『科学談話室』の話題より
高校物理はおもしろくない!?
2001/11/13 話題提供
2001/12/23 最終更新
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[danwa:0573] 高校物理はおもしろくない!?
Date:Tue, 13 Nov 2001 00:59:45 From: 山田
山田です。

 物理教育学会誌の特集記事に寄稿を頼まれ、忙しいなか、やっと書き上げた拙 文を紹介します。みなさんの感想、ご意見をお聞かせください。

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高校物理はおもしろくない!?

 「高校物理はおもしろくない!?」と問われるならば,筆者は「すごくおもし ろいよ!」と答えるであろう。物理という教科に高校で関わってきて20年になる。 「物理はおもしろい」ということをずっと言ってきたし,そう思っている。子ど もたちにとって物理は基本的におもしろいはずである。多くの玩具が物理法則を 応用しているし、科学の祭典や実験教室などで行われている物理の実験に対する 子どもたちの興味関心は高い。高校生も授業の反応を見ている限り,そのように 思える。もし,おもしろくない,ということがあるならば,物理の教え方,伝え 方に原因があるのではないだろうか。

 最近,漫才師養成学校の生徒たちと議論する機会があった。そのなかの高校で 物理を履修した若者に、授業はどうだったか聞いてみたところ,「教師が何を言っ ているのかまったくわからなかった。そのためか物理の授業で何をやったか全然 覚えていない」との返答であった。事態はかなり深刻かもしれない。教員が何を 言っているのかわからなければ,物理がおもしろいかどうかもわからない。この 例は極端かもしれないが,筆者の周囲にも「高校の物理はわからなかった」と言 う人が多い。物理が「おもしろくない」原因に、物理の授業が「わからない」と いうことがあると思われる。

 以前,筆者が物理を教えている高校生に,どんな授業をしてほしいか,アンケー トをしたことがある。人数が多い順に1わかりやすい授業を,2ゆっくり教えて ほしい,3実験を多くしてほしい,4楽しい授業を,という結果であった。意外 にも「楽しい」よりも「わかる」ことを望む生徒が多かった。「わかった」とき, そこに感動がある。今まで謎だったことが,さっと霧が晴れるように明らかにな る。それは本当に感動である。推理小説のクライマックスで真犯人がわかるとき のどんでん返しの瞬間のようなものである。このような感動があるとき,物理は 本当におもしろい。アンケート結果から、「わかる」感動を生徒たちが体験した がっていることがわかる。以前,物理学会の物理教育分科会で,中学生に対して どんな先生が好きか調査したところ,わかりやすく教えてくれる先生がトップだっ た、との報告があった。中学生にもわかりたいというニーズが存在する。

 現在の高校の物理の授業に「わかる」という感動があるのだろうか。筆者が物 理IBの授業で使っている教科書を見てみよう。力学分野の初めの単元、「物体 の運動」をながめると、直線運動の速度,加速度,落体の運動が取り上げられ, 問題が約30題。そのほぼすべてが数値を求める問題である。関係式が与えられ, その式に数値を入れ込んで計算する,というだけのものがほとんど。「なぜ」と いうことを問う問題は1題もない。単純には判断できないが,「なぜ」という疑 問から出発してなるほどと「わかる」という感動は、教科書の問題をやっている 限り,なかなか味わえないのではなかろうか。教科書にも問題が少なからずある ように思われる。

 問題演習ばかりの物理の授業を受けて、0点を取った高校生の親から相談を受 けたことがある。この高校生は中学時代に物理分野が好きだったとのことなので 尋ねたところ、ある事情で他の科目の教員が物理を担当していたのだが、説明も 実験もなく、プリントの計算問題をやるだけの授業であった。これでは物理はお もしろくないだけでなく,拷問になるだろう。「わかりたい、わかって感動した い」という生徒たちの求めがあっても、教員や教科書がそれに応えなければ、生 徒たちが高校物理を嫌ってしまう。

 物理をおもしろくさせる「わかる」授業とはどのような授業なのであろう。筆 者が行った実践を紹介しよう。筆者が生徒に行なった前述のアンケートの後, 「わかる」授業を常に念頭において物理の授業を行なった。その年度の初めに物 理を嫌う生徒が多かったのであるが、年度の終わりに感想を書かせたところ約70 %の生徒が,物理がおもしろかった,好きになったと答えた。70%の数字が良い かどうかはわからないが、何らか有意な結果であったように思われる。  筆者の授業での工夫を紹介する。通常の授業では説明の補助に簡単な演示実験 を多く行った、また日常的な例をたくさん引用し、生徒にとって物理法則などが 具体的にイメージしやすいよう心がけた。実験はできるだけ全員が体験できるよ うに設定した。そしてわかったかどうかを生徒たちに細かく確認しながら授業を 進めるようにした。「わかる」という精神的な行為は個人的なものであって,そ れまでの個人の体験も深く関わっている。ある説明でAさんがわかったからといっ てBさんがわかるかというとそうとも限らない。そのため、生徒個人の情報発信 を教員が敏感に受け止めることが肝要になる。

