あ〜れ〜!銀河ストリップ中

ガスをはぎ取られる銀河

 ハッブル宇宙望遠鏡HSTが撮影した銀河NGC4522です。 NGC4522はおとめ座銀河団(距離6000万光年)の中にある渦巻き銀河です。
HSTが撮影したNGC4522([NASA & ESA]) 
 よく見ると、中央部の黒っぽい筋(ダスト)がお皿のように湾曲(凹)し、その左右の縁の部分に若い星の群れである青い光の点が多数散らばっています。

 銀河団の中は目には見えませんが、高温のガスが満たしています(銀河団ガスといいます)。
 銀河団の中の銀河は、銀河団の重力に引かれ、高速で走り回っています (その速度はNGC4522の場合、秒速2000km以上!と見積もられています)。

 高温の銀河団ガスの中を高速で銀河が移動することにより、銀河の中のガスがはぎ取られ、はぎ取られたガスから新しい星が生れます。
 これを動圧といいます。 無風状態でも、自分が速く走ると風を感じ、髪がたなびくのが「動圧」です。

 銀河団の銀河は、私たちの天の川銀河のように銀河団に所属しない孤立した銀河とは性質が異なることが知られています。
 銀河団ガスの中を銀河が高速に移動することで生じる動圧が銀河の変化をもたらす要因の一つだと考えられています。

○原文は英語ですがHSTのプレスリリースをご覧ください。

※参考: 銀河からのガスのはぎ取りについてはガス欠になる銀河破壊される銀河に関連記事があります。

2009.10.1記(石坂

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