『科学談話室』の話題より
台  風  の  雲
2001/10/07 話題提供
2002/02/10 最終更新
話題一覧


[danwa:0562] 台風の雲
Date:Sun, 7 Oct 2001 17:32:28 From: Bi.Bi.
みなさん、こんにちは。
Bi.Bi.です。

「台風の雲が渦を巻くのは、回転系に現れるコリオリ力によるものだ。」
との説明をよく聞きます。
そしたら、静止系から地球を眺めると、渦は見えないのでしょうか?

Bi.Bi.


[danwa:0563] Re: 台風の雲
Date:Tue, 9 Oct 2001 09:24:15 From: Ando S.
BiBiさんお久しぶりです。談話室のみなさん、こんにちは。
Ando S.です。

[danwa: 0562]BiBiさん:
> 「台風の雲が渦を巻くのは、回転系に現れるコリオリ力によるものだ。」
> との説明をよく聞きます。
> そしたら、静止系から地球を眺めると、渦は見えないのでしょうか?

静止系から見ても、台風の渦は観察できると思います。

コリオリ力によって決まるのは、渦の向きであって、渦そのものはコリオリ 力によて発生するのではないと思います。


[danwa:0565] Re: 台風の雲
Date:Wed, 10 Oct 2001 14:45:50 From: Bi.Bi.
Ando S. さんこんにちは。

[danwa:0563]Ando S.さん
>[danwa: 0562]BiBiさん:
>> 「台風の雲が渦を巻くのは、回転系に現れるコリオリ力によるものだ。」
>> との説明をよく聞きます。
>> そしたら、静止系から地球を眺めると、渦は見えないのでしょうか?
>
>静止系から見ても、台風の渦は観察できると思います。

ですよね。

>コリオリ力によって決まるのは、渦の向きであって、渦そのものはコリオリ
>力によて発生するのではないと思います。

うん? でも、静止系にはコリオリ力ないですよね。
なんで、存在しないものが渦の向きを決めるんでしょう?

Bi.Bi.


[danwa:0566] Re: 台風の雲
Date:Fri, 12 Oct 2001 09:30:37 From: 長谷川
Bi.Bi.さん、談話室のみなさん、こんにちは。長谷川です。

Bi.Bi.さん[danwa: 0562]
> 「台風の雲が渦を巻くのは、回転系に現れるコリオリ力によるものだ。」
> との説明をよく聞きます。
> そしたら、静止系から地球を眺めると、渦は見えないのでしょうか?

漠然としているので、いくつかのシチュエーションを考えてみました。

・北極点に巨大なドームを作って、真ん中に熱源をおいて対流を起こすと、 空気の流れはどうなる?

・北極点で振り子が揺れているのを、北極にいる人が見たら…?
・同じ振り子を静止系から見たら…?

・大阪で振り子が揺れているのを、大阪にいる人が見たら…?
・同じ振り子を静止系から見たら…?

それぞれどうなるでしょう。


[danwa:0568] Re: 台風の雲
Date:Sun, 28 Oct 2001 15:53:57 From: Ando S.
Ando S.です。
この話題、ちょっと人気がないのか、その後の展開がないですね。

BiBiさん[danwa: 0565]
> >コリオリ力によって決まるのは、渦の向きであって、渦そのものはコリ
> >オリ力によて発生するのではないと思います。
>
> うん? でも、静止系にはコリオリ力ないですよね。
> なんで、存在しないものが渦の向きを決めるんでしょう?
>

静止系から見ても渦の向きが一義的に決まる理由を考えろ、ということです ね。
式を立てて考えるのは得意ではないので、私なりにその理由をイメージして みます。

いきなり台風の話に行くのはやめて、準備運動として飛行機を例にとってイ メージしてみましょう。
仮に、飛行機が東経135度、北緯35度の地点から、北極点をめざして飛び 立ったとします。これを地球上から見ると、飛行機はコリオリ力のために、 東にそれて行きます。北極点に達するためには、進路を絶えず西よりに変え ながら飛ばなければなりません。結果的には、野球の右ピッチャーが投げる カーブのような軌跡になると思います。

この飛行機を静止系から見たとき、やはり、進路が東にそれ、前述と同じよ うな軌跡を描くはずですが、これをコリオリ力なしで説明できれば、渦の向 きの問題を説明できることになると思います。

そこで、静止系から見た飛行機の運動をイメージしてみます。
飛ぶ前の地上に静止しているときの飛行機は、地球の自転にあわせて回転運 動しています。したがって、飛び立つ飛行機の運動は、極点方向に向かう運 動と、回転運動(地球の自転)による接線方向の運動のベクトル合成で決ま る運動になるはずです。したがって、その方向は、東にそれます。これで、 コリオリ力なしで、飛行機が東にそれることがイメージできたと思います。

これと同じ理由で、北半球のある地点で、そこからは台風の目が真北にある とすると、その付近にある空気は、台風の目に向かって真北に流れようとし ますが、飛行機のときと同じ理由で空気の流れは東にそれます。飛行機の場 合は、ここで飛行士が意識的に進路を西に変えるのですが、空気の流れの場 合は、絶えず低気圧(台風)に引かれますので、東にそれながらもやはり台 風の目の方に向かって進路は西に変わります(台風がパイロットの役割をし ます)。こうして、反時計方向の渦が生じる流れが形成されることがイメー ジできます。

昔、TVでコリオリ力の実験をしているのを見たことがあります。人が乗れる ような大きな白い円板を反時計方向に回転させ(北半球のイメージ)、回転 の中心から塗料を塗ったボールを放出します。円板の外から(つまり、静止 系から)ボールを見ると、まっすぐに進み、円板から飛び出ます。そして、 円板を止めると、ボールに塗った塗料のために、回転方向とは反対に曲がっ たボールの軌跡が描かれています。この軌跡の曲がりは、北半球の台風の渦 とは逆向きです。だから、厳密には、コリオリ力だけで台風の渦の形成を説 明するのは、不充分だと思います。しかし、台風では、低気圧ですから、台 風自体が、コリオリ力のためにそれていく空気の流れを引き込もうとする力 を作用させます。その結果、空気の流れは、台風からそれつつ、台風に引き 込まれるということになりますから、渦が形成されます。

もっとしっかりした説明があるだろうと思うのですが、私はこのようにイ メージしました。どうでしょうか。


[danwa:0570] Re: 台風の雲
Date:Sun, 4 Nov 2001 14:49:16 From: Bi.Bi.
Ando S.さん、こんにちは。Bi.Bi.です。
最近、時間がなくて失礼しました。

> これと同じ理由で、北半球のある地点で、そこからは台風の目が真北にある
> とすると、その付近にある空気は、台風の目に向かって真北に流れようとし
> ますが、飛行機のときと同じ理由で空気の流れは東にそれます。飛行機の場

なるほど、台風の目が地球とともに回転しているのですね。

> 昔、TVでコリオリ力の実験をしているのを見たことがあります。人が乗れる
> ような大きな白い円板を反時計方向に回転させ(北半球のイメージ)、回転
> の中心から塗料を塗ったボールを放出します。円板の外から(つまり、静止
> 系から)ボールを見ると、まっすぐに進み、円板から飛び出ます。そして、
> 円板を止めると、ボールに塗った塗料のために、回転方向とは反対に曲がっ
> たボールの軌跡が描かれています。この軌跡の曲がりは、北半球の台風の渦
> とは逆向きです。だから、厳密には、コリオリ力だけで台風の渦の形成を説

回転板に強力磁石を張り付けて、鉄球を転がせばいいんじゃないでしょうか?

ということで、コリオリ力は関係ないという気がしてきました。

Bi.Bi.


[danwa:0575] Re: 台風の雲
Date:Sun, 18 Nov 2001 10:47:17 From: Bi.Bi.
Bi.Bi.です。

>Subject: [danwa:0570] Re: 台風の雲
>> ということで、コリオリ力は関係ないという気がしてきました。
>
>これはでたらめですね。
>コリオリ力がなければ、空気は素直に台風の目に引き込まれるはず、
>渦を作る源はコリオリ力しかないですね。
>
>ところが、静止系ではコリオリ力はない、
>ということは回転系で消えてしまってる別の何かが静止系ではあるはずで、
>それが渦をつくるんですね、きっと。
>

やっとわかったような気がします。
たぶん間違いないと思います。

台風の目も空気も地球にへばりついて回転しているんですよね。
ということは、北極付近の空気、台風の目、赤道付近の順の速度で運動している。

北極付近 →
台風の目 →→
赤道付近 →→→

なんと、これは台風の目の周りで既に空気が回転しているではないですか!
なんとなれば、台風の目から見るとその周りの空気の運動は

北極付近 ←
台風の目 静止
赤道付近 →

ですね。
そういえば、地球が回転しているんだから、
空気全体も回転しているのだった。

Ando S.さんのコメントおかげで、私の疑問は氷解したつもりです。
ありがとう御座いました。

でも、まだ一抹の不安があるのですが・・・

Bi.Bi.


[danwa:0586] Re: 台風の雲
Date:Wed, 5 Dec 2001 11:39:28 From: 石坂
石坂です。

[danwa:0575] で、Bi.Bi.さんは書きました。

> なんと、これは台風の目の周りで既に空気が回転しているではないですか!
> なんとなれば、台風の目から見るとその周りの空気の運動は
>
> 北極付近 ←
> 台風の目 静止
> 赤道付近 →
>
> ですね。

 周りの空気が回転しているので、渦の向きもこれに一致する、という ことですが、この説が正しければ高気圧(風の噴出し)も左向きになり ませんか?

 高気圧の高緯度側で考えれば、高気圧に対して空気は左向きで、 高気圧からの風の吹き出しは外向き。
 ベクトル合成しても、高気圧のまわりの風は必ず「左向き」の成分を 持ちます。

 高気圧は雲を作らないので渦としては見えませんが、天気図を見れ ば分かるように、高気圧の周りの風の向きは「右向き」です。

 これ、いかに・・・

石坂


[danwa:0587] Re: 台風の雲
Date:Thu, 6 Dec 2001 12:51:52 From: Bi.Bi.
Bi.Bi.です。

[danwa:0586] で石坂さんは書きました:
> 周りの空気が回転しているので、渦の向きもこれに一致する、という
>ことですが、この説が正しければ高気圧(風の噴出し)も左向きになり
>ませんか?
>
> 高気圧の高緯度側で考えれば、高気圧に対して空気は左向きで、
>高気圧からの風の吹き出しは外向き。
> ベクトル合成しても、高気圧のまわりの風は必ず「左向き」の成分を
>持ちます。

速度Vで動いている空気が高気圧ができて、Δtの時間だけ加速されるとすると、 空気の速度はV+aΔtとなる。
aは動系方向だから、速度の変化は右向きですが

Bi.Bi.


[danwa:0588] Re: 台風の雲
Date:Thu, 6 Dec 2001 15:47:40 From: 石坂
まいど、石坂です。

[danwa:0587] でBi.Bi.さんは書きました:
> 速度Vで動いている空気が高気圧ができて、Δtの時間だけ加速されるとすると、
> 空気の速度はV+aΔtとなる。
> aは動系方向だから、速度の変化は右向きですが

では、こんなんどうでしょう。

速度V0で空気を噴出す高気圧のまわりで、空気の流れ(高緯度側で 左向き、赤道側で右向き)ができて、?tの時間だけ加速されるとすると、 空気の速度はV0+a'?tとなる。
a'は高緯度側で左向き、赤道側で右向きだから、速度の変化は左向きですが

石坂


[danwa:0589] Re: 台風の雲
Date:Thu, 6 Dec 2001 23:04:41 From: Bi.Bi.
[danwa:0588]で石坂さんさんは書きました:
> 速度V0で空気を噴出す高気圧のまわりで、空気の流れ(高緯度側で
> 左向き、赤道側で右向き)ができて、?tの時間だけ加速されるとすると、
> 空気の速度はV0+a'?tとなる。
> a'は高緯度側で左向き、赤道側で右向きだから、速度の変化は左向きですが

なるほど、左向きですねー、困った・・・
と、電車の中で腕組み。

高気圧がただの沸き出しだったらおっしゃるとおり。
でも、左向きになった空気の流れにも作用しますよね。

Bi.Bi.