 生徒たちに行った授業に対する要望のアンケート結果は役立った。教員の話し 方から板書の仕方などについての注文を細かく書いてくれたので、生徒が「わか る」授業をある程度、あらかじめ把握することができた。そして定期的に生徒に 授業への感想と要望を書かせ,授業を改善するよう心がけた。筆者の授業が100 %の生徒に「わかる」授業だったわけではないが、それに近づける努力をするこ とによって、70%の生徒たちが物理に好感をもつにいたったと思われる。

 高校理科が選択になった今,物理の選択者が増えるためには中学の物理分野で 「わかる」授業が行なわれることが重要だと考える。中学の物理分野で物理がわ からなければ、その生徒が高校生になったとき、物理を選択することはまずない。

 「なぜ」という問いかけに「なるほど」という胸に落ちる感動体験があってこ そ、「物理はおもしろい」ということを生徒たちに感じさせることができるので はなかろうか。


[danwa:0574] Re: 高校物理はおもしろくない!?
Date:Tue, 13 Nov 2001 15:40:21 From: apj
山田さん、
apj です。

 私は、高校3年で物理・化学選択の理系クラスに入った直後の 物理の模擬試験で赤点をとりました。進学の年の最初がこれだったんで 結構ショックで、未だに覚えています。当然高1、高2の間の の物理の成績もさっぱりで、低空飛行を続けていました。
 高3の2学期後半になって物理の点を上げて、大学は学部・修士が 理学部物理学科、その後も物性実験で研究を続けています。

[danwa: 0573]山田さん wrote:
> 現在の高校の物理の授業に「わかる」という感動があるのだろうか。筆者が物
>理IBの授業で使っている教科書を見てみよう。力学分野の初めの単元、「物体
>の運動」をながめると、直線運動の速度,加速度,落体の運動が取り上げられ,
>問題が約30題。そのほぼすべてが数値を求める問題である。関係式が与えられ,
>その式に数値を入れ込んで計算する,というだけのものがほとんど。

 数値を入れることがいけないのではないと思います。

 まず、直線運動の速度・加速度・落体の運動が出てきて、その次に、斜めに 物体を投げ上げたり投げおろしたりする問題が出てきたのを覚えています。 その次が単振動の位置・速度・加速度があって、波動があって、分子運動論 (熱力学の初歩)でした。
 これらについて、物理の教科書ではばらばらに公式が出てきます。導いている 部分もあるのですが、それでも運動のパターンごとです。本来なら位置の時間変化 がわかれば、時間微分だけで速度と加速度は解決するはずですが、高校物理では 極限概念を使うのに微積分を使わないから、結局、それぞれの運動のパターン ごとに、位置、速度、加速度の式を公式として暗記することになります。 丸暗記が苦にならない人なら簡単に点が取れるでしょうが、丸暗記が苦手な人間 は得点できません。私は、毎時間始めに位置・速度・加速度の式の暗記テスト をさせられたとき、クラスで一番最後まで正解を書けませんでした。

 普通に教科書を読んでいる限り、全体像を統一的に見れないということが 物理がわかりにくい最大の原因じゃないかと思います。

> 筆者の授業での工夫を紹介する。通常の授業では説明の補助に簡単な演示実験
>を多く行った、また日常的な例をたくさん引用し、生徒にとって物理法則などが
>具体的にイメージしやすいよう心がけた。実験はできるだけ全員が体験できるよ
>うに設定した。そしてわかったかどうかを生徒たちに細かく確認しながら授業を
>進めるようにした。「わかる」という精神的な行為は個人的なものであって,そ
>れまでの個人の体験も深く関わっている。ある説明でAさんがわかったからといっ
>てBさんがわかるかというとそうとも限らない。そのため、生徒個人の情報発信
>を教員が敏感に受け止めることが肝要になる。

