2005/04/08

ミリカンとアンダーソン

記:斎藤吉彦

 Physical Reviewの古いのに、素粒子の命名についてミリカンが書いたものを見つけた。天才物理学者たちの人間臭い一面をかいま見たようだ。
 ミリカンは電子の電荷を精密測定し1923年にノーベル賞を受賞した物理学者。ミリカンの下にアンダーソンという物理学者がいた。アンダーソンはミリカンの下で、学生時代から研究生活を送っていた。アンダーソンは陽電子を発見し1936年にノーベル賞を受賞、その翌年の1937年にミューオンを発見した物理学者である。ミリカンとアンダーソンの関係が興味深い。
 アンダーソンが発見したミューオンの命名について、ミリカンと20世紀を代表する理論物理学者ボーアとの間で、意見交換があったようだ。ミリカンはPhysical Reviewに次のように書いている。「ミリカンはボーアから"Yuchon"と命名してはどうかと手紙を受け取った。ミリカンは、発見者のアンダーソンが"mesotron"と考えていると返事をした。ボーアは"mesotron"に賛成した。」
 一方、 アンダーソンは次のようなことを書いている。「アンダーソンは"mesoton"と名づけて、論文を投稿した。しかし、ミリカンは、素粒子はelectronなどのように"ron"とすべきだと主張。protonを例にして、アンダーソンは抵抗したが、聞き入れてもらえなかった。それで、論文が印刷される寸前で"r"が挿入されることとなった。」さらに、「この名前は好きになれなかった。」とも書いている。
 アンダーソンはまだまだ書いている。続きは「月刊うちゅう」に書くことにする。こうご期待!