[danwa:0590] Re: 台風の雲
Date:Mon, 10 Dec 2001 20:12:00 From: 浜口
 みなさん,こんにちは.
 浜口です.
 
([danwa:0586]石坂さん) 
> 周りの空気が回転しているので、渦の向きもこれに一致する、という
>ことですが、この説が正しければ高気圧(風の噴出し)も左向きになり
>ませんか?
 
 そうでしょうか.
 Bi.Bi.さんの説を正しく適用してみましょう.
 
([danwa:0575]Bi.Bi.さん)
>北極付近 ←
>台風の目 静止
>赤道付近 →
 
 まず復習です.低気圧の場合.
 地球の外から眺めているとして,低気圧に向かう気塊Aを想像します.
   
       L
       
       ↑
       A
 
 しばらく時間がたつと低気圧は(気塊の進行方向に対して)左へ移動していき ます(Bi.Bi.説).
 するとこうなります.
 
     L
       ↑
       A
 
 これは,「気塊は左手に低気圧を見るように運動する」すなわち「左巻き運 動する」ことを意味します.
 
 
 次に,高気圧の場合.
 地球の外から眺めているとして,高気圧から遠ざかる気塊Aを考えます.
 
       ↑
       A
   
       H
 
 しばらく時間がたつと高気圧は(気塊の進行方向に対して)右へ移動していき ます(Bi.Bi.説).
 するとこうなります.

       ↑
       A
   
         H
 
 これは,「気塊は右手に高気圧を見るように運動する」すなわち「右巻き運 動する」ことを意味します.
 
 ほら,高気圧からの噴出しはちゃんと右巻きになりますよ.
 
                                浜口


[danwa:0593] Re: 台風の雲
Date:Wed, 12 Dec 2001 12:00:34 From: 石坂
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。

 [danwa:0590] 浜口さんは書きました:
> しばらく時間がたつと高気圧は(気塊の進行方向に対して)右へ移動していき
> ます(Bi.Bi.説).
>  するとこうなります.
>
>        ↑
>        A
>    
>          H
>  
>  これは,「気塊は右手に高気圧を見るように運動する」すなわち「右巻き運
> 動する」ことを意味します.
>  
>  ほら,高気圧からの噴出しはちゃんと右巻きになりますよ.

すみません。一晩考えたのですが分かりません。
 この図は私には気塊が高気圧に対して左に動いたように見えます。

石坂


[danwa:0594] Re: 台風の雲
Date:Wed, 12 Dec 2001 18:29:19 From: 浜口
 石坂さん,こんにちは.
 
([danwa:0593]石坂さん)
> この図は私には気塊が高気圧に対して左に動いたように見えます。
 
 そう言ってもよいと思いますよ.
 相対的なことですから.

                             浜口


[danwa:0595] Re: 台風の雲
Date:Thu, 13 Dec 2001 11:35:04 From: 石坂
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。
石坂です。

[danwa:0594] 浜口さんは書きました:
> ([danwa:0593]石坂さん)
>> この図は私には気塊が高気圧に対して左に動いたように見えます。
> 
> そう言ってもよいと思いますよ.
> 相対的なことですから.

ですよね。Bi.Bi.さんの説では高気圧の周りの気塊の運動は左向きになり、 実際の高気圧と合いません。

 さて、そもそも間違いがどこにあるかというと、Bi.Bi.さんが台風(低気圧) を「風の吹き込み」、高気圧を「風の吹き出し」と設定しているところです。

 教科書にはこう書いてあります。

「低気圧や高気圧の周りの風は気圧傾度力の方向に沿って、つまり気圧 の高い方から低い方へ吹くのではなく、気圧傾度力とは垂直に、等圧線に 沿って吹く。もし地面との摩擦がなければ、等圧線を横切ることはない。」

 これを式として書けば、(気圧傾度力)+(コリオリの力)=0が成り立つ 向きに風は流れ、これが成り立つような強さの風が吹いている、ということ になるかと思います。
 時間発展の項はありません。低気圧や高気圧は平衡状態です。

 ですから、大学の地球物理学(気象)の授業ではこう習いました。

「台風の渦の方向を説明するのに、吹き込む風にコリオリの力が働いて 右の方にずれていくので、左巻きになる、というのは間違いである。」

 これを聞いた時には私は「目からウロコ」というか、ショックを受けた記憶 があります。

 したがって、回転系ですら台風の渦の方向を「吹き込み」という間違った 前提で理解した上に、さらにこれを静止系で説明しようとするのは、私に は正しい道筋とは思えないのです。
 
石坂

PS.第一、台風が発生する北緯10度くらい(?)で台風の赤ちゃんの大きさ 200kmくらい(?)で台風の南と北での地球回転の速度差は高々秒速数m ではないか、と思います(計算間違っているかな・・・)。
 ランダムに吹く風と比べて、Bi.Bi.説に従って渦の向きが決まるほどには 有意に大きいとは言えないのではないでしょうか。


[danwa:0596] Re: 台風の雲
Date:Thu,13 Dec 2001 21:11:02 From: Bi.Bi.
間違いと決めつけられたBi.Bi.でございます。

[danwa:0595] 石坂さんは書きました:
> ですよね。Bi.Bi.さんの説では高気圧の周りの気塊の運動は左向きになり、
> 実際の高気圧と合いません。

浜口さんの図にある気塊の”↑”は高気圧による力の向きと思うんですけど
>
>        ↑
>        A
>    
>          H
>  
で、この図は右向きの運動にしか見えませんが・・・

>  さて、そもそも間違いがどこにあるかというと、Bi.Bi.さんが台風(低気圧)
> を「風の吹き込み」、高気圧を「風の吹き出し」と設定しているところです。

私が設定したとおっしゃいますが、この設定の意味が分かりません。
もし、回転系で等方的に初速度を与えた質点の集合だけを意味しているのでしたら、
静止系から見た場合、各質点は等速直線運動をするだけです。

> PS.第一、台風が発生する北緯10度くらい(?)で台風の赤ちゃんの大きさ
> 200kmくらい(?)で台風の南と北での地球回転の速度差は高々秒速数m
> ではないか、と思います(計算間違っているかな・・・)。
>  ランダムに吹く風と比べて、Bi.Bi.説に従って渦の向きが決まるほどには
> 有意に大きいとは言えないのではないでしょうか。

秒速数mで、角運動量を保存して台風の目から20Kmの所まで落ち込んだとしたら 秒速数十メートルになっちゃいます。

Bi.Bi.


[danwa:0597] Re: 台風の雲
Date:Fri, 14 Dec 2001 14:08:16 From: 浜口
 石坂さん,BiBi.さん,こんにちは.

([danwa:0595]石坂さん)
>> そう言ってもよいと思いますよ.
>> 相対的なことですから.
>
>ですよね。Bi.Bi.さんの説では高気圧の周りの気塊の運動は左向きになり、
>実際の高気圧と合いません。
 
 合っていますよ.
 
 相対的,つまり,どの座標系でみるかによるということです.
 
 北半球では,地面系(回転系)は静止系に対して左回り(反時計回り)に回転し ています.
 
 低気圧の周囲の気塊の動きは,地面系でみても静止系でみても,左回りです.
 
 高気圧の周囲の気塊の動きは,地面系でみると右回り,静止系でみると左回 りです.
 
**********
 
 以下は,本論とは直接は関係ない話ですが.
 
(([danwa:0595]石坂さん) 
> さて、そもそも間違いがどこにあるかというと、Bi.Bi.さんが台風(低気圧)
>を「風の吹き込み」、高気圧を「風の吹き出し」と設定しているところです。
 
 高気圧は吹き出し(湧き出し)で,低気圧は吹き込み(吸い込み)というのは, 基本じゃないのでしょうか.
 そうだからこそ,気圧傾度力が生じるのでしょう.
 
> 教科書にはこう書いてあります。
>
>「低気圧や高気圧の周りの風は気圧傾度力の方向に沿って、つまり気圧
>の高い方から低い方へ吹くのではなく、気圧傾度力とは垂直に、等圧線に
>沿って吹く。もし地面との摩擦がなければ、等圧線を横切ることはない。」
 
「地衡風」ですね.
 
> これを式として書けば、(気圧傾度力)+(コリオリの力)=0が成り立つ
 
 =0は,等圧線が曲がっていない場合です.
 低気圧や高気圧の周囲では等圧線が曲がっていることに注意してください.
 また,この方程式は地面系でみた場合であることも注意してください.
 
> 時間発展の項はありません。低気圧や高気圧は平衡状態です。
 
 低気圧が平衡状態(周囲を気塊が円運動し続ける)というのはわかりますが, 高気圧が平衡状態になるのは難しいでしょうね.
  
>「台風の渦の方向を説明するのに、吹き込む風にコリオリの力が働いて
>右の方にずれていくので、左巻きになる、というのは間違いである。」
 
 間違っていないと思いますよ.
 地衡風に落ち着く過程を考えると,「気圧の高いほうから低いほうへ吹く風 にコリオリ力が働いて,右に向きを変えていき,等圧線に平行に吹く風に落ち 着く」ということでしょ.
 
> したがって、回転系ですら台風の渦の方向を「吹き込み」という間違った
>前提で理解した上に、さらにこれを静止系で説明しようとするのは、私に
>は正しい道筋とは思えないのです。
 
 まず,「吹き込み」と考えることは間違ってはいません.
 それと,静止系で説明しようとするとどうなるか,というのがもともとの問 題提起です.
(教科書では地面系で説明するのが普通ですが,地面系での説明が唯一正しい というわけではありません)
 
                                浜口


[danwa:0598] Re: 台風の雲
Date:Fri, 14 Dec 2001 21:51:05 From: 石坂
寒いですねえ。ブルブルです。

[danwa:0597] 浜口さんは書きました:
> 高気圧の周囲の気塊の動きは,地面系でみると右回り,静止系でみると左回
> りです.

これが実際の高気圧の話なのか、Bi.Bi.説に則った高気圧の話なのか 分からないのと、

[danwa: 590]浜口さん:
> 次に,高気圧の場合.
> 地球の外から眺めているとして,高気圧から遠ざかる気塊Aを考えます.
>
>  (中略)
>
> これは,「気塊は右手に高気圧を見るように運動する」すなわち「右巻き運
> 動する」ことを意味します.

で出てくる「右巻き運動」との関係がよく分からないので、コメントは保留します。

 それよりも、もっとおもしろい「本論とは直接は関係ない話」の方を楽しみた いと思います。

> 高気圧は吹き出し(湧き出し)で,低気圧は吹き込み(吸い込み)というのは,
>基本じゃないのでしょうか.

ここで言う「吹き出し」とか「吹き込み」は「風の」とか「気塊の」でしょうか。

 だとすると、びっくり!
 高気圧では空気が生み出されて、低気圧はブラックホールのように空気を 飲み込んでいるのですね! 連続方程式が破られている!

>  そうだからこそ,気圧傾度力が生じるのでしょう.

 おお!
 太陽はモノを吸い込んでいるから引力を生じるのでしょうか、電場は電流 が流れているから電気力(電位差)を生じるのでしょうか。

 私は、それは順番が逆なのではないか、と思います。そして「逆(裏)は必 ずしも真ならず」です。

 それにもし気塊が高気圧から低気圧に流れてしまったら、気圧勾配が消え てしまうんじゃないでしょうか。

> 低気圧や高気圧の周囲では等圧線が曲がっていることに注意してください.