 実験でやっていることは、個別にはわかりましたが、それでも教科書の方 が個別の式の羅列であることに変わりはないので、なかなか問題が解けません でした。
 授業は、多分標準的なものだったと思います。いくつかの単元について実験で 見せてくれて、教科書の解説を丁寧にやって、簡単な演習問題をやる時間も とってくれていました。他の人たちはこれで、それなりの点をとっていました し、理系クラスになってからは、みんな結構ちゃんと得点していました。

 私はどうしたかというと・・・・・。
 高2の最後の方で、数学で微積分の初歩が出てきます。このときに、微積分 の参考書を1冊買って自分でやりました。モノグラフシリーズとか、岩切の微積分 とかを、授業中に内職してやっていました。
 そのあと、駿台文庫の「必修物理」をやりました。これは、微積分をきちんと 使って高校レベルの物理を定式化していて、暗記の必要がありません。計算を 追っかけていってノートを作ったのを覚えています。これがある程度進んだら、 裳華房から出ている小出昭一郎著の「物理概論」を図書館で借りて、読める ところまで読みました。この作業が終わったのが高3の2学期後半で、その 後、物理の問題集を見たとき、どうやって解いたらいいかがわかるようになり ました。

 私がたどった道筋は、むしろ一般的には難しいと思われがちですし、 先生に相談しても解決しなかったので、自分でこのやり方を見つけて進める しかなかったのが、ちょっとしんどかったです。しかしこれ以外に、私に とって物理をわかる道がなかったことも確かです。
 式を羅列されるよりは、微分方程式で記述される世界という統一的な 見方をする方が、見通しもいいしずっとすっきりするしわかりやすいのでは ないかと思います。
 また、高校の微積分は、数学の他の単元にくらべてパズルっぽい部分が 少なくて、手続きさえ知ってしまえば誰でも簡単に計算ができますから 数学が苦手な人(=私のことだったりする)でも習得できます。

> 高校理科が選択になった今,物理の選択者が増えるためには中学の物理分野で
>「わかる」授業が行なわれることが重要だと考える。中学の物理分野で物理がわ
>からなければ、その生徒が高校生になったとき、物理を選択することはまずない。

 中学の理科はむしろ日常体験の延長上のような面があったから、特に わかりにくい話ではありませんでした。電池とか使っていろいろ遊んで いたから、話をきいてすんなり入ったという感じでした。

 高校の物理の教科書は中途半端な気がします。日常の延長よりはずっと 科学をやっているのに、科学としての体系が見えないようになっているので。 物理の点がふるわない人のうち、私と同じ理由でふるわない人って、実は けっこういるんじゃないかと思うんですけど、どうなんでしょうか。

> 「なぜ」という問いかけに「なるほど」という胸に落ちる感動体験があってこ
>そ、「物理はおもしろい」ということを生徒たちに感じさせることができるので
>はなかろうか。

 個別には面白い実験が沢山あるのですが、関連性のないことを理解するのは 至難の業じゃないかと。フレームワークが見えるというか、物理の風景が見える というか、そういうときは「わかった」って快感がありますね。


[danwa:0576] Re: 高校物理はおもしろくない!?
Date:Mon, 19 Nov 2001 02:12:03 From: 山田
山田です。

 [danwa: 0574] apjさん、

>  数値を入れることがいけないのではないと思います。
>
>  普通に教科書を読んでいる限り、全体像を統一的に見れないということが
> 物理がわかりにくい最大の原因じゃないかと思います。

 ご指摘のことも、とても重要だと思います。ただし、全体像を見れるためには それなりの知識や体験の蓄積も必要ですので、最初の単元の部分についてだけで は困難かと思います。また、微積のリテラシーに関しても1・2年の初めに学習 する分野としても習得は難しい、と考えます。

 私は部分部分の学習においても、計算があっているかどうかが評価の中心になっ ていることを指摘したかったのです。生徒がその部分を「わかる」という体験を 通して学習することが設定されていないと思われるのです。

> > 高校理科が選択になった今,物理の選択者が増えるためには中学の物理分野で
> >「わかる」授業が行なわれることが重要だと考える。中学の物理分野で物理がわ
> >からなければ、その生徒が高校生になったとき、物理を選択することはまずない。
>
>  中学の理科はむしろ日常体験の延長上のような面があったから、特に
> わかりにくい話ではありませんでした。電池とか使っていろいろ遊んで
> いたから、話をきいてすんなり入ったという感じでした。

