大阪市立科学館における太陽の撮像と黒点数の推移

石坂千春

大阪市立科学館



概 要

2004年度に大阪市立科学館天文台で継続的に太陽を撮像し、展示場にて公開したので
報告する。併せて、黒点数についても集計し、オーロラ発生数と比較したので報告する。


1.はじめに

 2004年7月22日から翌2005年3月31日まで、大阪市立科学館屋上に設置された天文台で継続的に太陽像の撮影を行った。当該期間中、撮像できた日数は94日である。
 2004年度は太陽活動極大期を4年過ぎ、出現する黒点は極大期の20%ほどになると予想されていた[1]。一方、コロナホール起源のオーロラが活発になる時期とも言われていた。
 当館ではこれまで継続的に太陽の撮像を行ってきたが、黒点数の集計は行っていない。今回、2004年度に撮影した太陽像から黒点数を計測したので報告する。
 次章では太陽像の撮影方法と公開方法について報告し、3章では集計した黒点数を報告する。オーロラ嵐の発生数との相関については4章でまとめた。

2.撮影方法および公開手順

(1)撮影機材

 屋上天文台の10cm屈折望遠鏡(f1000)にデジタル一眼レフカメラNikonD100を直焦点で接続する。望遠鏡の対物レンズを直径5cmに絞り、減光フィルタとして印刷用リスフィルムを利用する。 CCD感度はISO200相当、露出は気象状況によるが1/320〜1/400秒程度に設定した。

(2)公開手順

 公開用のパソコンはLANにつながっていないので、次のような手順を踏む。 なお、この展示公開用パソコンは2002 年度に当館元学芸員川上新吾氏が導入したものである。

 〇1討靴紳斥杼を画像処理用のパソコンに取り込み、サイズを800×531ピクセルに縮小した後、撮影日時を画像上に書き込む(図1)。

   図1.公開用画像(2004年7月24日)



◆´,硫菫ファイルを、フロッピーディスクを介して公開用パソコンの所定のフォルダーに保存する。
 公開用HTMLファイルを編集して、新規太陽像にリンクを貼る。
ぁ.屮薀Ε兇鯲ち上げ、画面を公開用CRTに切り替える。


3.黒点数の集計

 画像処理をした太陽像から肉眼で黒点を特定し、黒点数N、黒点群数gを集計した。
 黒点指数として10g+Nを導入する。黒点相対数RとはR=k(10g+N)という関係がある(kは観測者による比例係数)。計測した黒点数および黒点指数を表1にまとめる。

       

表1.撮像日と黒点数

日付黒点群黒点数相対指数
2004/ 7/2211020
2004/ 7/231818
2004/ 7/242626
2004/ 7/251515
2004/ 7/281616
2004/ 7/291313
2004/ 7/30033
2004/ 8/ 2022
2004/ 8/ 41313
2004/ 8/ 61414
2004/ 8/ 71515
2004/ 8/ 8044
2004/ 8/101515
2004/ 8/111414
2004/ 8/161818
2004/ 8/181313
2004/ 8/191313
2004/ 8/211515
2004/ 8/22088
2004/ 8/241515
2004/ 8/25044
2004/ 8/26022
2004/ 8/27022
2004/ 9/ 3011
2004/ 9/ 7044
2004/ 9/ 8055
2004/ 9/ 91515
2004/ 9/131414
2004/ 9/141414
2004/ 9/151414
2004/ 9/171313
2004/ 9/191313
2004/ 9/201414
2004/ 9/28011
2004/10/ 1022
2004/10/ 3033
2004/10/ 6011
2004/10/ 7000
2004/10/14011
2004/10/15011
2004/10/21044
2004/10/221515
2004/10/242828
2004/11/ 62727
2004/11/ 72929
2004/11/ 91414
2004/11/101212
2004/11/16033
2004/11/17055
2004/11/27033
2004/11/28033
2004/12/ 11515
2004/12/ 31313
2004/12/ 7011
2004/12/ 8000
2004/12/11000
2004/12/12011
2004/12/14000
2004/12/15000
2004/12/16000
2004/12/17000
2004/12/21011
2004/12/24011
2004/12/25011
2004/12/26011
2005/ 1/ 7000
2005/ 1/10011
2005/ 1/131313
2005/ 1/201414
2005/ 2/ 1022
2005/ 2/ 2011
2005/ 2/ 3000
2005/ 2/ 4000
2005/ 2/ 9022
2005/ 2/141414
2005/ 2/20011
2005/ 2/22022
2005/ 2/23000
2005/ 2/25000
2005/ 2/28000
2005/ 3/ 3000
2005/ 3/ 6000
2005/ 3/ 8000
2005/ 3/ 9044
2005/ 3/131515
2005/ 3/16033
2005/ 3/18022
2005/ 3/21022
2005/ 3/241212
2005/ 3/25055
2005/ 3/27011
2005/ 3/29000
2005/ 3/30000
2005/ 3/31000


4.考察とまとめ

 前章で計測した黒点数と、九州大学宙空環境研究センター(SERC)が公開しているデータ[2]とを比較すると、本報告の黒点数が系統的に少ないことが分かる(図2)。これは観測方法の違い(特に解像度)と黒点の特定法の違いを反映しているものと考えられる。図2から、前章で定義した黒点指数の比例係数kは10程度であることが予想される。

 図2.SERCの黒点数との比較



 図3では、前章で求めた黒点指数と、同じく九州大学宙空環境研究センターが公開しているオーロラ嵐発生数[2]とをグラフにまとめた。このグラフでは観測日が飛んでいるため、周期を特定することはできないが、黒点はおよそ27日周期(地球に対する太陽の自転周期)で増減を繰り返している一方、オーロラ嵐の発生数は必ずしも黒点の増減とは一致しておらず、満遍なく発生しているように見える。


図3.黒点相対指数とオーロラ嵐発生数の推移



 図4では、黒点指数とオーロラ嵐の発生数の相関をみたが、相関係数は-0.14と、強い相関は読み取れない。これは極小期におけるオーロラがフレア起源ではなく、コロナホールからの高速太陽風に起源を持つことに由来しているものと考えられている。
 2007年前後に太陽活動は極小期を迎えると予想されている[1]。今後も継続的に太陽の撮像と太陽黒点数の計測を行い、太陽活動の推移を観測していくことが必要であろう。


図4.黒点指数とオーロラ嵐発生数の相関

明らかな相関は認められない。相関係数は-0.14である。



参考資料

[1] NASAによる太陽黒点周期予報
[2]九州大学宙空環境研究センター宇宙天気概況


※補遺

 本稿で報告した太陽像については、一部を大阪市立科学館ホームページ「天文・宇宙の話題」上や著者のホームページ上でも公開した。

石坂千春のページに戻る

学芸員のページ


ホームページ