 そうなんです。ここが結構おもしろくて、中心付近(等圧線の曲率半径が小 さいところ)で、気塊の系での力のつりあいの式を書くと、
    
   (気圧傾度力)+(コリオリの力)+(遠心力)=0

となります。
 低気圧ではコリオリの力と遠心力とは同じ符号(つまり一致団結して気圧 傾度力に対抗する)を持ちますので、台風の中心付近では気圧勾配は急に (等圧線が混んでいる)、そして風はどんどん強くなりえます。

 一方、高気圧の場合はコリオリの力と遠心力が異符号(つまり打ち消し あう向き)なので、中心付近では気圧勾配はゆるやかにならざるをえず、 ゆるやかな風しか吹きません。高気圧に伴う突風というのは存在しない のです。

 ということを最近知りました (^^;)。

> 地衡風に落ち着く過程を考えると,「気圧の高いほうから低いほうへ吹く風
> にコリオリ力が働いて,右に向きを変えていき,等圧線に平行に吹く風に落ち
> 着く」ということでしょ.

「落ち着く」とはどういう意味でしょう。どのようなメカニズムで「落ち着く」の でしょう? 
 結構ここもおもしろいのですが、今回はコメントしないことにします。

> それと,静止系で説明しようとするとどうなるか,というのがもともとの問
> 題提起です.

 その通りです。台風の風(雲の渦)の向きを静止系で説明するのが目的です。

 その時、回転系(地面系)での風の向きを正しく理解していなければ、間違っ た理解に行ってしまうのではないか、実際の台風の説明にならないのではない か、というのが、私の危惧するところなのです。

 回転系(地面系)では台風の風は動径成分を持たない、というところから スタートしましょうよ、という提案をしているのです。 

石坂


[danwa:0599] Re: 台風の雲
Date:Fri, 14 Dec 2001 22:12:06 From: 石坂
Bi.Bi. さん、談話室のみなさん、こんばんは。
石坂です。

[danwa:0596]Bi.Bi.さんは書きました:
>浜口さんの図にある気塊の”↑”は高気圧による力の向きと思うんですけど

そうなんですか?浜口さん。

 「力の向き」だとすれば、高気圧の動径方向外向き、になるのではないで しょうか。

> 秒速数mで、角運動量を保存して台風の目から20Kmの所まで落ち込んだとした ら
> 秒速数十メートルになっちゃいます。

 「落ち込んだとしたら」そうなのでしょうが、実際の台風では、

 [danwa:0595]石坂:
> 「低気圧や高気圧の周りの風は気圧傾度力の方向に沿って、つまり気圧
> の高い方から低い方へ吹くのではなく、気圧傾度力とは垂直に、等圧線に
> 沿って吹く。もし地面との摩擦がなければ、等圧線を横切ることはない。」

ので、「落ち込むことはない」と言っているのです。

石坂


[danwa:0600] Re: 台風の雲
Date:Sat, 15 Dec 2001 01:05:35 From: 浜口
 石坂さん,こんばんは.
 
([danwa:0598]石坂さん)
> だとすると、びっくり!
> 高気圧では空気が生み出されて、低気圧はブラックホールのように空気を
>飲み込んでいるのですね! 連続方程式が破られている!
 
 連続方程式が破られているわけではありませんが,そのとおり(飲み込んで いる)です.
 低気圧の中心部には上昇気流があります.
 飲み込まれた空気は上昇し,上層で周囲に出て行きます.
 
 また,高気圧・低気圧というのは「点」ではなく,領域です.
 圧力の高い領域が広がろうとし,圧力の低い領域が縮もうとするのは,自然 でしょう.
 
> おお!
> 太陽はモノを吸い込んでいるから引力を生じるのでしょうか、電場は電流
>が流れているから電気力(電位差)を生じるのでしょうか。
 
 万有引力や電気力は遠隔力です.
 気圧傾度力は,そういう類の力ではなくて,単に,両隣の空気から押される 力の差,です.
 違いがおわかりでしょうか.
(高気圧が広がろうとしなければ,そもそも,気圧傾度力なるものは生じない のです)
 
> それにもし気塊が高気圧から低気圧に流れてしまったら、気圧勾配が消え
>てしまうんじゃないでしょうか。
 
 消えると思いますよ.
(台風は,時間がたてば,消えてしまいますよね)
 気圧傾度力は,圧力差をなくそうとする働きです.
 
 石坂さんは「気圧傾度力」をいったいどのようなものと理解しておられるの でしょうか?
 
                                浜口


[danwa:0601] Re: 台風の雲
Date:Sat, 15 Dec 2001 03:34:20 From: 浦田
浦田です。

 中心外回りで生じた発熱膨張による浮力は、あくまでも回りの空 気の進路傾向を決めるだけだと思います。

 南北からあつまった空気は回転しながら中心に集まるというより も回転しないですれ違って、南北入れ替わるだけ!ということでな いと中心から上空へ逃げる空気の量が膨大すぎるのではないでしょ うか?周囲の空気を集めながら何回転もさせるほどの容量はないと 思います。

バケツに渦を作る方法に二つあります。 
1.バケツ中央底に穴を開ける方法。
2.穴の開いていないバケツの水を手でかき回して外周速度を上げ て外周の圧力を上げる。水は中央に流れず回転するだけ。

 確かに台風発生初期は1だと思いますが、南北の空気の速度差が 存在するから実際は2に近い。

 水深の影響がでないように、水と容器の滑りが出ないように仕切 り板を付けて容器を回転させても、等圧線のような圧力勾配を作る ことができるはずです。

 高空では中心に入りこめない上昇空気の流れそのものが等圧線に なります。それがエアダクトになっています。地上では、摩擦で速 度が減りダクト効果がなくなり、上昇拡散風量だけを補う分の集中 風が吹く。

 私は遠心力が低気圧の主たる発生原因だと思います。低気圧を作 るほどの、空気欠損すなわち上昇風が起きるためには先ずそれを押 し上げる空気が供給されていないといけません。地上との摩擦によ る減速が気圧勾配を作るのであれば、暖気を押し上げる空気の量が 減る。教科書の理屈になんか矛盾を感じています。 


[danwa:0602] Re: 台風の雲
Date:Sat, 15 Dec 2001 17:33:35 From: Bi.Bi.
間違ってないと思っているBi.Bi.でございます。

[danwa:0595] 石坂さんは書きました:
>「台風の渦の方向を説明するのに、吹き込む風にコリオリの力が働いて
>右の方にずれていくので、左巻きになる、というのは間違いである。」

これにはびっくりです。
ずっとそのような理解をしてきたし、このようなことを聞いたのは初めてです。
とても不安になって、手元にある力学の教科書をかたっぱしから調べました。

で、コリオリ力で台風の風の向きを説明したのを3冊見つけました。

1.和田純夫 力学のききどころ 岩波 138ページ
「・・・・風の渦巻く方向を決めているのが、まさにこの効果である(図3:コリオ リ力の 図)。・・・・この座標の回転がコリオリ力を引き起こし、低気圧の中心に引き込ま れる風の回転方 向を決めているのである。」

2.ゴールドスタイン 古典力学上 吉岡 235ページ
「コリオリ力がないとすれば風の方向は理想的には・・・・等圧線に垂直である。し かしながらコリ オリ力は図に示されているように風をこの方向に向かって右向きに偏らせる。右への 偏りは風のベク トルが等圧線が平行になるまで続き・・・」

3.阿部龍蔵 力学・解析力学 岩波 123ページ>
「北半球で考えると、コリオリ力は・・・進行方向を右側に曲げるような効果をも つ。このため台風 の目に流れ込む空気(風)は右の方に曲がり、・・・・・結果的に風は目を中心とし て反時計回りに 吹くことになる。」

石坂さんの言によると、これらはうそになりますよね?
私はこれらの教科書どおりに理解しています、つまり、コリオリ力で左向きの渦がで きると。
この理解を石坂さんは否定されるのですが、その根拠が以下なんですよね。

> 教科書にはこう書いてあります。
>
>「低気圧や高気圧の周りの風は気圧傾度力の方向に沿って、つまり気圧
>の高い方から低い方へ吹くのではなく、気圧傾度力とは垂直に、等圧線に
>沿って吹く。もし地面との摩擦がなければ、等圧線を横切ることはない。」
>
> これを式として書けば、(気圧傾度力)+(コリオリの力)=0が成り立つ
>向きに風は流れ、これが成り立つような強さの風が吹いている、ということ
>になるかと思います。
> 時間発展の項はありません。低気圧や高気圧は平衡状態です。

なんでこれで否定されるのかが理解できない。
コリオリ力が働く場合の平衡解を与えただけでしょう?
台風って、いきなり平衡状態で出現するの?

こまかいことですけど、
(気圧傾度力)+(コリオリの力)=向心力
ですよね。でないと空気は循環しません。

さて、私の問題設定はというと、
上記3冊の教科書の説明を静止系で説明して下さい、
静止系にはコリオリ力はないのに、なんで渦ができるんだろう?
です。

力学の教科書に書いてあることが間違いとなると、 上記の問題はナンセンスですね。
ほんとうに、間違いなの?
私には正しい理解としか考えられません。


ところで、話はずれてしまうのですが、 コリオリ力が働く場合の平衡解は石坂さんがおっしゃったものだけでしょうか?
右巻きもありますよね。

例えば、北極点を原点とする中心力を考えます。
静止系で見て、北極点中心に右巻きの回転を与える。
地球系で見ても右巻きになる。
また、円形だけが平衡解ではないでしょう。
楕円形で閉じていた場合はどうなるでしょうか?
半径方向に振動する解になりませんか?

Bi.Bi.


[danwa:0603] Re: 台風の雲
Date:Sat, 15 Dec 2001 19:36:37 From: Ando S.
Ando S.です。
「台風の雲」が再燃し、しかも熱論ですね。最初、ひとりBiBiさんと話しを していた私としては、少々呆気に取られています。

本題に入りますが、石坂さんは、[danwa: 0595]において、次の引用をされ ています。

>教科書にはこう書いてあります。
>
>「低気圧や高気圧の周りの風は気圧傾度力の方向に沿って、つまり気圧
>の高い方から低い方へ吹くのではなく、気圧傾度力とは垂直に、等圧線に
>沿って吹く。もし地面との摩擦がなければ、等圧線を横切ることはな
>い。」

これは、私は知りませんでした。それでインターネットで調べたら、「地衡 風」というものであるらしいと知りました。同時に、「地衡風」は5000メー トルぐらい高層の風の話であると説明されていました。石坂さんの引用文に も、「もし地面との摩擦がなければ」という条件がついています。

ところで、新聞には、天気予報欄に天気図が載っています。この天気図は、 地上付近の気圧の様子が示されています。このような天気図と並んで、ある 一紙には、高層天気図が載っています。それをみると、高層の気圧の様子は まったく違います。きょうの2つの天気図を重ねてみると、低気圧(いまか なり強い低気圧があります)の付近をのぞいて、地上付近の等圧線と高層の 等圧線は、まるで直交しています。風向と等圧線の関係をみると、地上付近 の天気図では交差しています。これに対し、高層天気図では、風向が等圧線 と並行になっています。「地衡風」ですね。これは、私にとっては新発見で した。

このようにみてくると、石坂さんは、高層の風の話しをされているというよ うに思われてきます。しかし、台風は地上付近の空気の現象であって、高層 のそれではないと私は思うのですが。石坂さんの中に何か誤解があるのでは ないでしょうか。


[danwa:0604] Re: 台風の雲
Date:Sun, 16 Dec 2001 15:27:41 From: Bi.Bi.
石坂さん、談話室のみなさん、こんにちは。
ほとんど毎日、石坂さんと向かい合っているのに、 メールで議論しているBi.Bi.でございます。

台風のことは、力学の教科書に載っていることしか知らなかったのですが、 おかげさまで、ずいぶん詳しくなってきました。

[danwa:0599] 石坂さん
>> 秒速数mで、角運動量を保存して台風の目から20Kmの所まで落ち込んだとした
>ら
>> 秒速数十メートルになっちゃいます。
>
> 「落ち込んだとしたら」そうなのでしょうが、実際の台風では、
>
> [danwa:0595]石坂:
>> 「低気圧や高気圧の周りの風は気圧傾度力の方向に沿って、つまり気圧
>> の高い方から低い方へ吹くのではなく、気圧傾度力とは垂直に、等圧線に
>> 沿って吹く。もし地面との摩擦がなければ、等圧線を横切ることはない。」
>
> ので、「落ち込むことはない」と言っているのです。

できあがった台風のことですね。
出来上がるまではどうなってんでしょうね?
周りの空気をどれぐらい吸い込むのだろう?

