福沢諭吉の見た日の出


 科学館は中之島にあり、北側に堂島川、南側に土佐堀川が流れています。

 堂島川にかかる田蓑橋にたたずむと、堂島川の両岸には高いビルが建ち並び、あたかも深い谷底をゆったり流れる中国の大河を想わせます。
 また夜には川面にビルの灯りが映え、遠く異国の都市のような情緒をかもし出します(写真)。
 「水都・大阪」と言いますが、まさしく大阪は水辺から見るととても美しい街です。

 さて、田蓑橋のところで堂島川はほぼ東西(正確には 10°ほど北より)の流れから、南西 27°方向の流れへと曲がります(地図)。
 街並がいっそう印象的に見えるのは日の出や日の入の時ではないでしょうか?
 私は田蓑橋に立ち、ふと「このビルの谷間に日が昇ったり沈んだりすることはあるのだろうか?」といぶかしみました。 そこで科学館発行のこよみハンドブックを調べてみると・・・ありました。
 堂島川の上流側に日が昇るのは4月10日前後と9月1日前後、そして下流側に日が沈むのは12月下旬です。

 田蓑橋より西側の北岸、玉江橋のたもと(福島区)には福沢諭吉の生家を示す石碑があります。 福沢翁も幼いころ、堂島川に浮かぶ太陽を見たのでしょうか・・・      石坂千春(いしざかちはる:科学館学芸員)

※2006年現在、福沢諭吉の碑は朝日放送新社屋建設のため移設されており、見ることはできません。

  堂島川夜景(2004年12月3日・玉江橋より上流を望む:石坂千春撮影)
大阪市北区広報紙「わがまち北区」2005年2月号(No.104)掲載

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