重力レンズ:見かけ上の巨大な指輪

新たに8つのアインシュタイン・リングが発見される

 下の写真をご覧ください。
 オレンジ色の銀河を取り巻くように、青白いリングが見えています。 これはアインシュタイン・リングと呼ばれる現象です。
 ハッブル宇宙望遠鏡が新たに8つのアインシュタイン・リングを発見したのです。
新発見のアインシュタイン・リング[NASA, ESA, and the SLACS Survey team: A. Bolton (Harvard/ Smithsonian), S. Burles (MIT), L. Koopmans (Kapteyn), T. Treu (UCSB), and L. Moustakas (JPL/Caltech)]

 オレンジ色の銀河は20〜40億光年彼方にある銀河で、青白いリングはその約2倍遠い銀河のゆがんだ姿です。
 アインシュタイン・リングはアインシュタインが1915年に発表した一般相対性理論から帰結される現象で、 天体の重力が空間をゆがめ、レンズのように光の経路を曲げることが原因です。

重力レンズ概念図
 一般的にこのような現象は「重力レンズ」と呼ばれますが、レンズ天体(手前の天体)と対象天体(奥の天体)が地球から見て、 一直線上にあるときだけ対象天体の虚像がリング状になり、「アインシュタイン・リング」になります。 非常に珍しい現象で、これまで3つしか知られていませんでしたが、 今回の発見で一気に4倍近くの11個になりました。

 ちなみに、ハッブル宇宙望遠鏡の重力レンズ発見プロジェクトではこれまで19個の重力レンズが発見されています。


※原文は英語ですがHSTのプレスリリースをご覧ください。


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2005.11.18記(石坂





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