Bi.Bi.


[danwa:0605] Re: 台風の雲
Date:Tue, 18 Dec 2001 15:47:52 From: 石坂
Ando S.さん、談話室のみなさん、こんにちは。

[danwa:0603] Ando S. さんは書きました:
>「台風の雲」が再燃し、しかも熱論ですね。最初、ひとりBiBiさんと話しを
> していた私としては、少々呆気に取られています。

 もう、”熱すぎ”です(^^;)。

> このようにみてくると、石坂さんは、高層の風の話しをされているというよ
> うに思われてきます。しかし、台風は地上付近の空気の現象であって、高層
> のそれではないと私は思うのですが。石坂さんの中に何か誤解があるのでは
 
 今話題にしているのは件名にあるように、「台風の雲」ですよね。
 それも気象衛星ひまわりが撮影するような雲(のパターン)の話です。

 「ひまわり」が撮影するのは雲の最上端部で、高度は台風の場合には成層 圏に近い10000(=10K)m以上になります。

 もちろん地面との摩擦は存在しませんし、実は、下層部から上昇してきた 空気が「吹き出す」高さに相当するのです。

 ので、私の中には誤解がないつもりです。

石坂


[danwa:0606] Re: 台風の雲
Date:Tue, 18 Dec 2001 16:52:56 From: 石坂
浜口さん、談話室のみなさん、こんにちは。

 ついに談話室も600通に突入しましたねー (^o^)

[danwa:0600]で浜口さんは書きました:
>  飲み込まれた空気は上昇し,上層で周囲に出て行きます.

 そう、飲み込んだものは出さなければいけません。それは低気圧とて 同じことです。したがって、

[danwa:0597]浜口さん:
> 高気圧は吹き出し(湧き出し)で,低気圧は吹き込み(吸い込み)というのは,
> 基本じゃないのでしょうか.
 
 とは言えないと思います。宇宙から見れば、低気圧(台風)は「吹き出し」、 高気圧は「吸い込み」です。

 ちなみに、今の話題にしているのは、宇宙からみた「台風の雲」。成層圏 に近い、台風の最上部の話です。

> 万有引力や電気力は遠隔力です.

ではたとえ話を変えます。

   「水圧は水が流れているから生じるのでしょうか?」

> (高気圧が広がろうとしなければ,そもそも,気圧傾度力なるものは生じない
> のです)

 ここは異論がありません。しかし、「広がろうとする」ということと、「実際に 空気が吹き出す」ということとはイコールではない、と思うのですが、いかが でしょう?

 「力のかかる方向と運動の方向は違う場合がある」「モノが移動しなくても 力を及ぼすことはできる」それを理解するために、万有引力や電気力を引き 合いに出しました。

> 圧力の高い領域が広がろうとし,圧力の低い領域が縮もうとするのは,自然

おっしゃる通りです。しかし、気圧傾度力に従って本当に広がったり、 縮んでしまったりすれば、それは「高気圧」「低気圧」とはなりえません。

 なんらかのメカニズム(今の場合は「回転」)によって、広がろうとする のに広がれない気団、縮もうとするのに縮めない気団が、それぞれ「高 気圧」「低気圧」として存在しているのです。

 そして今回考えようとしている「台風の雲」問題は、この「回転」を地面 系(回転系)と宇宙(静止系)双方で、どのように説明するか、である、と 私は捕らえているのです。

石坂


[danwa:0607] Re: 台風の雲
Date:Tue, 18 Dec 2001 19:47:02 From: 石坂
Bi.Bi.さん、談話室のみなさん、こんばんは。

 私が休みの間にいっぱいレスがあって、嬉しいやら、つらいやら・・・

[danwa:0602]Bi.Bi.さんは書きました:
>> 「台風の渦の方向を説明するのに、吹き込む風にコリオリの力が働いて
>> 右の方にずれていくので、左巻きになる、というのは間違いである。」
>
> で、コリオリ力で台風の風の向きを説明したのを3冊見つけました。
>   (中略)
> 石坂さんの言によると、これらはうそになりますよね?
> 私はこれらの教科書どおりに理解しています、つまり、コリオリ力で左向きの渦が できると。

 教科書には書かれていないことでも、とても重要な事柄が含まれているのは よくあることです。
 ということで、あげていただいた教科書から、ちょっと質問。

> 2.ゴールドスタイン 古典力学上 吉岡 235ページ
「コリオリ力がないとすれば風の方向は理想的には・・・・等圧線に垂直である。 しかしながらコリオリ力は図に示されているように風をこの方向に向かって右 向きに偏らせる。右への偏りは風のベクトルが等圧線が平行になるまで続き・・ ・

> 3.阿部龍蔵 力学・解析力学 岩波 123ページ>
「北半球で考えると、コリオリ力は・・・進行方向を右側に曲げるような効果をも つ。 このため台風の目に流れ込む空気(風)は右の方に曲がり、・・・・・結果的に 風は 目を中心として反時計回りに吹くことになる。」

私がアンダーラインをつけたところに、非常に重要な仮定(過程)の記述が 省略されているのに気が付いていますか?

 これは前回[danwa:0598]で石坂が書いた:
>> 地衡風に落ち着く過程を考えると,「気圧の高いほうから低いほうへ吹く風
>> にコリオリ力が働いて,右に向きを変えていき,等圧線に平行に吹く風に落ち
>> 着く」ということでしょ.
>
> 「落ち着く」とはどういう意味でしょう。どのようなメカニズムで「落ち着く」 の
>でしょう? 

で書いた「落ち着く」ためのメカニズムのことです。
 考えればすぐわかりますが、実は「落ち着く」のは自明ではありません。
 
ヒント: まずは気塊を質点として扱って、どういう運動をするか、考えてみてはい かがでしょう?
 つづいて、「落ち着く」ための仮定(過程)が成り立つとき、はたしてみなさん が台風に対して持っているような「風が吹き込む」イメージが正しいのかどうか、 もう一度考えてみてください。

> こまかいことですけど、
> (気圧傾度力)+(コリオリの力)=向心力
> ですよね。でないと空気は循環しません。

 台風とか、高気圧の中心部を考えない限り、循環を考える必要はありません。
 気塊(雲一つ)の典型的な大きさは数kmくらいでしょうか。台風や高気圧の 裾野の広がりは軽く数100kmを超えます(日本列島を覆うぐらいだから)。
 このようにスケールが全然違うので、気塊にとっては、等圧線の曲がりは 無視できます。
 (気圧傾度力)+(コリオリの力)=0と、力が釣り合っているので、気塊は 「まっすぐ」進んでいます。

あ、それと、[danwa:0595]石坂:
> これを式として書けば、(気圧傾度力)+(コリオリの力)=0が成り立つ
>向きに風は流れ、これが成り立つような強さの風が吹いている、ということ
>になるかと思います。
> 時間発展の項はありません。低気圧や高気圧は平衡状態です。

 すみません、言葉を間違えていました。「平衡状態」ではなくて「定常状態」 ですね。

石坂


[danwa:0609] Re: 台風の雲
Date:Tue, 18 Dec 2001 22:02:41 From: Bi.Bi.
Bi.Bi.です。

[danwa:0607]石坂さん
>  教科書には書かれていないことでも、とても重要な事柄が含まれているのは
> よくあることです。
>  ということで、あげていただいた教科書から、ちょっと質問。

中略

> 私がアンダーラインをつけたところに、非常に重要な仮定(過程)の記述が
> 省略されているのに気が付いていますか?
>

石坂さんの期待する答えとは異なるかも知れませんが、 初期条件として、目を中心とした等方的な運動を仮定しています
これがとても重要な仮定で、左巻きの起源です。
これがなけりゃ右巻きも可能と考えています。


>  これは前回[danwa:0598]で石坂が書いた:
> >> 地衡風に落ち着く過程を考えると,「気圧の高いほうから低いほうへ吹く風
> >> にコリオリ力が働いて,右に向きを変えていき,等圧線に平行に吹く風に落ち
> >> 着く」ということでしょ.
> >
> > 「落ち着く」とはどういう意味でしょう。どのようなメカニズムで「落ち着 く」
> の
> >でしょう? 
>
> で書いた「落ち着く」ためのメカニズムのことです。
>  考えればすぐわかりますが、実は「落ち着く」のは自明ではありません。

ほんとうにすぐに分かるの?
ぼくには分かりません。


> ヒント: まずは気塊を質点として扱って、どういう運動をするか、考えてみては い
> かがでしょう?

半径が減る方向に運動すると、進行方向右向きに曲がっていきますが、 半径方向の速度が0になった後はどうなるんでしょう?
石坂さんのいう安定な循環をするというのは極めてまれなことと思います。
そこでの気圧傾度力によって運動が決まる、すなわち、 半径方向に振動するもアリ、目に落ちこむもアリ、いろいろでしょうね。


>  このようにスケールが全然違うので、気塊にとっては、等圧線の曲がりは
> 無視できます。
>  (気圧傾度力)+(コリオリの力)=0と、力が釣り合っているので、気塊は
> 「まっすぐ」進んでいます。

そりゃないでしょ。
だったら、質点の運動は全て「まっすぐ」になるのでは?

Bi.Bi.


[danwa:0610] Re: 台風の雲
Date:Wed, 19 Dec 2001 01:09:06 From: Ando S.
Ando S.です。石坂さん、みなさん、こんばんは。

[danwa: 0605]石坂さん;
>今話題にしているのは件名にあるように、「台風の雲」ですよね。
> それも気象衛星ひまわりが撮影するような雲(のパターン)の話です。

というよりですね、最初の議論は、

[danwa: 0568]Ando S.;
>> うん? でも、静止系にはコリオリ力ないですよね。
>> なんで、存在しないものが渦の向きを決めるんでしょう?
>>
>
>静止系から見ても渦の向きが一義的に決まる理由を考えろ、ということで
>すね。

ということでした。

[danwa: 0605]石坂さん;
> 「ひまわり」が撮影するのは雲の最上端部で、高度は台風の場合には成
>層圏に近い10000(=10K)m以上になります。

地衡風のことを石坂さんの話から知ったぐらいですから、高層の空気のこと はよく知りません。
しかし、「ひまわり」が撮影する台風の雲の最上端部が10000m(対流圏の 上端、ジェット機の飛ぶあたり、ということですね)であるとしても、台風 は、そもそもそのような高層大気の中から発生するものではないでしょう。

最初はおそらく熱帯の海面の付近の空気の温度があがり、上昇気流が生じ、 それを補うように周囲から空気が流れ込む。そのとき、コリオリ力のために 北半球では反時計まわりの空気の流れが生じる。それが台風の渦の始まり。 その渦の向きをコリオリ力ではなく、静止系で説明する。・・・・・という ことと、石坂さんの議論には、ずれがあるように私には思えるのです。

石坂さんの議論は、台風も含めた低気圧や高気圧が何故安定的に長期に存在 できるか、あるいはそのような安定状態のとき風はどのように吹くか、とい うことにかかわりがあるように思えますが、違っているでしょうか?

それで、静止系で説明する最初の議論から、石坂さんの議論への移行がス ムーズになされなかったというか、それが共通の認識になるよりも前に、議 論の応酬の方が熱く先行してしまったような気がしていますが・・・・。 そして、ここまでくると、知識欠乏症でついていけません。議論の成り行き をしばらく見せてください。


[danwa:0611] Re: 台風の雲
Date:Wed, 19 Dec 2001 09:40:52 From: 浜口
 石坂さん,Ando S.さん,こんにちは.
 
([danwa:0610]Ando S.)
>というよりですね、最初の議論は、
>
>[danwa: 0568]Ando S.;
>>> うん? でも、静止系にはコリオリ力ないですよね。
>>> なんで、存在しないものが渦の向きを決めるんでしょう?
>>>
>>
>>静止系から見ても渦の向きが一義的に決まる理由を考えろ、ということで
>>すね。
>
>ということでした。
 
 そうですね.
 本論に戻りましょう.
 
