ガラスの性質

部屋の中をぐるっと見回せば、どこかにありますよね。ガラスが。
ガラスは、いつの頃から使われるようになったのでしょうか?古い話ですから、なかなか本当のことは分かりにくいですが、
最初のものは、石器時代から使われていた黒曜石(写真1)といわれています。黒曜石とは二酸化ケイ素が主成分の石で、鉄などが入っているために黒く見える石です。


写真.黒曜石


また、人工的なものとしては、紀元前5000年頃には使われていたと考えられています。不透明で青緑色のものが多く出土しているため、青銅の製作と関連して作られたとも考えられています。古代エジプトでは、ガラスと宝石が交換されていたこともありますと割れてしまい、その破片が鋭利で危険なものといったところですね。

科学的には、酸化ケイ素(SiO2)を主体とした非晶質の固体状の物質。透明〜半透明を示す物を指します。非晶質とは、結晶のように原子の配列が規則的ではなく、ばらばらに存在するものです。ただし、最近では、結晶のように長距離的な規則配列は見られないが、近距離では、ある程度の規則的な構造が見られ、この構造の積み重ねを持つものと考えられている。

    

図.結晶(左)と非晶質(左)のイメージ


  もっと厳密に言うとガラスとは、ガラス転移点をもつものといえます。ガラス転移点というのは、あるせまい温度域を境にして、熱膨張係数などが急激に大きくなる領域を持つもののことを言います。

 また、ガラスの種類も現在はたくさんありますが、その成分によって「石英ガラス」「ソーダガラス」「鉛ガラス」「ホウケイ酸ガラス」の大きく4つに分けられます。

表.ガラスの種類とその成分
種類/化学組成(%) SiO2 Na2O PbO B2O3 その他 用途
石英(シリカ)ガラス 96〜99  〜3  〜1 レンズ、光ファイバー等
ソーダガラス 70〜74 12〜15 12〜16 窓ガラス、板ガラス等
ホウケイ酸ガラス 67〜80 〜3.8 〜1 24〜28 〜2 実験器具、調理器具等
鉛ガラス 30〜60 〜7 20〜58 〜10 装飾品、放射線シールド等
                          日本化学会化学便覧応用編より抜粋(一部改編)


石英ガラスは、不純物を除き、ほとんど不純物を取り除いたガラスです。そのため、光を通したときの減衰率が非常に低いため、光ファイバーなどにも使われます。

ソーダガラスは、それこそ、いたるところに見られる語句一般的なガラスです。その断面を見ると緑色になっているのがそうです。

ホウケイ酸ガラスは、実験器具では欠かせません。また、調理器具としても良く使われています。急激な熱変化によるガラスの膨張が低いために、熱の衝撃に強いガラスです。

鉛ガラスは、鉛を加えたため、光の屈折率が高くなり、カットした面ではキラキラと綺麗に輝くガラスです。バカラ社のガラス製品が有名です。


(2005.7.2記)

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