キャッツアイ星雲のなぞ

不思議なふしぎなキャッツアイ星雲

この写真をご覧ください。
キャッツアイ星雲(NASA, ESA, The Hubble Heritage Team(STScI, AURA))

 なんともふしぎな姿をしていますね。その名も「キャッツアイ星雲」。 真ん中の丸い部分が「猫の目」のように見えるからでしょうか。

 しかし注目すべきは外側に広がる何重ものたまねぎ構造"シェル"です。

 キャッツアイ星雲は正式名称をNGC6543といい、 りゅう座領域、距離1690光年にある"惑星状星雲"です。

 「惑星状」といっても、惑星とは何の関係もなく、太陽くらいの質量の恒星が最期に迎える死の姿です。 望遠鏡で見ると普通の星とは違い、惑星のように丸く円盤状に見えたため「惑星状」と名づけられました。

 太陽よりも8倍以上重い恒星はその最期に華々しく爆発して死んで行きますが、 太陽くらいの質量の恒星の場合は徐々に外層を宇宙空間に放出して広がっていきます。
 広がっていくガスが中心に残る高温の星の芯「白色矮星」からの紫外線によって 光っているのが「惑星状星雲」です。

 「惑星状星雲」はきわめて個性的で、どれ一つとして似たような姿にはなりません。 どうしてこのような多様な姿になるのかは、観測する方向による伴星の影響による磁場の影響による自転の影響による、 などさまざまな説が提案されていますが、決着は付いていません。

 このキャッツアイ星雲の場合、 1500年ごとの間欠的な外層の放出によりシェルができたと考えられていますが、 なぜ間欠的に放出が起きるのか、また、真ん中付近の「猫の目」構造はどのようにしてできたのか、は なぞのままです。


★原文は英語ですが、HSTのプレスリリースをご覧ください。


2004.9.13記(石坂

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