([danwa:0606]石坂さん) 
> そして今回考えようとしている「台風の雲」問題は、この「回転」を地面
>系(回転系)と宇宙(静止系)双方で、どのように説明するか、である、と
>私は捕らえているのです。
 
 確認ですが,地面との摩擦はあるんですよね.
 もし摩擦がないとすると,(静止系でみて)空気は地面の回転から何の影響も 受けないことになります.
(地面は空気の下でくるくる空回りしているだけ)
 
                                浜口


[danwa:0613] Re: 台風の雲
Date:Wed, 19 Dec 2001 21:47:45 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、こんばんは。

[danwa:0611] 浜口さん。  
>  確認ですが,地面との摩擦はあるんですよね.
>  もし摩擦がないとすると,(静止系でみて)空気は地面の回転から何の影響も
> 受けないことになります.
> (地面は空気の下でくるくる空回りしているだけ)

私は、最も簡単なモデルとして、その摩擦を無視しています。
それで、右巻きの解もありうると考えています。
摩擦があれば、これはちょっと無理かも知れませんね。

ところで、議論が複雑になってきたのは、 次の私の解釈に合意が得られなかったことなんですけど これはいかんのでしょうか?

[danwa:0575] Bi.Bi.
> 台風の目も空気も地球にへばりついて回転しているんですよね。
> ということは、北極付近の空気、台風の目、赤道付近の順の速度で運動している。
>
> 北極付近 →
> 台風の目 →→
> 赤道付近 →→→
>
> なんと、これは台風の目の周りで既に空気が回転しているではないですか!
> なんとなれば、台風の目から見るとその周りの空気の運動は
>
> 北極付近 ←
> 台風の目 静止
> 赤道付近 →
>
> ですね。
> そういえば、地球が回転しているんだから、
> 空気全体も回転しているのだった。

これから左向きの渦ができるのは自明と思ってるんです。
力学の教科書に書いてあることを、静止系から見ただけなんですけど。
これが認知されないんですよね。


石坂さんは、
左巻きが安定だからそれに落ち着くのが自然の摂理である。
初期条件に関係ない、すなわち、私が描いた図は本質でない、
と主張されたいのだと思います。


でも、摩擦を無視すれば右巻きの安定解も可能と思います。
というのは、北極点を中心とした等速円運動がその根拠です。
ですから、摩擦を無視した場合の議論では、 左巻きに落ち着くのは自然の摂理でもなんでもない、
と私は考えています。


摩擦を考慮すれば話はちょとかわってくるんでしょうか?
十分時間が経てば、大気が地面にへばりつくから、 私が与えた図が初期条件になっちゃいますねぇー。

Bi.Bi.


[danwa:0614] Re: 台風の雲
Date:Thu, 20 Dec 2001 15:06:43 From: 浜口
 Bi.Bi.さん,みなさん,こんにちは.
 浜口です.
 
([danwa:0613]Bi.Bi.さん)
>私は、最も簡単なモデルとして、その摩擦を無視しています。
>それで、右巻きの解もありうると考えています。
 
 摩擦を無視すれば,右巻きの解もありうると思います.
 摩擦を無視すれば,地面の回転が空気に何の影響も与えないことになります から,巻きの向きは左も右もありうるでしょう.
 
>でも、摩擦を無視すれば右巻きの安定解も可能と思います。
>というのは、北極点を中心とした等速円運動がその根拠です。
>ですから、摩擦を無視した場合の議論では、
>左巻きに落ち着くのは自然の摂理でもなんでもない、
>と私は考えています。
 
 おっしゃるとおりだと思います.


> 北極付近 ←
> 台風の目 静止
> 赤道付近 →
 
 台風の目が地面に対してほとんど静止しているとして,この矢印は,静止系 からみた(台風の周囲の)「地面の動き」を表しています.
「空気が地面に対してほとんど静止している」と仮定すると,矢印は,「空気の 動き」を表すことになります.そうすればBi.Bi.さんのおっしゃる「これから左 向きの渦ができるのは自明」となるでしょう.
 
「空気が地面に対してほとんど静止している」のは,空気と地面の間に摩擦が あるからではないのでしょうか.
(摩擦がなかったら,空気が地面と一緒に動く理由がなくなってしまうように 思います)
 
 それと,Bi.Bi.さんのおっしゃる「これから左向きの渦ができるのは自明」と いうのは「静止系からみて左巻き」であって,地面系からみて左巻きかどうかは それだけでは何とも言えないと思います.
(Bi.Bi.さんの「自明」は,「地面が左巻きに回転しているからその上にくっ ついているものも一緒に左巻きに回転している」ということにすぎないのでは)
 
                                浜口


[danwa:0615] Re: 台風の雲
Date:Thu, 20 Dec 2001 16:46:19 From: 長谷川
談話室のみなさん、こんにちは。長谷川です。

浜口さん [danwa:0614] Re: 台風の雲
> (Bi.Bi.さんの「自明」は,「地面が左巻きに回転しているからその上にくっ
> ついているものも一緒に左巻きに回転している」ということにすぎないのでは)
と、私も思います。

例えば、子午線に沿って四方八方から北極点に向かう道路が何本もあるとしま す。この道を北極点に向かってまっすぐ走る車の動きを静止系から見れば、一 台一台の車の動きは左巻きに螺旋を描いているように見えるでしょうね。

でも、だからといって静止系から見て、北極点の周りに車が渦を描いているよ うに見えるでしょうか?どうみても、北極点の周りに放射状に(直線状に)車の 列があるようにしか見えないでしょうね。


仮に台風の目が地面に対して動かないとすると、気象衛星から見た雲の渦は、 気塊の動きではなくて、水蒸気がたくさんできる場所からの気塊の列ではない でしょうか?とすると、上の例で言えば一台一台の車の動きを見ているのでは なくて、車の列を見ているのに相当するんでしょうね。

で、台風の場合この車の列そのものがなぜ地面に対して渦を描いているのか? という問題ですから、「Bi.Bi.さんの自明」説では説明できていないのではな いでしょうか。


[danwa:0616] Re: 台風の雲
Date:Sat, 22 Dec 2001 23:49:20 From: Bi.Bi.
みなさん、こんにちは。
Bi.Bi.です。

[danwa:0614] 浜口さん
> ([danwa:0613]Bi.Bi.さん)
> >私は、最も簡単なモデルとして、その摩擦を無視しています。
> >それで、右巻きの解もありうると考えています。
>  
>  摩擦を無視すれば,右巻きの解もありうると思います.
>  摩擦を無視すれば,地面の回転が空気に何の影響も与えないことになります
> から,巻きの向きは左も右もありうるでしょう.
>  

で、これを認めていただけたら、摩擦を考えたいと思います。
この右巻きの解に摩擦を与えた場合、 十分時間が経てば左巻きになるでしょうか?
私は右巻きのままの解もありうるのではないかと思ってます。
なぜなら、有限の速度で中心に落ち込む瞬間はコリオリ力が効いて右巻きになってますから。
それで、摩擦がある場合も、左巻きになるのは自然の摂理ではないと思ってます。

>
> > 北極付近 ←
> > 台風の目 静止
> > 赤道付近 →
>  
>  台風の目が地面に対してほとんど静止しているとして,この矢印は,静止系
> からみた(台風の周囲の)「地面の動き」を表しています.
> 「空気が地面に対してほとんど静止している」と仮定すると,矢印は,「空気の
> 動き」を表すことになります.そうすればBi.Bi.さんのおっしゃる「これから左
> 向きの渦ができるのは自明」となるでしょう.
>  
> 「空気が地面に対してほとんど静止している」のは,空気と地面の間に摩擦が
> あるからではないのでしょうか.

で、「空気が地面に対してほとんど静止している」から、 左巻きになると考えています。


>  それと,Bi.Bi.さんのおっしゃる「これから左向きの渦ができるのは自明」と
> いうのは「静止系からみて左巻き」であって,地面系からみて左巻きかどうかは
> それだけでは何とも言えないと思います.

そうですね。
これはその瞬間の慣性運動を考えているだけですね。
第0近似というところでしょうか。
では、もう一つ近似を高めて、 空気も台風の目も地面にへばりついて回転運動しているのを 考察すればいいんじゃないでしょうか?
なんで、空気がへばりついているかというと摩擦ですね。

Bi.Bi.


[danwa:0618] Re: 台風の雲
Date:Sun, 23 Dec 2001 01:14:57 From: Bi.Bi.
Bi.Bi.です。

ずいぶん古い地学図表というのが自宅にありました。
台風の雲は吹き出しだそうです(石坂さんも、おっしゃていましたよね)。
低気圧や台風の中心でおこる上昇気流という図で、 5000m付近で高層雲 10000m付近で巻層雲が吹き出しとして描かれています。

[danwa:0615]長谷川さん
> 仮に台風の目が地面に対して動かないとすると、気象衛星から見た雲の渦は、
> 気塊の動きではなくて、水蒸気がたくさんできる場所からの気塊の列ではない
> でしょうか?とすると、上の例で言えば一台一台の車の動きを見ているのでは
> なくて、車の列を見ているのに相当するんでしょうね。
>
> で、台風の場合この車の列そのものがなぜ地面に対して渦を描いているのか?
> という問題ですから、「Bi.Bi.さんの自明」説では説明できていないのではな
> いでしょうか。

おっしゃるように、雲の形と空気の流れとは全く同じではないでしょうし、 まったく等方的に一様に雲が吹き出されるなら、渦のパターンも出ないでしょうね。
しかし、一様等方というのはないでしょうから、空気の流れを反映した形になるような気がします。

ちなみに、この文献での写真(キューバ上空のハリケーン)はきれいな鳴門状の渦になっています。
右巻きに外へ出る渦です。
台風の目を左回転している散水器としてイメージすれば、 この渦はリーゾナブルな形状と思います。
全く自由に飛び出したという感じです(強い先入視があるから?)。


ところで、台風の雲が吹き出しとは知らなかった、吸い込みと思いこんでいました。
知らなかった、どうしよう・・・
じつは来月の「月刊うちゅう」にこの話題を取り上げたのですが、 そこで、台風の雲の写真の説明で吸い込まれていると書いてしまったんです。

Bi.Bi.


[danwa:0620] Re: 台風の雲
Date:Sun, 23 Dec 2001 12:58:48 From: Bi.Bi.
Bi.Bi.です。

パソコンと脳味噌が凍り付いて、あれやこれやとやっていたら、 ちゃんと書いたつもりのものがどこかへ行ってしまって、 [danwa:0616]は下書きを投稿してしまいました。
お恥ずかしいです。

で、その後も悶々として、今やっと一つ解決したつもりです。

[danwa:0616] Bi.Bi.
> [danwa:0614] 浜口さん
> >  それと,Bi.Bi.さんのおっしゃる「これから左向きの渦ができるのは自明」と
> > いうのは「静止系からみて左巻き」であって,地面系からみて左巻きかどうかは
> > それだけでは何とも言えないと思います.
>
> そうですね。
> これはその瞬間の慣性運動を考えているだけですね。
> 第0近似というところでしょうか。
> では、もう一つ近似を高めるて、
> 空気も台風の目も地面にへばりついて回転運動しているのを
> 考察すればいいんじゃないでしょうか?
> なんで、空気がへばりついているかというと摩擦ですね。
>

これは、全然理解できていない言でした。

> > > 北極付近 ←
> > > 台風の目 静止
> > > 赤道付近 →
これだけでは、台風の目に対して空気が回転するまではいえないんですよね。
すなわち、空気が台風の目においてきぼりをくらう場合もあります。

台風の目の回りに空気が公転する条件はなんだろうと考えたんです。
で、答えは、地球系の遠心力を打ち消す力が仮定されているのでした。
それが地面と空気との摩擦力、あるいは、 摩擦力を考えないとしたら、遠心力より大きな気圧傾度力が仮定されているんですね。

以上、私は氷解したつもりですが、これでいいんでしょうか?

Bi.Bi.


[danwa:0621] Re: 台風の雲
Date:Sun, 23 Dec 2001 20:03:04 From: 浜口
 みなさん,こんにちは.
 
