デカルトの運動量保存(2)  記:斎藤吉彦 

 デカルトは神を基にして運動量をスカラーとし、その保存則を提唱した。そして、これから明らかに実際の現象と異なることを導いている。それでも、彼は「運動量保存則」を修正することはせず、原因を他に求めた。神が与えた保存則を修正するなどということは、とても許されるものではなかったのであろうか?デカルトは神を第一原理とし、全てを演繹することを企てたのである。しかし、衝突の理論は完成することはなかった。また、渦動による近接作用で地動説を説明するのであるが、数学的表現で示すことはなかった。これらのデカルト宇宙の欠点を克服したのがホイヘンスである。現代に通じる衝突の理論を打ちたて、数学的扱いを厳密にした。デカルト自然学はニュートン力学の普及をしばらく妨げることになる。
 詳しくは「月刊うちゅう」10月号に掲載します。こうご期待。