が高く0.62となっており、次いで2000人以上の0.50、500人以上1000人未満の0.44と続く。 500人未満でも0.33あり、1500人以上2000人未満の0.28が最も少ない。 入場者数が多くても消耗率が高いとは言えないようである(図4)。 なお、パーツが無くなってすぐに補充しているわけではないため、潜在的な消耗率は実際の数値よりも高くなることが予想される。


     

図4. 入場者数別パーツの消耗率



 次に、曜日や一人当たりの平均入場料と消耗率の関係を見る。
 図5は曜日別に集計しパーツ消耗率を計算したもの、図6は展示場入場客単価(一人当たりの平均入場料)別の集計である。 なお、2006年1月9日は月曜日であるが祝日であったので、日曜日として集計している。

図5. 曜日別入場者平均と消耗率
入場者数は日曜日が最も多いが、消耗率は火曜日が最も多くなっている。
消耗率は次いで日曜日、金曜日の順である。





図6. 客単価別消耗率
客単価が少ないほど消耗率は高い



 これを見ると、曜日別では火曜日が最も消耗率が高く、次いで日曜日、金曜日の順、また料金別では客単価が低いほどパーツが無くなりやすいことが分かる。
 当館は小中学生の展示場観覧は無料となっている。 大人は一人400円なので、小中学生が多いほど客単価は低くなる。 また学校団体の来館が火曜日と金曜日で多くなっていることと併せて考えると、監視者の少ない学校団体がパーツを多く消耗していることが推測される。


4.まとめ

 ビー玉は床に転がったままになっていることがしばしばある。 おそらくジャンピング・カートレインやシーソー・ボール等に誤って入れてしまい、飛び出したものと考えられる。 消耗するビー玉の中には、床に転がったものを次に来た来館者が見つけて持ち帰った件も多いであろう。
 対策として、各パーツに「科学館」と記入したり、持って帰らないよう注意書を机に貼ったり、ビー玉が飛び出さないようガードを設置したりしたが、消耗率にはあまり変化はないようである。
 一つのコーナー(テーブル)には1種類のパーツを使うものを集約し、同じパーツをどの展示にも使えるようにし、逆に、違う種類のパーツを入れて紛失してしまわないように工夫すれば、パーツの消耗率が軽減できると期待される。 また、パーツは高額のものではないので随時補充していけばよいであろう。
 パーツが消耗するのは多くの人が利用している証拠でもある。 落下型遊具は幅広い年齢層に受け入れられ、人気の出る展示物となることが証明された。 またコロコロ・ステーションやシーソー・ボールはパーツの補充以外、ほとんどメンテナンス・フリーという利点もある。
 落下型遊具は楽しく遊びながら、「転がり」について学ぶことのできる科学館に相応しい展示物である。
 今回の調査を踏まえ、さらに多くの観覧客に喜んでもらえるような大型の落下型展示を開発していきたい。 きっと展示場における新しい目玉展示となるであろう。


※補遺

 「コロコロ・ステーション」および「シーソー・ボール」については、展示解説を著者のホームページ上の「おすすめ展示案内」にも掲載した。 こちらも参照されたい。

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