([danwa:0615]長谷川さん)
> で、台風の場合この車の列そのものがなぜ地面に対して渦を描いているのか?
> という問題ですから、
 
 そうか.もともとそういうお題だったんですよね.
 私も混乱していました.
 
【1】台風の雲の形がなぜあのような形なのか?
(あのような形とは,「吸い込まれていると見ると左巻き,吹き出していると 見ると右巻き」という渦の形.写真でよく見る絵)
 
【2】低気圧や高気圧の周囲の空気はどのように回転しているか?
(左巻き=左回り=反時計回り or 右巻き=右回り=時計回り)
 
(【1】と【2】を区別しないといけませんね)
 
**********
 
【1】を考えましょう.
 
([danwa:0618]Bi.Bi.さん)
>ちなみに、この文献での写真(キューバ上空のハリケーン)はきれいな鳴門状の渦になっています。
>右巻きに外へ出る渦です。
 
 そういう形になることは,衛星写真等でよく知られています.
 
([danwa:0562]Bi.Bi.さん)
>そしたら、静止系から地球を眺めると、渦は見えないのでしょうか?
 
 渦は(ある瞬間に)地面に描かれている模様ですから,どの系からみても渦の 模様に見えることは明らかです.
 
 
 
 さて,このような模様になるのはどうしてか?,ということが問題です.
 
([danwa:0618]Bi.Bi.さん)
>ところで、台風の雲が吹き出しとは知らなかった、吸い込みと思いこんでいました。
 
 台風は,下層では吸い込み,上層では吹き出しです.
 
 ただ,地上の天気図では吸い込みですし,吸い込みの効果のほうが(空気の 左回り円運動に対して)はるかに影響が大きいので,吸い込みと考えるほうが よいと思います.
(僕は,吸い込みと考えるのが基本的だと思ったのですが,気象学では基本的 とは思わないようですね.石坂さんによると)
 
 
 雲の渦模様の原因は,吹き出しているとか,吸い込んでいるとかということ よりも,むしろ,単に「左回り円運動の角速度が内側にいくほど大きい」から でしょう.
(角速度が一定だったら,車の列は直線のまま)
 こういうことですよね>長谷川さん
 
                                浜口


[danwa:0622] Re: 台風の雲
Date:Mon, 24 Dec 2001 05:10:25 From: 浦田
浦田です
ひまわりは波長によって地面付近の雲だけを映すことができるそう ですね。
 台風の雲のスパイラルは暖気塊が地上との摩擦で角運動量を失っ て中心に向いながら上昇した結果、強風で長くたなびく積乱雲のよ うになったものかと考えますがどうでしょう。海上から湧き上がる 暖気塊は球形ですから短線の集まりになります。角運動量を失うの は地面付近を通過した空気だけでしょうから。上空で一周もせずに 過ぎ去って、遠心力で元の緯度まで戻る空気の方が断然多いと思い ます。


[danwa:0623] Re: 台風の雲
Date:Mon, 24 Dec 2001 22:05:12 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、こんばんは。
Bi.Bi.です。

[danwa:0621] 浜口さん
> 【1】台風の雲の形がなぜあのような形なのか?
> (あのような形とは,「吸い込まれていると見ると左巻き,吹き出していると
> 見ると右巻き」という渦の形.写真でよく見る絵)
>  
> 【2】低気圧や高気圧の周囲の空気はどのように回転しているか?
> (左巻き=左回り=反時計回り or 右巻き=右回り=時計回り)
>  
> (【1】と【2】を区別しないといけませんね)

交通整理ありがとうございます。

 
>  ただ,地上の天気図では吸い込みですし,吸い込みの効果のほうが(空気の
> 左回り円運動に対して)はるかに影響が大きいので,吸い込みと考えるほうが
> よいと思います.
> (僕は,吸い込みと考えるのが基本的だと思ったのですが,気象学では基本的
> とは思わないようですね.石坂さんによると)

力学のテキストの説明を、静止系に焼き直すには吸い込みだけで十分と思います。

しかし、雲を議論するとなると、話は別と思ってきました。
じつは、台風の詳しい構造を今日初めて見ました。
http://db.gakken.co.jp/jiten/ta/301830.htm
で、雲の場合は吹き出しを考察しなければならないと思います。
層積雲というのは吸い込まれているようですが。

吹き出しと吸い込みでは単に時間反転したものではないようなので、 これも区別して議論が必用かと思います。

[danwa:0621] 浜口さん
>  
>  雲の渦模様の原因は,吹き出しているとか,吸い込んでいるとかということ
> よりも,むしろ,単に「左回り円運動の角速度が内側にいくほど大きい」から
> でしょう.

数年前に木星に激突した彗星を思えばいいんでしょうね。
バラバラになって、木星に落ち込みました。
彗星がバラバラになるというのが、 ちょうど雲が変形して渦模様になるというのに対応しているのでしょう。

しかし、吹き出しの場合、「左回り円運動の角速度が内側にいくほど大きい」で、 説明できるのでしょうか?

Bi.Bi.


[danwa:0624] Re: 台風の雲
Date:Wed, 26 Dec 2001 21:15:04 From: Bi.Bi.
みなさん、こんばんは。
またまたBi.Bi.でございます。

[danwa:0618] Bi.Bi.
> ずいぶん古い地学図表というのが自宅にありました。

こんなことも書いてありました。
「高気圧や低気圧の中心付近では等圧線が円形である。
そのため、風は等圧線に沿って等速円運動をしながら吹き続ける。」
図解(気圧傾度力、コリオリ力、向心力の関係)もついています。

低気圧の場合はいいですが、高気圧の場合は循環風は不可能と思うのですが。
私の計算によれば、地球系の遠心力を考慮するとそんな解は存在しないとなります。
高気圧は斥力ですから、それで円運動として空気を拘束するのはとても難しいはずで・・・
地学図表は間違ってる、でいいですよね。

Bi.Bi.


[danwa:0625] Re: 台風の雲
Date:Fri, 28 Dec 2001 16:55:00 From: 長谷川
談話室のみなさん、こんにちは。長谷川です。

台風が、わずか北緯1度30分で発生したというニュースが出ています。

http://www.asahi.com/national/update/1227/023.html


[danwa:0627] Re: 台風の雲
Date:Mon, 31 Dec 2001 02:55:06 From: 浦田
浦田です。

BiBiさん:
> 「高気圧や低気圧の中心付近では等圧線が円形である。
> そのため、風は等圧線に沿って等速円運動をしながら吹き続け る。」
> 図解(気圧傾度力、コリオリ力、向心力の関係)もついていま す。

 昔の話ですが航空気象の授業で、
高気圧を作るエネルギーはなく、低気圧が発生するからそれ以外の 地域は高気圧と言うのです。 と聞きました。
 なるほど、そういえば、高気圧は低気圧の間を埋めるように「長 細いひょうたん型」をしているのが多いですよね。ようするに、低 気圧で上に吹き上げられた空気が落ちられるところから落ちちゃえ !って感じでしょうか。
 紙の上に複数の円を書くとその隙間はたいていマンガで犬が齧っ てる骨の形になりますよね。私も厳密には低気圧のような遠心力で できるきれいな円じゃないと思います。
 私は数学が苦手でBiBiさんの証明方法は理解できないので、文章 で書きました。


[danwa:0628] Re: 台風の雲
Date:Fri, 4 Jan 2002 11:03:15 From: Bi.Bi.
談話室の皆様、 あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくおねがいします。

[danwa:0627] 浦田さん
> 昔の話ですが航空気象の授業で、
>高気圧を作るエネルギーはなく、低気圧が発生するからそれ以外の
>地域は高気圧と言うのです。 と聞きました。
> なるほど、そういえば、高気圧は低気圧の間を埋めるように「長
>細いひょうたん型」をしているのが多いですよね。ようするに、低
>気圧で上に吹き上げられた空気が落ちられるところから落ちちゃえ
>!って感じでしょうか。
> 紙の上に複数の円を書くとその隙間はたいていマンガで犬が齧っ
>てる骨の形になりますよね。私も厳密には低気圧のような遠心力で
>できるきれいな円じゃないと思います。

循環風のあるなしは、円であるなしとは関係ないと思います。
高気圧は斥力ですから、それで、空気を束縛するのはほとんどできないと思います。

> 私は数学が苦手でBiBiさんの証明方法は理解できないので、文章
>で書きました。
>

難しくないですよ。
以下に証明を書きます。

[証明]
地球自転の角速度をω、循環風の速さをv、高気圧中心からの距離をr、 とすれば、向心力、コリオリ力、回転系の遠心力はそれぞれ、
v^2/r、2ωv、rω^2
となります。そしてこれらの関係は
v^2/r=気圧傾度力+2ωv−rω^2
これを変形すると
(v−ωr)^2=気圧傾度力×r
円の内側を正としているので右辺は負、
一方左辺は正。
つまり、この場合は循環風という解はない。
Q.E.D

私が持っている地学の本では回転系の遠心力を無視しています。

Bi.Bi.


[danwa:0629] Re: 台風の雲
Date:Fri, 4 Jan 2002 12:02:46 From: 長谷川
談話室のみなさん、長谷川です。

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

Bi.Bi.さん [danwa:0628]
> [証明]
> 地球自転の角速度をω、循環風の速さをv、高気圧中心からの距離をr、
> とすれば、向心力、コリオリ力、回転系の遠心力はそれぞれ、
> v^2/r、2ωv、rω^2
> となります。そしてこれらの関係は
> v^2/r=気圧傾度力+2ωv−rω^2

ωは地球の自転の角速度ですよね。なんで rω^2 なんてものが出てくるので しょうか?

それから細かいことかもしれませんが、コリオリ力の大きさは緯度によって違 いますから、緯度をθとして 2ωv・sinθ ですね。

ですから、
 循環風に働く外向きの力:気圧傾度力
 循環風に働く内向きの力:コリオリ力=2ωv・sinθ
で、この差が向心力になれば、循環風も存在できるのでは?

つまり、2ωv・sinθ−気圧傾度力=v^2/r が成り立てばいい。

これなら、気圧傾度力,ω,v,緯度 の値によっては、成り立つこともある と思います。


[danwa:0630] Re: 台風の雲
Date:Sat, 5 Jan 2002 10:00:59 From: Bi.Bi.
[danwa:0629] 長谷川さん
>ωは地球の自転の角速度ですよね。なんで rω^2 なんてものが出てくるので
>しょうか?
>

観覧車の座席のように高気圧が北極の周りを回転運動しているなら
自転していないということで、この遠心力項は0です。
しかし、高気圧は角速度ω(1日1回転)で自転しています。
この自転による高気圧周りの遠心力です。


>つまり、2ωv・sinθ−気圧傾度力=v^2/r が成り立てばいい。

だから、これはだめですよね。

Bi.Bi.


[danwa:0632] Re: 台風の雲
Date:Thu, 10 Jan 2002 1:01:00 From: 浜口
 浜口です.
 今年もよろしくお願いいたします.

([danwa:0629]長谷川さん) 
>それから細かいことかもしれませんが、コリオリ力の大きさは緯度によって違
>いますから、緯度をθとして 2ωv・sinθ ですね。

   そのとおりですが,Bi.Bi.さんは北極点付近をイメージして,sinθ=1と
考えておられるのではないでしょうか.

  ([danwa:0629]長谷川さん) 
>ωは地球の自転の角速度ですよね。なんで rω^2 なんてものが出てくるので
>しょうか?

   地面系(回転系)で記述すれば,当然,慣性力(遠心力とコリオリ力)が現れます.
(気象学の本では遠心力は無視されているようです)

 さて,

([danwa:0624]Bi.Bi.さん)
>高気圧は斥力ですから、それで円運動として空気を拘束するのはとても難しいはずで・・・
>地学図表は間違ってる、でいいですよね。

 間違っていないと思いますよ.
 地面系で記述した場合はコリオリ力が働きますから,向心力は確保できます.
          コリオリ力 − 気圧傾度力
が(右回り)円運動の向心力となります.

