NEUTRINO

月刊うちゅう 2005 Vol.21 No.10


ニュートリノ




カミオカンデの光電子増倍管


 
4階に巨大な電球のようなものが展示されています(写真)。これを使った研究で、小柴昌俊先生は2002年にノーベル物理学賞を受賞されました。今回はこの展示品に関連するお話をしましょう。
 この巨大電球のようなものは光電子増倍管といって、中に光が入ると電気信号を出す光検出器で、宇宙からやってくるニュートリノという素粒子の観測に使われました。ニュートリノはめったなことで他の物質と衝突することはありません。地球をもほとんど自由に突き抜けるぐらいです。でも、たまに電子を突き飛ばすことがあります。突き飛ばされた電子はとても弱い光を出すのですが、この弱い光を検出するのが写真の光電子増倍管なのです。
 さて、1987年に大マゼラン星雲で超新星爆発がありました。そのときに発生したニュートリノがこの光電子増倍管を使った装置カミオカンデで検出されたのです。超新星爆発によるニュートリノ検出は世界初の快挙でした。それでノーベル賞となったのです。その後、カミオカンデを大型にした装置、スーパーカミオカンデが建設され、そこでニュートリノに質量があることが証明されました。これは現代素粒子論や宇宙論の根幹にかかわる大発見なのです。
 ジュニアの日はニュートリノ物理の最前線を、他の貴重な資料も使って詳しくお話しします。

さいとうよしひこ:学芸員






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