 現在、高校での物理選択者は激減していると言わざるを得ない状況に陥ってい ます。

>  高校の物理の教科書は中途半端な気がします。日常の延長よりはずっと
> 科学をやっているのに、科学としての体系が見えないようになっているので。
> 物理の点がふるわない人のうち、私と同じ理由でふるわない人って、実は
> けっこういるんじゃないかと思うんですけど、どうなんでしょうか。

 apjさんのように体系が見えないから物理がふるわないというケースはかなり 少数のように思われます。生徒たちの多くは、部分の学習でつまずいているよう です。

> > 「なぜ」という問いかけに「なるほど」という胸に落ちる感動体験があってこ
> >そ、「物理はおもしろい」ということを生徒たちに感じさせることができるので
> >はなかろうか。
>
>  個別には面白い実験が沢山あるのですが、関連性のないことを理解するのは
> 至難の業じゃないかと。フレームワークが見えるというか、物理の風景が見える
> というか、そういうときは「わかった」って快感がありますね。

 そうですね。おっしゃる通りです。実験だけでは、単に「花火大会」と同じで しょう。授業をどう構成するか、そのカリキュラムの中で実験をどう配置するの かが、教員の腕の見せ所と思います。


[danwa:0591] Re: 高校物理はおもしろくない!?
Date:Mon, 10 Dec 2001 20:17:15 From: 浜口
 山田さん,apjさん,はじめまして.
 浜口と申します.
 
 私は,ある私立の中高一貫校で物理を教えています.
 
([danwa:0574]apjさん) 
>  高校の物理の教科書は中途半端な気がします。日常の延長よりはずっと
> 科学をやっているのに、科学としての体系が見えないようになっているので。
> 物理の点がふるわない人のうち、私と同じ理由でふるわない人って、実は
> けっこういるんじゃないかと思うんですけど、どうなんでしょうか。
 
([danwa:0576]山田さん)
> apjさんのように体系が見えないから物理がふるわないというケースはかなり
>少数のように思われます。生徒たちの多くは、部分の学習でつまずいているよう
>です。
 
 私はapjさんと似た感覚をもっています.
 物理がふるわないといっても,物理の部分がわからないのか,物理以外の部 分がわからないのかでは,話は違ってきますよね.
 
 平均的な生徒たちの多くは,物理以外の部分でつまづいているのではないか と(私は)思います.
 たとえば,国語の力がなくて文章が理解できない,数学の力がなくて計算に ついていけない,などです.
(山田さんが「部分の学習でつまづいている」とおっしゃっているのがこの意 味なのかもしれません)
  
「国語力もあり数学もできるという生徒」がふるわないケースは,理論体系が 把握できていないということが多いようです.
 公式とその使い方を覚えているだけ,という状況ですね.
(「衝突では運動量保存がなりたつ」ということを覚えているだけで,その理 由は理解していない,など)
 そんな状況では,いつまでたっても不安がつきまといますから,生徒は「も っとたくさんの公式をしっかり覚えないといけないんだ」と,ますます苦況に 陥っていきます.生徒は「物理は公式の羅列だ」と感じます.
 
 いっぽう,体系を把握している生徒は「物理は公式の羅列だ」と感じたりは しません.
 
 私の勤務校はいわゆる進学校なので,体系をきちんと語るゆとりがあります が,平均的な高校では「公式とその使い方を教え込む」ということになりがち なのではないかと推測します.
 そうなると,apjさんのように感じる生徒が,でてくることになるのでしょ うね.
 
 もっと言えば,ゆとり以前に,理論がしっかりしている教師がそれほど多く ないのかもしれません.
(これ問題発言?)
 
                                浜口


[danwa:0592] Re: 高校物理はおもしろくない!?
Date:Tue, 11 Dec 2001 23:21:52 From: 山田
山田です。

浜口さん wrote:
> (山田さんが「部分の学習でつまづいている」とおっしゃっているのがこの意
> 味なのかもしれません)

 そうですね。多くの子ども達がリテラシーとしての読み書き算盤で躓いている ことは間違いないと思います。そのような子ども達がたくさんいる多くの高校教 育現場では「部分の学習」を一つ一つ積み上げてゆくことが重要だと思っていま す。私は「部分」の中にも体系が反映されていると考えています。ですから部分 の学習を積み上げていくことは決して無駄ではないと考えます。

 ただ私が教科書の「問題」に問題があると指摘しているのは、それらの多くが 「わかる」という行為を促進することを目的として作られていないからなのです。


[danwa:0612] Re: 高校物理はおもしろくない!?
Date:Wed, 19 Dec 2001 09:40:54 From: 浜口
 山田さん,こんにちは.
 コメントありがとうございます.
 