  (低気圧では,気圧傾度力−コリオリ力 が(左回り)円運動の向心力となる)

 ただ,静止系で記述した場合は,コリオリ力がないので,向心力は確保でき
ません.
 この場合(静止系で記述した場合)はBi.Bi.さんのおっしゃるとおり:

>高気圧は斥力ですから、それで円運動として空気を拘束するのはとても難しいはずで・・・

ということになるでしょう.

                                浜口


[danwa:0633] Re: 台風の雲
Date:Thu, 10 Jan 2002 01:24:05 From: 浜口
([danwa:0623]Bi.Bi.さん)
>しかし、吹き出しの場合、「左回り円運動の角速度が内側にいくほど大きい」で、
>説明できるのでしょうか?

  「吹き出しの場合」とおっしゃっているのがどういう場合なのか,よくわかり
ませんが,台風では左回りの動きが圧倒的です.
(上層に少し右回りの動きがありますがほんのわずかです)
 台風の雲の模様は左回りの動きの結果です.

  「吹き出しの場合」とおっしゃっているのが高気圧のことなのでしたら,高気
圧の周りには台風のような模様はできない,と思います.

                                 浜口


[danwa:0634] Re: 台風の雲
Date:Fri, 11 Jan 2002 00:21:21 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、こんばんは。
Bi,Bi.です。

[danwa:0632] 浜口さん
>  そのとおりですが,Bi.Bi.さんは北極点付近をイメージして,sinθ=1と
> 考えておられるのではないでしょうか.

そうではありません。一般的なものです。

>  地面系で記述した場合はコリオリ力が働きますから,向心力は確保できます.
>           コリオリ力 − 気圧傾度力
> が(右回り)円運動の向心力となります.
>  

私の釣り合い式は違います。

たとえば、北極点を原点として、
高気圧周りの空気の位置ベクトルをr、
高気圧中心の位置ベクトルをr0、
高気圧中心から空気までの変位ベクトルをr'とすると、

r=r0+r' (1)

両辺を時間に関して2階微分すると

a=ω×ω×r0+ω×ω×r'+2ω×v’+a' (2)

ここで、a、a'、v'はそれぞれ静止系での空気の加速度、回転系での空気の加速度、回転系での空気の速度

(2)と空気の運動方程式、a=気圧傾度力、とから、
回転系での等速円運動の釣り合い式が得られます。

私の証明では(2)の右辺の初項は無視しています。
この項は常に南向きに一定の大きさで加わるので、
南向きに並進させる効果だけがあります。
ですから、この項を考慮すれば、拘束できない方に効いてきます。
この並進部分の運動がコリオリ力にどう反映されるのか気にかかりますが
それはω^3ですから、無視しています。

(2)右辺の第2項は無視しできないと思います。

>  ただ,静止系で記述した場合は,コリオリ力がないので,向心力は確保でき
> ません.
>  この場合(静止系で記述した場合)はBi.Bi.さんのおっしゃるとおり:
>  
> >高気圧は斥力ですから、それで円運動として空気を拘束するのはとても難しいはずで・・・
>
  > ということになるでしょう.

静止系、回転系は関係ないと思います。

Bi.Bi.


[danwa:0635] Re: 台風の雲
Date:Fri, 11 Jan 2002 00:21:22 From: Bi.Bi.
[danwa:0633] 浜口さん
> (上層に少し右回りの動きがありますがほんのわずかです)
>  台風の雲の模様は左回りの動きの結果です.
>  

台風の構造の略図は次のようなものだそうです。

吹き出し    巻雲 巻層雲
←←←←   →→→→
     ↑ ↑
     ↑ ↑
     ↑ ↑
→→→→   ←←←←

で、私はひまわりの画像は上図の巻雲、あるいは巻層雲で、
これは地上付近で吸い込まれた水蒸気が
雲となって上空で吹き出したものと思ってました。

> 「吹き出しの場合」とおっしゃっているのが高気圧のことなのでしたら,高気
> 圧の周りには台風のような模様はできない,と思います.

夏によく見かけますが、芝生などに自動回転するスプリンクラーで水をやるのがありますよね。
それぞれの水滴は等速直線運動していますが、水滴群は渦模様を描いています。
回転系で見ると(スプリンクラーから見ると)この模様は水滴の軌跡です。
台風の雲もこれとそっくりとイメージしているのですが。

Bi.Bi.


[danwa:0636] Re: 台風の雲
Date:Sun, 13 Jan 2002 11:23:32 From: 浜口
 浜口です.
 
([danwa:0634]Bi.Bi.さん)
>そうではありません。一般的なものです。
>たとえば、北極点を原点として、
 
 これって,北極点近傍を考えておられるということではないのでしょうか.
 
 さもなければ,地球が(球ではなくて)平板であると仮定している?
 
 以上の点をまず確認させてください.
 
**********
 
([danwa:0635]Bi.Bi.さん) 
>で、私はひまわりの画像は上図の巻雲、あるいは巻層雲で、
>これは地上付近で吸い込まれた水蒸気が
>雲となって上空で吹き出したものと思ってました。
 
「上層の雲にさえぎられて下層の雲が見えない」と考えておられるのでしょう
か?
 
 上層の雲なんて薄いものです.
 それと,(浦田さんも指摘しておられましたが)ひまわりの画像は赤外領域の
ものなので,下層の雲も全部見えていると思いますよ.
 
 もしかして,
 
([danwa:0605]石坂さん)
> 今話題にしているのは件名にあるように、「台風の雲」ですよね。
> それも気象衛星ひまわりが撮影するような雲(のパターン)の話です。
>
> 「ひまわり」が撮影するのは雲の最上端部で、高度は台風の場合には成層
>圏に近い10000(=10K)m以上になります。
>
> もちろん地面との摩擦は存在しませんし、実は、下層部から上昇してきた
>空気が「吹き出す」高さに相当するのです。
>
> ので、私の中には誤解がないつもりです。
 
にのせられてしまったとか…….A^_^;
 
 ついでに言っときますと,
 
([danwa:0623]Bi.Bi.さん)
>しかし、雲を議論するとなると、話は別と思ってきました。
>じつは、台風の詳しい構造を今日初めて見ました。
>http://db.gakken.co.jp/jiten/ta/301830.htm
>で、雲の場合は吹き出しを考察しなければならないと思います。
 
 この図(ta/301830.htm)では,水平スケールと鉛直スケールの違いに注意す
る必要があります.
                                 浜口


[danwa:0638] Re: 台風の雲
Date:Sun, 13 Jan 2002 20:31:39 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、こんにちは。
Bi.Bi.です。

[danwa:0636] 浜口さん
>  
> ([danwa:0634]Bi.Bi.さん)
> >そうではありません。一般的なものです。
> >たとえば、北極点を原点として、
>  
>  これって,北極点近傍を考えておられるということではないのでしょうか.

原点はどこでもいいです。位置ベクトルの原点ですから。
適当な点がなかったんで、北極点を原点としただけです。

>  さもなければ,地球が(球ではなくて)平板であると仮定している?

うん?そうですね。
[danwa:0634] の r、r0、r'、は3次元ベクトルのつもりで、

> a=ω×ω×r0+ω×ω×r'+2ω×v’+a' (2)

と書きましたが、その後の計算では回転軸に垂直面の運動だけを考えていますね。
ちょっと再考します。

> **********
>  
> ([danwa:0635]Bi.Bi.さん) 
> >で、私はひまわりの画像は上図の巻雲、あるいは巻層雲で、
> >これは地上付近で吸い込まれた水蒸気が
> >雲となって上空で吹き出したものと思ってました。
>  
> 「上層の雲にさえぎられて下層の雲が見えない」と考えておられるのでしょう
> か?
>  

そう思ってるんですけど。

>  上層の雲なんて薄いものです.
>  それと,(浦田さんも指摘しておられましたが)ひまわりの画像は赤外領域の
> ものなので,下層の雲も全部見えていると思いますよ.
>  

そうだったんですか。
浜口さんがおっしゃる吸い込みが圧倒的というのも理解できました。

たしかにhttp://db.gakken.co.jp/jiten/ta/301830.htmによると、
上層部の巻雲は中心部分からどんどん薄くなってますね。
一方、下層の層積雲は1〜2kmと分厚いですね。

[danwa:0622] 浦田さん
> ひまわりは波長によって地面付近の雲だけを映すことができるそう
> ですね。

ということもあって、
通常のひまわり像は肉眼で見えものと同じとばかり思いこんでいました。

雲のひまわり像は吸い込みでいいんでしょうね。
でも、中心から150kmぐらいまではちょっと微妙ですね。

Bi.Bi.


[danwa:0639] Re: 台風の雲
Date:Mon, 14 Jan 2002 22:25:40 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、浜口さん、こんばんは。
Bi.Bi.です。

[danwa:0638] Bi.Bi
> > a=ω×ω×r0+ω×ω×r'+2ω×v’+a' (2)
>
> と書きましたが、その後の計算では回転軸に垂直面の運動だけを考えていますね。
> ちょっと再考します。

再考の結果、結論は同じでした。

(2)より、コリオリ力の水平部分は [danwa:0629]長谷川さんのおっしゃるとおり

>それから細かいことかもしれませんが、コリオリ力の大きさは緯度によって違
>いますから、緯度をθとして 2ωv・sinθ ですね。

一方、遠心力の水平部分は
ω^2r'≧遠心力≧(ωsinθ)^2 r'

この遠心力項を考慮すれば、高気圧は円運動として空気を束縛できない
というのが再考の結果です。

Bi.Bi.


[danwa:0640] Re: 台風の雲
Date:Wed, 23 Jan 2002 14:30:33 From: 石坂
談話室のみなさま、こんにちは。
石坂です。

 問題意識が違うようなので「台風の雲」の話題には参加しない、
と決めたのですが、忙しい時期になり議論が止まっているような
ので、話題提供します(ちょっと長いです、すみません)。

 今回話題提供するのは、本題とは直接関係ありませんし、本
やインターネットで容易に得られる情報ばかりです。

1)ひまわりが撮影する雲について
2)台風における風の分布について
3)Bi.Bi.さんの遠心力[danwa: 0634]について

1)ひまわりが撮影する雲について

 私が得た情報では下記のようになっています。

「ひまわりの映像で、白く見える部分は上層の雲で氷の結晶で出来ている。白い部分
は一見、厚い雲のように見えるが、飛行機雲と同じ高さの上層にあるすじ雲だ。少し
低い部分には、うろこ雲などがある。うすい灰色に見える部分は、低い雲で雨雲であ
ることが多い。灰色の雲の中に丸く白い雲が見られるのは、積乱雲だ。積乱雲は背が
高く、頂上は1万mを超えることがあり、氷の結晶で出来ているため白く見える。つ
まり、白い部分は積乱雲の頭である。ただし、一面、白い上層があると、その下の雲
は見えにくく、雨雲が隠されていることもある。」(山下 勇の気象一口メモ
http://www.jrt.co.jp/tv/ohayo/weather/0105.htmより)

「(ひまわりは)雲がだす赤外放射を観測。そのエネルギーの大きさから温度を推定
する。推定された温度を輝度温度もしくは相当黒体温度という。陸地や海面の相当黒
体温度は、実際の観測値がない場合の近似値として扱い、雲の相当黒体温度は雲頂の
高さを求めるのに用いられる。 赤外線は常に出ているので、昼夜を問わず観測でき
る。 輝度温度の低い雲すなわち高い雲ほど白く表現する。」(気象ノート
http://homepage1.nifty.com/weather/yoho-note/yoho11.htmlより)

 つまり、地表近くの雲まで見えてはいますが、写真で白く写っているのは
上空の雲、ということです。

2)台風における風の分布について

 これも教科書(たとえば「一般気象学」東大出版)に書いてあることですが・・・

・動径成分は地上1kmまでの層で最大となる(秒速4mくらい):これは地面との
 摩擦のために風が等圧線を横切っていることの反映である。

・接線成分は地上2kmくらいで最大となる(秒速40mくらい):地上1km以上
 では地面との摩擦は無視でき、風は接線成分が卓越した「傾度風」となって
 いる。「傾度風」というのは、[danwa:0598]で石坂が書いた、

