本日研修9日目。
 ハンプシャー州ウインチェスターのインテクというところの視察です。バスに乗って約2時間半。ロンドン市内を抜けるのに少し時間がかかった。そして今日は終日あいにくの雨。イギリスの丘陵地は、雨に煙っておりました。ここは、静かな丘陵地の中にあるサイエンスセンターです。ここも館長さんがじきじきに相手をしてくれました。

  ここは、もともと1985年に教育慈善事業のひとつとして始まったものだそうで、ハンプシャー県下の教育で理科実験ができる所を作ってほしいという先生などの要望があり作られたそうです。そして、使用していなかった学校をもらって始まった館だそうです。で1998年にミレニアムプロジェクトで550万£をもらったそうですが、その条件として同額の金額を企業からも集めなさいということだったそうです。で、約1020万£で現在の建物ができたそうです。土地はNTLという会社から貸してもらっているそう。職員数は21名。スポンサーは、230社。その会社内でもインテクの広報はしてもらっていて、会社の人やその家族らも来館してもらうようにしているとのこと。

 ここは、参加体験型の展示に徹底している館で、それもほとんどの展示が自分のところで工房で製作するという、非常にうらやましいところでした。工房の作業員が5人いて、それも他のところで機械製作など経験をつんできた50代以上の人たちが作っているとのこと。その割には展示ひとつ作るのに、トータル7000£という値段。ちなみにパイプオルガンの費用内訳は、4000£が制作費、650£が材料費、1000£がデザイン費、1000£がパネルガイドブック製作費となっているそうです。少し高いかな。ただ、こちらの物価から考えるとそんなものかも。

インテクの工房風の展示で戯れる
目の仕組みの展示風洞実験

  それと、展示の枠(外形)の作りやデザインがすべて統一されていて、うまくまとまっているのがよかったですね。国の学校のプログラムを取り込む形で学校の先生とうまく連携し、展示はすべて学校のプログラムにのっとったものです。生徒を満足させるものとして作られているということです。そして1ヶ月に1回展示の見直しを図る会議があって、そこで淘汰されたり、新しい展示を考案するらしいです。運営委員会という、館職員と学校の先生でこれらの事を行うとのこと。 学校団体が来てCADをしたり、そこでデザインしたものを隣の工房で製作したりするという授業もあるそうです。こちらは、使用料がかかるらしいですが、最先端の技術を子供たちに触れさせるのも大事といっておりました。

 そして館内の機械を持って学校めぐりをすることもあるし、学校の先生と、それらの機械を入れてくれた企業との交流もそこで行ったりするとのこと。 コンピュータなどはIBMが寄付してくれたそうです。企業の慈善事業に関する投資です。予算は、県、市、近隣の市、国立大学など公のところからは半分くらい、後は、マーケティングの女性部長が企業回りをして集めてくるそうです。公的な予算には、ミレニアム財団からのものもあるけど、それはいわゆる入札で勝ち取ってこなければならないそうです。そして1年に1回はミレニアムプロジェクトの調査が入るそうです。それと慈善団体に属していてそこに入ると、企業などがお金を落としてくれやすくなるそうですが、慈善団体に入るにもそこにふさわしい組織なのかのチェックもあるそうです。

 現在展示の数は87点。これから150点に増やすそうです。特に11〜16才を相手にした展示を多くしようとしているそうです。 それから現在は、中学校のプログラムは入っていないそうですが、中学校団体が呼ぶためには理科だけではなく、他の教科とも絡めて何時間か滞在してもらわないといけないらしく、そのために美術、歴史なども絡めたものも企画するそうです。その際の講師は、大学の先生にお願いしたりするとのこと。来館者にはメールアドレスなどを尋ねて館で行う、講演会などの事業の広報も行ったりするそうです。成人教育としてグループで講義を聞きに来たりするところもある。 博物館としての機能は持たせない。つまり資料の収集などを行うのではなく、インタラクティブな展示を作って教育にかかわっていく。これから実験ショーなども行う予定であるとのこと。


 学校団体が来ても、子供たちを6人くらいのグループに分けて、大人が一人ついて引率していました。子供たちは遊ぶのに夢中だけど、それなりに学習しているみたいでした。大人がうまくそうゆうふうになるように仕向けているようです。



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