(([danwa:0592])
>私は「部分」の中にも体系が反映されていると考えています。ですから部分
>の学習を積み上げていくことは決して無駄ではないと考えます。
 
 もちろん無駄ではないと思います.
 
 私は,問題を解こうとしてゆきづまっている生徒に教えるときに,「物理を 教える」ということにあまりこだわらないんです.
 たとえば問題文がきちんと読解できていないケース(よくある)では,むしろ, 国語を教える気分ですね.
(別に反論しているわけではなく,単に,私はそうだ,ということです) 
 
 
>その式に数値を入れ込んで計算する,というだけのものがほとんど。「なぜ」と
>いうことを問う問題は1題もない。
 
> ただ私が教科書の「問題」に問題があると指摘しているのは、それらの多くが
>「わかる」という行為を促進することを目的として作られていないからなのです。
 
 それは事実でしょうね.
 公式の使いかたを練習するものがほとんどでしょう.
 
>単純には判断できないが,「なぜ」という疑
>問から出発してなるほどと「わかる」という感動は、教科書の問題をやっている
>限り,なかなか味わえないのではなかろうか。
 
 味わえないでしょう.そしてそこを教科書に期待するとすれば,教科書に問 題が少なからずある,ということになるでしょう.
 あるいは,そこを「語り」で補うのが教師の仕事だ,と考えることもできま すね.
 
 
 またまた問題発言かもしれませんが……
「答え」を言える教師は多いが,「問い」をはっきり言える教師は少ないので はないだろうか.
 答えを聞いて感動するためには,問いが十分理解できていなければならない.
 
 
                                浜口


[danwa:0619] Re: 高校物理はおもしろくない!?
Date:Sun, 23 Dec 2001 09:25:12 From: 山田
山田です。

 浜口さん、コメント、ありがとうございます。

On Wed, 19 Dec 2001 09:40:54 +0900
浜口さん wrote:
>  私は,問題を解こうとしてゆきづまっている生徒に教えるときに,「物理を
> 教える」ということにあまりこだわらないんです.
>  たとえば問題文がきちんと読解できていないケース(よくある)では,むしろ,
> 国語を教える気分ですね.
> (別に反論しているわけではなく,単に,私はそうだ,ということです) 

 読み書きは浜口さんのご指摘のようにとても重要だと思います。「科学」とい う合理的で実証的な分野のリテラシーを身に付けるためには、読み書きする力は 基盤をささえます。

 私は教科書を音読させています。重要だと思われるパラグラフだけですが。そ れから問題を読んだ後、必ず図を書かせるようにしています。いきなり解答を求 めず、問題のシチュエーションを実空間に再現できる具体的なイメージ作りがで きるようにするためです。このような読解力は科学を学習する上ではとても重要 だと思います。

 また、夏休みの自由研究や実験プリント、記述問題などでプレゼンテーション をさせ、記述力もつけさせることも考慮しています。3年の課題研究では、論文 の書き方も指導しています。

 このような力はすべての教科にとって重要なことだと思いますが、特に科学す る能力では必須だと


>  味わえないでしょう.そしてそこを教科書に期待するとすれば,教科書に問
> 題が少なからずある,ということになるでしょう.
>  あるいは,そこを「語り」で補うのが教師の仕事だ,と考えることもできま
> すね.

 補うのも教員ですが、教科書を書く側に対して注文していくことも教員の仕事 だと思っています。今まで現場教員が教科書に注文するような機会があまり無かっ たんですね。教科書批判はあったんですが、教科書に現場の教員の意見などを反 映させて共同で創っていくことがなかった。私は最近ある教科書つくりに参加し て、そのようなことを感じました。これから教科書作りがオープンになっていく ことが必要だと思っています。


>  またまた問題発言かもしれませんが……
> 「答え」を言える教師は多いが,「問い」をはっきり言える教師は少ないので
> はないだろうか.
>  答えを聞いて感動するためには,問いが十分理解できていなければならない.

 その通りですね。どのような問いを出すかが授業の成否を決定する重要なファ クターですね。生徒たちの状況を知っていて、どこまで答えられるかをあらかじ め予想する。

 授業の初めに答えられない問いを出し、その問いをうまく使っていって、授業 を進め、授業の最後でその答えを生徒みずから見つけて答えられるようにする、 なんていう展開はまさに授業の醍醐味ですね。先日、そのような授業を行って、 生徒たちに評判でした。

 授業の準備の時間がかなり必要ですね。それから教員の研修も必要ですね。


・・・さて、この先 話はどうなるのか?お楽しみに!・・・
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