    (気圧傾度力)+(コリオリの力)+(遠心力)=0

 が成り立つ風のことです。ここでの(遠心力)はもちろんBi.Bi.さんの「遠心力」
 のことではありません。風が曲がった等圧線に沿って流れることにより生じる
 力です。

・対流圏上層(地上10〜15km)では時計回りに風が吹き出している(秒速4m
 くらい)。

 教科書には台風の風の分布図が出ています(有名な図らしい)。一度
ご覧ください。

3)Bi.Bi.さんの遠心力[danwa: 0634]について

[danwa: 0634]Bi.Bi.さんは書きました:
> 高気圧周りの空気の位置ベクトルをr、
> 高気圧中心の位置ベクトルをr0、
> 高気圧中心から空気までの変位ベクトルをr'とすると、
>
> r=r0+r' (1)
>
> 両辺を時間に関して2階微分すると
>
> a=ω×ω×r0+ω×ω×r'+2ω×v’+a' (2)
>
> ここで、a、a'、v'はそれぞれ静止系での空気の加速度、回転系での空気の加速
度、回転系> での空気の速度

この(2)式で空気が運動していなくても(v’=0)、気圧傾度力がなくても働く
成分だけ抜き出して書くと、

  g = ω×ω×r0+ω×ω×r' + g’

ここでg、g’はそれぞれ地上における、重力加速度、有効重力加速度です。

 地上でフリコの錘をつるすと、地球の中心(g)方向は向かずにg’の
方向を向くことになります。g’の大きさは北極と赤道では違っています。
地球も球ではなく、赤道付近がふくらんだ回転楕円体をしていますよね。
 
 さて、Bi.Bi.さんはこの式の右辺第2項が効く、としているわけですが・・・
つまり地面に質点を置くと、場所による有効重力加速度の違いを「なぜか」
感じ取って、「遠心力」によってr0に対して「外側」に向かって動いていく、
ということでしょうか・・・。
 でも、r0は地上の任意の場所に取れるのに、r0の「外側」ってどっちの
方角なんでしょう・・・?

 今後の議論を見守っていきたいと思います。

では、石坂はまた貝になります。


[danwa:0641] Re: 台風の雲
Date:Thu, 24 Jan 2002 18:30:38 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、こんばんは。

このあいだ、高校の地学の教科書にも ひまわりのことや低気圧、高気圧の記述があるの知りました。

そこには高気圧による循環風も記述があって、 円運動の力の釣り合いで説明されています。
で、私はこれにケチをつけていることになるんですね。

[danwa:0640] 石坂さん
> でも、r0は地上の任意の場所に取れるのに、r0の「外側」ってどっちの
>方角なんでしょう・・・?

背理法で教科書の記述を否定しています。
つまり、高気圧による循環風の存在を仮定し、矛盾を導くというものです。

ですからr0は高気圧の位置です。

Bi.Bi.


[danwa:0644] Re: 台風の雲
Date:Sat, 26 Jan 2002 14:50:38 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、こんにちは。
Bi.Bi.です。

高気圧の気衡風、やっと理解できました。
教科書はOKです。

[danwa:0640] 石坂さん
> この(2)式で空気が運動していなくても(v’=0)、気圧傾度力がなくても働く
> 成分だけ抜き出して書くと、
>
>   g = ω×ω×r0+ω×ω×r' + g’
>
> ここでg、g’はそれぞれ地上における、重力加速度、有効重力加速度です。
>

このg’の応じて、鉛直方向に気圧勾配があるのでした。
そのため、空気は重力に逆らってじっとしていられる。
それで、このg’がキャンセルされる。

つまり、平面に拘束されたモデルでは理解できない、
3次元的な気圧勾配を考慮せよ、ということでした。

みなさまのおかげで、正確に理解できました。
ありがとうございました。

Bi.Bi.


[danwa:0646] Re: 台風の雲
Date:Mon, 28 Jan 2002 18:25:35 From: 石坂
石坂です。

[danwa: 0644]Bi.Bi.さんは書きました:
> このg’の応じて、鉛直方向に気圧勾配があるのでした。
> そのため、空気は重力に逆らってじっとしていられる。
> それで、このg’がキャンセルされる。

ここ、どういう意味でしょうか。よくわかりません。

今は水平面における力の釣り合いを考えているのですよね。
g’の鉛直成分はキャンセルされたとしても、水平成分がキャ ンセルされるとは限らないのでは・・・?


[danwa:0647] Re: 台風の雲
Date:Mon, 28 Jan 2002 22:27:27 From: Bi.Bi.
[danwa:0646] 石坂さん
> > このg’の応じて、鉛直方向に気圧勾配があるのでした。
> > そのため、空気は重力に逆らってじっとしていられる。
> > それで、このg’がキャンセルされる。
>
> ここ、どういう意味でしょうか。よくわかりません。

3次元的気圧傾度力の鉛直成分がg’に等しいという意味です。

> 今は水平面における力の釣り合いを考えているのですよね。

違います。3次元での力の釣り合いです。

> g’の鉛直成分はキャンセルされたとしても、水平成分がキャ
> ンセルされるとは限らないのでは・・・?

g’は鉛直方向であって、水平成分はもともと0ですよね。

3次元的な運動を考慮しないと、円運動は得られないと思います。

Bi.Bi.


[danwa:0654] Re: 台風の雲
Date:Sun, 10 Feb 2002 19:00:43 From: Bi.Bi.
談話室のみなさん、こんにちは。
Bi.Bi.です。

「台風の雲」は[danwa:0562] 以来激論が続き、 議論が発散してしまいました。

気象の教科書で先日ちょっと勉強しましたので、 その知見を元にここで、一度まとめてみたいとおもいます。


(0)問題設定
[danwa:0562] Bi.Bi.での問題設定は曖昧でしたので明確にしたいと思います。

[danwa:0568] Ando S.さんの
> BiBiさん[danwa: 0565]
> > >コリオリ力によって決まるのは、渦の向きであって、渦そのものはコリ
> > >オリ力によて発生するのではないと思います。
> >
> > うん? でも、静止系にはコリオリ力ないですよね。
> > なんで、存在しないものが渦の向きを決めるんでしょう?
> >
>
> 静止系から見ても渦の向きが一義的に決まる理由を考えろ、ということです
> ね。
として考えましょう。
また、雲については最後にコメントすることにしまして、しばらくは風について考えることとします。
台風の立体的構造も話を複雑にするだけですので、下層部分について考えます。


(1)コリオリ力が本当に左巻きを決めるか?

[danwa:0595] 石坂さん
>  ですから、大学の地球物理学(気象)の授業ではこう習いました。
>
> 「台風の渦の方向を説明するのに、吹き込む風にコリオリの力が働いて
> 右の方にずれていくので、左巻きになる、というのは間違いである。」

このとおりで、初期条件を変えると右巻きの解も存在します。
実際、低気圧の地衡風で右巻きがまれに存在するそうです。
つまり、コリオリ力が左巻きを決めるのではないということです。
ですから、(0)での問題設定がすでに誤りでした。


(2)コリオリ力で左巻きになるのでなければ、なにが左巻きにするのか?

[danwa:0575] Bi.Bi.
> 北極付近 →
> 台風の目 →→
> 赤道付近 →→→
>
> なんと、これは台風の目の周りで既に空気が回転しているではないですか!
> なんとなれば、台風の目から見るとその周りの空気の運動は
>
> 北極付近 ←
> 台風の目 静止
> 赤道付近 →
>
> ですね。
> そういえば、地球が回転しているんだから、
> 空気全体も回転しているのだった。

つまり、もともと空気は左巻きに回転しているからです。
静止系で見て空気は左巻きの角運動量を持っているのです。


(3)それではコリオリ力で解説している力学のテキストは間違いか?

[danwa:0602] Bi.Bi.
> 1.和田純夫 力学のききどころ 岩波 138ページ
> 「・・・・風の渦巻く方向を決めているのが、まさにこの効果である(図3:コリオリ力の
> 図)。・・・・この座標の回転がコリオリ力を引き起こし、低気圧の中心に引き込まれる風の回転方
> 向を決めているのである。」
>
> 2.ゴールドスタイン 古典力学上 吉岡 235ページ
> 「コリオリ力がないとすれば風の方向は理想的には・・・・等圧線に垂直である。しかしながらコリ
> オリ力は図に示されているように風をこの方向に向かって右向きに偏らせる。右への偏りは風のベク
> トルが等圧線が平行になるまで続き・・・」
>
> 3.阿部龍蔵 力学・解析力学 岩波 123ページ>
> 「北半球で考えると、コリオリ力は・・・進行方向を右側に曲げるような効果をもつ。このため台風
> の目に流れ込む空気(風)は右の方に曲がり、・・・・・結果的に風は目を中心として反時計回りに
> 吹くことになる。」

これらには暗黙のうちに次のような仮定があります。
つまり、初期条件として回転系で空気はほとんど静止している、 あるいは等方的に中心に落ち込む空気の流れを仮定しています。
もし、初期条件として、十分強く右向きの回転を与えたなら、 右巻きの回転になります。


(4)台風の風は動系方向は無視してよいか?強風の起源は

[danwa:0599] 石坂さん
> [danwa:0596]Bi.Bi
> > 秒速数mで、角運動量を保存して台風の目から20Kmの所まで落ち込んだとした
> ら
> > 秒速数十メートルになっちゃいます。
>
>  「落ち込んだとしたら」そうなのでしょうが、実際の台風では、
>
>  [danwa:0595]石坂:
> > 「低気圧や高気圧の周りの風は気圧傾度力の方向に沿って、つまり気圧
> > の高い方から低い方へ吹くのではなく、気圧傾度力とは垂直に、等圧線に
> > 沿って吹く。もし地面との摩擦がなければ、等圧線を横切ることはない。」
>
> ので、「落ち込むことはない」と言っているのです。
>

接線方向に比べて動径成分は1桁以上小さいので、
短時間の議論に限れば、動径成分を0とするのは正しい近似です。
しかし、1週間程度の長時間を議論するときには正しくありません。
0.5m/sの速度でも1週間では300km以上移動します。
「摩擦の無視できる」上層空気であっても、
角運動量を保存して摩擦で落ち込んできた空気なのです。
ですから、以下は「摩擦を無視した」地衡風についても合理的な解釈なのです。

> [danwa:0596]Bi.Bi
> > 秒速数mで、角運動量を保存して台風の目から20Kmの所まで落ち込んだとした
> ら
> > 秒速数十メートルになっちゃいます。


(5)静止系と回転系の関係
(これは私個人の解釈で教科書などで議論されているかどうかは知りません。)

静止系
時間発展方程式:ma=中心力・・・(1)
初期条件: 左巻きの角運動量を持った空気 

回転系
時間発展方程式:ma’=中心力+コリオリ力+遠心力・・・(2)
初期条件:静止した(あるいは等方的に中心に向かう)空気 

(1)式と(2)式は
ma=ma’−コリオリ力−遠心力・・・(3)
ですので全く同値な式です。

すなわち、左向きに回転する起源はそれぞれの系での初期条件です。
つまり、静止系では左巻きの角運動量を持った空気 
回転系では静止した(あるいは等方的に中心に向かう)空気、
が左巻きの起源なのです。

(6)雲が描く渦
これは、まだ分かっていないようです。
雲ができるできないは、圧力、温度、単位体積あたりの水の含有量で決まります。
空気の流れと雲の形状変化は同値ではありません。
雲の形状は空気の流れを示唆しているかのように思えるのですが、 それはまだまだ感覚的なものを越えていないようです。


(7)高気圧の地衡風

高気圧は斥力です。なぜ、斥力で空気が地衡風として束縛できるのでしょうか?
これは結構面白いです。[danwa:0647] BI.Bi.で存在は示しましたが、 上記のことにはまだこたえていません。
テーマを変えて、議論につきあっていただければありがたいです。


以上、まとめてみました。
「ちょっと変ですよ!」や補足などありましたら、
コメントをお願いします。

Bi.Bi.


・・・さて、この先 話はどうなるのか?お楽しみに!・・・
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